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2024年11月21日更新

「何が起こったか」聞き、話し合う|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)⑳

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役



職場の困り事あるある
  遅れる・間に合わない  
 

あなたは「間に合わない」経験が多い方ですか?ほとんどない方ですか?「間に合わない」人に対してどのように感じていますか?

ご自身が「遅れてしまう」「間に合わせることができない」という方は、「自分ルール」で行動してしまっているかもしれません。例えば、登校や出勤に遅れがちな時、ついつい関係ないことやあまり重要ではないこと、テレビや音楽、のんびりと服を選ぶ、今日の日程を確認して何かを始めてしまうなど、出かける前にやることとは言えないことに過度に集中してしまっている、ということはありませんか? または、あと1、2分で出発すべき時間なのに「何かできる」と行動を詰め込んでしまい結局間に合わない、というようなことが日常的に起こっていませんか?

もう一方のタイプは、気が付くと予想以上に時間がたっていて焦ってしまい、失敗も増え、朝寝坊をしたわけでもないのに結局間に合わない、後悔してもなかなか改善につながらず、これを繰り返してしまう、そういう人かもしれません。

いずれにしても「朝の遅刻」ということになり、「間に合わない人」というレッテルが貼られてしまいます。でも、どちらも意識的にわざとやっているわけではないんですよね。これが、脳の機能の特徴なのです。昨晩飲み過ぎて、深夜までゲームをしていて、つい2度寝して起こった1回限りの「遅刻」とは違うのです。

 

子ども時代と
大人になってから


移動中に見た風景です。完全に登校のピークから遅れて2人の低学年の男の子が学校に向かっています。一人は話すのがとても楽しいようで、立ち止まって指を指したり大きなジェスチャーをしたりして笑顔です。もう一方の子は、早く行こうと焦っているようで、時々手を引き促す様子が見え、笑顔はありません。「2人とも叱られて、笑顔の子はこたえず笑顔のない子はへこたれるのだろうな」と思いました。そしてこの状況が続くと、笑っていない子が離れていき、笑って楽しそうな子は訳が分からず、何も変わらないまま過ぎていくのだろうなぁと想像しました。これが大人になり、職場で起こったらどうなるのでしょう? 皆がおのおのの仕事を懸命にこなし努力している中では、「遅れてしまう人」は和を乱す人でもあるわけです。しかも、自覚なく見えることが拍車をかけているのかもしれません。
 

    「何が起こったか」聞き、話し合う   

どうすればいい?

これはやはり、当人に自覚を促すことが重要です。ただし、一方的に攻め立てるのはNGです。心を閉ざしてしまうと前に進めなくなってしまいます。生きている、動いている現場ではなかなか難しいのですが、周囲の方には「何が起こったのか」を「怠けている」とか「いいかげんだから」という偏見抜きに、じっくり聞いてみていただきたいと思います。「なんで?」だと責めているように聞こえることから、「(これから)何をする?」の前に、「何が(起こった)?」を聞いていただきたいのです。理由を分かち合えるような話し合いのあとなら、「どうしていこうか?」という相談が可能になると思います。発達の凸凹が課題となっている事案については、「相談」が一番大切だと思うのです。



文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役

きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、odssc.okinawa@gmail.com

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『週刊ほ〜むぷらざ』 こんな時どうする?大人の発達凸凹⑳
第1946号 2024年11月21日掲載

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