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2024年11月3日更新

あなたはレポート派? テスト派?|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)⑱

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役



職場の困りごとあるある
  会社の要求に応えられない  
 

今回は、発達の凸凹のある方が、社会人になるとどんなことが起こるのかについて考えてみました。きっかけは、大学生の「評価」に対する姿勢が気になったことです。

評価を受ける際に「レポート」作成を好む学生が多いように感じていますが、果たしてレポートでの評価はフェアなのでしょうか。一方で、強く「テスト」を希望する者もいるでしょう。それはなぜなのでしょうか?


学生へのインタビュー

レポートを希望する学生は、「安心」を理由に挙げます。確かに、自宅でゆっくり取り組めるし、資料もすぐに見ることができます。何度も読み返すことができ、時間も最終期限を守れば問題ありません。しかし、こうしてレポート作成で成績を修めていくとどうなるのでしょうか?

当事者にはよく分かりません。私にも覚えがありますが、「テストは難しい、でもレポートならどうにかなりそう」、そう思い込んでいるのではないでしょうか? そして実は、このレポートの「いい点」が、のちのち問題になるのです。
 

    あなたはレポート派? テスト派?    


仕事を始めると
起こること


レポートのいい点は、「自分のペース」で、「好きな時に」課題に取りくむことができる点です。しかしこれは言い換えると「会社の都合や要求に応えられない」ということにつながります。しかも、当人は合わせることができないことに悪気を感じることもなく、むしろ自分のやりたいようにできない事に不満を感じ、ひどい時は辞めてしまうこともあるのです。

仕事の現場は待ってくれません。学生時代のレポートは一つの課題であれば自分のペースで最終提出に間に合えばいいのに対して、仕事は次から次にやってきて、締め切りも仕事の優先順位に合わせるので、自分のペースでは仕事がうまくできません。

この流動的な流れに合わせることができればうまくやっていけますが、「自分のペース」にこだわってしまう発達凸凹の方は脳の機能の問題で、この作業が困難になります。そうして、必要以上に自分を責めて落ち込んでしまうのです。


どうすればいい?

大切なことはやはり、うまくいかないことが続いた際、「助け」を求めることです。周囲の方も仕事がうまくいかないことを感じたら、「なぜ?」と理由を問う代わりに、「どうしたらうまくいくか」を一緒に考える姿勢を見せていただきたいと思います。

「大人なのだから」とか「できて当然なのに」ではなく、「どうサポートすればうまくいくだろう」と考えてみていただきたいのです。甘やかしたり、仕事を取り上げたり、ということではなく、チームの中で協力してやり遂げる「成功体験」をうまく活用してみるのはいかがでしょうか。



文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役

きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、odssc.okinawa@gmail.com

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『週刊ほ〜むぷらざ』 こんな時どうする?大人の発達凸凹⑱
第1937号 2024年09月19日掲載

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