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2024年9月5日更新

再発・転移にピンポイントで|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(124)

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。前立腺がんにスポットを当て、最新の治療法などについて紹介してきましたが、4回目の今回は南部徳洲会病院放射線治療科医長の橋本成司先生に放射線治療について話を聞きます。

前立腺がん④

骨に転移した痛みにも

少数の転移なら保険診療で

Q1 放射線治療は怖くない?

放射線と聞くと全身の被ばくを受ける『放射能』を想像する方もいますが、それは違います。レーザービームのイメージがより正確です。エックス線を患部に集中させ、主にがんを治療します。サイバーナイフ装置=写真参照=は特に小さな標的の精密治療(ピンポイント治療)に適していて、早期の前立腺がんの治療に多く適用されています。ほとんど体調が変わらず、仕事や運動を続けながら、短期間の通院で治療できるのがメリットです。


サイバーナイフの治療風景。サイバーナイフは、前立腺がん・少数のオリゴ転移・脊椎転移などが対象のピンポイント治療専用装置(南部徳洲会病院提供)



Q2 再発・転移でも受けられる?

少ない個数の転移(オリゴ転移)ならば、2020年4月から保険診療でピンポイント治療が受けられるようになりまた。

これは前立腺がんに限りません。かつては遠くの臓器に一つでも転移があると、がんは既に全身に広がっており、転移した箇所を治療しても意味がないと考えられていました。しかし現在では、薬物療法に加えて転移したガンにピンポイント治療を行うと、長期存命や根治にもつながる可能性が高まる場合があることが分かってきました。具体的には、リンパ節や肺・肝臓・骨など全身の転移が対象となります。

 

Q3 がんの辛い症状にも有効?

骨の転移による痛みが出た場合には放射線治療が非常に有効です。特に背骨に転移したがん(脊椎転移)は、進行すると首~背中にかけての強い痛みから脊髄損傷となり、下半身まひや寝たきりの原因となる場合があります。

脊椎転移はより早い段階でピンポイント治療を行えば、高い確率で進行を遅らせたり、症状を緩和させたりすることが期待できます。骨の転移に限らず、放射線治療は鎮痛薬と異なり、眠気や便秘といった辛い副作用も生じません。

こうした治療を希望する場合は、私たち放射線治療専門医に早めに相談することが、最も大切です。ピンポイント治療はもちろん、受けられるかどうかは、専門医の判断が必要です。まずは主治医の先生に、紹介状の作成を依頼しましょう。

 

橋本成司さん/南部徳洲会病院 放射線治療科医長

はしもと・せいじ/琉球大学医学部医学科卒。琉球大学病院放射線科、那覇市立病院放射線治療科などをへて、2018年から南部徳洲会病院放射線治療科に勤務、翌年から同科医長に。日本医学放射線学会/日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医。モットーは「自分や家族であっても受けたいと思う治療を行う」。

南部徳洲会病院
電話=098-998-3221(代)
八重瀬町字外間171-1


文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<124>
第1935号 2024年9月5日掲載

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