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2024年1月25日更新
[美容形成外科]良質な再生医療 世界へ発する意義大|教えて!ドクター当山〈267〉
2023年11月に行われた当山美容形成外科の市民公開講座「世界の美容医療と再生医療」リポート下編は、同院の当山拓也院長による講話を紹介。当山院長は、日本の再生医療の現状や同院で受けられる4種の治療、県内の取り組みについて触れ、「良質な再生医療を世界に届ける素地が十分あるのが沖縄。その可能性は無限大」と話した。
「再生医療の夜明け前! 再生医療を通じて見える沖縄の未来」
良質な再生医療 世界へ発する意義大
当山美容形成外科プレゼンツ 市民公開講座 「世界の美容医療と再生医療」下編
再生医療の夜明け前! 再生医療を通じて見える沖縄の未来について」と題して講話する当山院長。美容医療に関心の高い120人余が参加し、聞き入った
当山美容形成外科 院長 当山拓也 氏
再生医療というと切れたトカゲの尾が生えてくるイメージをお持ちの方が多いと思いますが、今、日本で行われている再生医療の多くは細胞を用いた治療。ですから細胞医療と言った方がいいかもしれません。
日本では2014年に「再生医療等安全性確保法」が制定されました。これにより届け出なしに再生医療を行うことはできず、①クリニックで作成した治療計画を②厚労省が認めた第3者委員会で厳しく審査③国へ治療計画書を提出してはじめて治療が可能となっています。手続きは非常に煩雑な一方、どこで誰が何に関与したか全て分かるということ。つまり日本には、安全な再生医療をお届けする素地が整っているわけです。
再生医療はリスクが重い順に1種、2種、3種があり、現在沖縄で提出されているリスクが重い第2種治療計画8件のうち、4件は当院によるものです。
修復力高い細胞を使用
当院の再生医療は、脂肪由来の間葉系幹細胞を使っています。幹細胞には幾つか種類があり、当院が用いている体性幹細胞は人の脂肪に多く含まれ、組織の修復や再生能力が非常に高いと言われるものです。なぜさまざまな治療に効果を発揮するのか明確な理由は分かっていませんが、分化して筋肉や神経になる可能性があること、細胞を投与すると傷害部位に集まって改善する働きが見られること、炎症・免疫抑制作用、傷害部位に栄養を与え損傷を和らげる働きが期待できることなどが複合的に作用していると言われています。
治療は膝関節が最多
現在当院で行っているのは、皮膚の加齢性変化、変形性膝関節症、脳梗塞の後遺症、難治性アトピー性皮膚炎に対する幹細胞治療で、最も多いのは変形性膝関節症に対するもの。膝関節痛を訴える人は日本に3千万人いると言われ、治療はヒアルロン酸注射か手術の2択でしたが、再生医療はその中間にあたる新しい治療に位置づけられています。
当院では、患者さんから採取した米粒2個分と非常に少ない脂肪と血液で幹細胞を培養し、投与するため、体への負担が少ないのが特徴。膝治療は投与直後に行うリハビリやインソールなども組み合わせています。
細胞の質も非常に重要です。当院は東大整形外科とも共同研究している東京のCPC(株)に細胞培養を依頼。常に担当医師らと意見交換することで、沖縄のみなさまにも最新の細胞医療を提供できると考えています。
自前の簡易培養施設も
再生医療の国内市場は260億円、20年後には1兆円に達すると言われ、沖縄県も県内に再生医療の拠点を作るべく模索してきました。令和2年には県の先端医療産業技術事業化推進事業に当院を含む3社で取り組み、質の高い再生医療をクリニックで完結できる仕組み作りを計画。当院の簡易培養施設で細胞培養した上澄み液から情報伝達物質・エクソソームの抽出に成功しました。既に人に投与し安全性も確認済み。脂肪由来幹細胞と同等の効果が期待できると世界中で研究されているもので、実用化されれば非常に有益です。
東アジアの玄関口である沖縄には良質な再生医療を世界に届ける素地があり、沖縄から再生医療を発信する意義は大きい。今後も力を尽くします。
※次回は「日本臨床脱毛学会主催の針脱毛講習会が当山美容形成外科アネックスで行われました!」について紹介します。
会場の声に院長が回答
再生医療Q&A
Q.5年前に自転車で転倒し膝を傷めた。治療効果は期待できる?
「再生医療で変形は治りませんが、痛みを取ることには優れています。痛みの原因にもよりますが、MRIやレントゲンで調べた上、どの程度良くなるかを説明し治療を行います」
Q.細胞は若いうちに取って保存しておいた方がいい?
「重要なのは細胞が培養でどのくらい増えるか。患者さんから採取した細胞からいい細胞を選んで培養しますので、お年を召されていても問題ありません」
<この記事に関する問い合わせ先>
医療法人形成会 当山美容形成外科
098-867-2093
http://www.touyama.com/
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<過去記事一覧>
『週刊ほ〜むぷらざ』 教えて!ドクター当山<267>
第1903号 2024年1月25日掲載