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2023年11月16日更新

次の案を持ち、納得する練習を|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)⑧

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役



職場の困りごとあるある
 凸こだわりが強い凹 

仕事上の締め切りは分かっているけれど、ついつい期限を守れないこと、ありませんか? そんなつもりはないけれど、自分なりのやり方を変えられなくて、結果仲間にしわ寄せが…。ご存じの通り、あらゆる仕事がチームで動いていますので、うまくバトンを渡せないと仕事全体がうまく回らずチームに迷惑をかけることとなり、その結果、問題視されることになります。



なぜ、バトンをうまく渡せない?

その人独自の「こだわり」が影響しているかもしれません。発達の凸凹の特徴がある方の中には、こだわりが強く、自分のペースやタイミングを最優先してしまう傾向の方がいます。「こだわりが強い」とは、自分の決めたように、思うようにやりたいという欲求の強さのことです。何をいつ、どのようにやるのか、自分の決まり事に従って行動したい、ということです。

例えば、仕事で緊急事態が発生して、周囲がその対応のために急いだり慌てたりしていても、自分一人だけいつもと同じペースでいると、周りからは「協調性のない人」「融通の利かない人」だと思われてしまうのです。状況に合わせていつもと違うやり方を要求されるような事態であっても、「いつものようにしたい」「決めたやり方で進めたい」という本人の気持ちが優先される行動は、周囲の人から見ると「融通が利かない人」と見えます。しかし本人にとっては、「いつもと違うと困る」、ということを意味します。つまり変化に弱いということです。しかも、平常場面では「仕事が遅いなぁ」「もう少し要領よく処理すればいいのに」程度で済むのですが、厳しい状況の時ほど周囲に迷惑をかけやすく、融通の利かなさが目立つのです。

表1に、本人の気持ちと周囲からの評価をまとめました。「融通が利かない、協調性がない」、という評価は、発達凸凹を持つ方の、「いつものように…」「決めたやり方で…」「自分のやり方で…」という強いこだわりが行動変容の難しさを示しています。また、「要求が多く、やりづらい」という評価は、「みんなも自分のやり方でやってほしい」という気持ちによるものであり、これは仕事をしていく上で、周囲からの理解を得るのが難しい課題だと言えるでしょう。
 



どうすればいい?

こだわりの強い人には、自分の好みのもの、活動への強いこだわりがあります。それが周りの人に影響を及ぼす可能性がある場合は、相手の都合にも配慮が必要です。

特に、職場で我慢しているこだわりを、家庭で発揮するのは考えもの。こだわりとうまく付き合うスキル(技術)が必要です。家族に対して、「〇〇すべき!」といったこだわりを押し付けるような行為は、相手を傷つける可能性によく注意して、柔軟な対応と配慮が必要です。

次に、「自分のこだわりは、他の人にとっては重要ではない」という事実を受け入れることが大事になります。こだわりは、その人にとっていいと思うもの、どうしてもそうしたい、というものです。しかしながら、それは必ずしも相手にとっても同様の価値を持つものとは言えないのです。ここで大切なのは、ルールを決めてその範囲を出ないということです。相手にもその価値を受け入れるよう強要する、大好きなものを共用スペースにあふれるほど収集するのは、相手に迷惑をかける行為なのです。
 

     凸対人関係優先するスキルを凹      


対人関係優先するスキルを

最後に、こだわりとの付き合い方で一番大切なことは「次の案を持っておくこと」、です。本当は、プランAを実行したいが、それが適切ではない場合の対応策としてプランBでもいいという落としどころを用意すること、そしてプランBで納得する練習をしておくことが効果的なのではないでしょうか。

こだわりはあっても良いのです。が、うまく付き合う必要があり、こだわりよりも対人関係を優先できるスキルが大切です。



文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役


きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。
10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。
臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。
好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」。

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『週刊ほ〜むぷらざ』 こんな時どうする?大人の発達凸凹⑧  
第1893号 2023年11月19日掲載

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