うまくいかないのはどんな時？

「恋愛や結婚をしなきゃ」と思う気持ちはあるのですが、「仕事をしながら、または学生生活を送りながら」、「異性（恋愛対象）と付き合う」という二つのことの両立がなかなか難しいわけです。例えば、仕事で疲れて帰る時、彼女や彼氏から「愛のこもったメッセージ」が届くとします。相手はきっと喜んでくれるだろう、と反応を楽しみにしていますが、当の本人は、返事を返すのが面倒くさくなり、放っておいてしまうのです。当然相手は怒って責め立てますが、そんな時「もう、放っておいてほしい」などと思ってしまいます。


なぜ、そうしたことが起こるのか？

なぜそうしたことが起こるのでしょうか？　それは「自分のいけないところも、相手の気持ちもよく分からない」からです。なので、いろいろ不満をぶつけられても、何が気に入らないのか、よく分かりません。「わたしの気持ちを分かって！」と相手は怒るけれど、そもそも相手の気持ちなんて分かるわけがない、と思っています。自分だったらそんなこといちいち気にしないし、人に相談もしないので、共感のしようがないのです。

人の気持ちが読み取りづらい発達凸凹の人たちは、相手の愚痴を聴いたり、慰めたり、励ましたりすることを、とても難しいと感じています。

      凸 「理由が分からない」ことを受け入れる 凹       

マニュアルのない家庭生活ほど難しい

どうすれば良いのか、何をすれば良いのかに正解のない家庭生活は、発達凸凹の人にとって、最も困難な場と言えます。

表１にその理由をまとめてみました。主婦の場合、マニュアルがないのでお風呂の掃除やごみの分別、洗濯や買い物、乳幼児の世話や、塾への送迎、学校からのお知らせや夫の帰宅、といった家事や育児などの優先順位が決められず、段取りも悪いため、時間に追い立てられてしまい、悪循環が続きます。その中で、育児の方法も、困った場面でどうしたらいいのかも分からず、常識的な妻（夫）として求められるものや、異性である配偶者のニーズも理解できず、自分との大きな差異を受け入れがたい、といった事柄から、家庭での人間関係を最も難しいものと感じてしまっているのです。

夫婦のどちらかが、自分のやり方にこだわって相手に押しつけたり、自分の事を優先して周囲のニーズに気づかなければ、必ずもめごとが起こります。日常生活がうまく回らなくなったり、一人にだけ大きな負担がかかることもあります。夫婦のいずれかがこのタイプの発達凸凹だと情緒的な交流が極端に少なくなります。それを求める側は、いつもさみしい気持ちを抱くことになるのです。




困ったへの対処法

表２に、人付き合いを上手にする方法をまとめました。一番大切な事は、良い悪いではなく、特性として「（人と）うまくいかない理由が、分からない」という事実を受け入れることです。そして、うまくいかない時に、周囲がさりげなく教えてくれていることに気づくことです。それでもうまくいかない時は、あなたに好意的で友好的な人にアドバイスをもらうと良いでしょう。







文・金武育子
（株）沖縄発達支援研究センター代表
（株）おきなわｅｄｕ取締役

きん・いくこ／１９７０年、那覇市首里生まれ。
１０代の２人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。
臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、ｏｆｆｉｃｅ育子を経て、現職。
好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」。

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『週刊ほ〜むぷらざ』　こんな時どうする？大人の発達凸凹⑥    
第1885号　2023年9月21日掲載