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2023年8月17日更新

原因は情報の混乱 ズレた事柄一緒に検証|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)⑤

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役



職場の困りごとあるある
  凸 認知にズレがある 凹  

自分では気がつかずに、周りと全く違う理解や反応をしてしまい、周囲を困らせたり、驚かせてしまうことはありませんか? またはそんな人はいませんか? 一番の問題は、本人が、良かれと思って労を惜しまず努力した結果が、周囲に迷惑をかける、といった残念な結果を招いてしまうことです。


どんなことが起こる?

例えば、問題が起こった時、今後の対応について話し合っている場面で、急に「私、話してきます」と飛び出して行ってしまうような人、あなたの周りにいませんか? いったいなぜ、その人が突然そのような行動をするのかが理解できず、周囲は驚き、勝手な行動がトラブルになってしまいます。

チームのメンバーや上司から注意されても、本人は、それがなぜ間違っているのか理解できないので、自分なりの最善の策を否定されたようで複雑な感情を抱き、すっきりしないまま表面的に謝罪して、上司ともお互いにやり過ごし、結局解決していないので、似たような事態が繰り返されてしまいます。そのうち自信がなくなり意欲も低下してしまう、という悪循環を生んでしまうのです。

 

図1 認知の図


認知の仕組みとは?

図1をご覧ください。これは、私たちがどのように自分の外にある情報を理解して、反応するのか、を表した図です。この仕組みを「認知」と呼び、私たちはあらゆる刺激を受け入れて、反応しています。「知覚」とは、見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる、の五感のことです。

前出の例では、みんな一緒に聞いて、考え、話し合っているのに、Aさんが突飛(とっぴ)な行動をするので、なぜか分からず混乱してしまうのです。そして問題を解決する作業の途中で、Aさんの行動についても考え、調整しなければならないため、周囲の負担が増え、感情的になりやすくなります。


ズレはなぜ起こる?

認知に大きく影響する要因として「記憶」があげられますが、これは、体験の違いによる「差」があります。ですから、同じものを見ても、同じ話を聞いても、まったく同じ感想を持つとは限りませんが、発達に凸凹のある人は、経験の差を超えた予想外の反応を示すことが多く、周囲を困らせてしまうのです。

目の前の丸い物体も、よく知っている人と初めて見る人とでは、「反応」が違ってきます。しかし、具体的な物体があれば、他者との認識に大きなズレは起きにくいのではないでしょうか?

一方で、「刺激」が言葉などの目に見えないものである場合、過去の記憶の影響が大きくなり、会議や会話が苦手な人ほど、周囲とは異なる行動を引き起こすのです。


 

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ズレに気付いたら「タイム」を取って

認知にズレがある原因としては、新たな刺激に惑わされ、自分が今やるべきことに集中できず、覚えておかなければならないことが覚えられず、重要ではないことを忘れられない、といった「情報の混乱」が起こっていることがあげられます。「認知」に特徴があることを本人自身も、周囲もよく知ることが重要です。しかし当人は、簡単に自覚できませんので、周囲の人の理解と協力が必要なのです。

認知のズレに気付いたら、「タイム(ちょっとストップ)」を取って、「その事象」を一緒に検証してみるのが効果的です。気付いた時に対処すれば、本人も工夫の仕方を発見できますし、孤立を防ぐことができます。チームとしておのおのの課題を捉えられる環境づくりが大切です。



文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役


きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。
10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。
臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。
好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」。

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『週刊ほ〜むぷらざ』 こんな時どうする?大人の発達凸凹(5)    
第1880号 2023年8月17日掲載

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