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2019年12月26日更新

[彩職賢美]コミュニティーナースin沖縄代表の金城有紀さん|地域とつながり 人・まち元気に

看護師だけど病棟にはいません。地域に出て人とつながり、まちを元気にする「コミュニティーナース」として活動しています。呼ばれれば県内各地どこへでも。地域の検診や自主企画のイベントで健康相談にのったり、自分の心と体の状態を知り、これからの生き方を考えるサポートなどを行っています。

自分主導の健康づくりを伴走

コミュニティーナース in 沖縄
代表
金城有紀 
さん

みんなが笑って楽しい社会 対話と自己決定で寄り添う

コミュニティーナースとは、医療の知識や専門性を生かして地域と密につながり、暮らしのそばで地域の人たちを支え、健康的なまちづくりに貢献する新しい働き方。全国各地で活動が広がっている。

沖縄で唯一のコミュニティーナースとして、フットワーク軽く各地を飛び回り、健康相談を受けたり、地域医療のあり方や健康への意識を高めるイベントを行う金城さん。明るくて気さく。型にはまらないアイデアと行動力で、関わる人の輪をどんどん広げている。

「生活動線上にいることが、コミュニティーナースの強み。小さな村だと、行政の担当者が親戚や子どもの学校のPTAだったりと関係が近過ぎて、病気や介護、子育てのことなどは相談しづらい場合も多い。医療知識を持った第三者が暮らしの身近にいることで、難しい状況になる前に話ができたり、行動変容も起こしやすくなります」

企画するイベントは多様。医学生や、医療・福祉分野を目指す高校生、医療従事者、地域の人が気軽に集まり、テーマに合わせた講義とゆんたくを楽しむ「つながる保健室」。自分が大切にする価値観を明確にし、もしもの時にどうしてほしいのかを大切な人たちと話し合う「人生会議(ACP)」など。今年6月にオランダを訪れ、身体や心の状態、生きがいなど六つの項目から今の自分の状態を見つめ、この先の生き方を考える、新しい健康概念「ポジティヴヘルス」を学び、ポジティヴヘルスを取り入れた自分主導の健康づくりに力を注ぐ。

「病気になる前に自分のことを知って、ありたい自分になるための伴走をするのが、これからの医療従事者の務めだと考えています」。


看護師になったのは、息子を早産した体験と難病を抱えた母親を亡くしたことがきっかけ。突然の不調で入院した母親に付き添うため、当時住んでいた大阪から1歳の息子を連れて里帰りをした。「病気も社会制度のことも、よく分からないことや不安なことが多過ぎて、本当に大変でした」

死期が近づいたとき、余命を告知しなかったため、母親は、こんなにも早く自分が最期の日を迎えることに戸惑いながら亡くなった。大学で人権や法律を学び、沖縄の自己決定権がないがしろにされていることを日本、そして世界に理解してもらおうと一生懸命活動していた金城さん。それだけに、「たった一人の大切な母に、死を前に、自分がどうしたいのかを決め、その思いを家族と話し合ったり、伝えることをさせてあげられなかった。私自身も母と大切な話をできないまま逝かせてしまった」と、後悔の念を抱く。

「私が本当にやるべきだったのは、苦しい時に寄り添い、話を聴き、いつも笑って声をかけることだったんだと気がつき、看護学を学ぼうと決めました」。母親が亡くなった翌年、28歳で看護学校に入学した。

「母が入院した時、ちょっと相談できたり、寄り添ってくれる医療従事者が身近にいれば、どんなに心強かったか」。その思いが、病院でできないことができる、地域での看護活動を後押しする。これから楽しみにしているのは、ピンクのクラウンに乗って県内の小中高校を巡り、ポジティヴヘルスやストレスマネジメントの方法を教えること。

「子どもの頃から自分の辛いことや悲しいこと、ハッピーな状態を知ることは、自分を大切にして、将来のありたい自分になる力になります」。人と地域に寄り添う看護で、ウチナーンチュの健やかでハッピーな暮らしをもり立てる。


相棒はカメラと息子

金城さん提供

実は、フォトグラファーでもある金城さん。幼少期からカメラが大好きで、進学した大阪芸術大学では映像学科を専攻。「戦場カメラマンになって、ドキュメンタリーを撮りたかったんです」と笑う。

看護師として育児相談などを受ける一方、フォトグラファーとして授乳フォトの撮影も手掛ける。「授乳期のお母さんと子どもの時間ってすごく密なのに、授乳している時の写真ってあまりないんですよね。キレイな形で写真を残してあげれば、大事に育てられた思い出として、成長した後も親子のコミュニケーションに役立つと思う」

自身は妊娠30週での早産を経験。1500グラムで生まれ、1か月半NICUに入院した息子は、現在は小学2年生。離婚してシングルマザーとなり、土日のイベントや県外、海外の研修には息子も一緒に参加する。「イベントでは呼び込みを手伝ってくれたり、自分でできることを考えて盛り上げてくれたりしています」と金城さん。


型にはまらず、親しみやすく

金城さん提供

健康への意識を高めたり、コミュニティーナースの活動を知ってもらうため、さまざまなイベントを企画するが、どれも型にはまらずユニークで、気軽な相談、ゆんたくにつながっている。

2019年10月に参加した糸満公設市場の夜市では、市場内の精肉店と協力して、金城さんが七輪(しちりん)でお肉を焼き、食べながら、飲みながら健康相談を受けるイベント「七輪ナース」を開いた=上写真。「イベントを通して地域のいろいろな人とのつながりも広がり、新たな仕事にもつながりました」と金城さん。

11月にはうるま市のシマダカラ芸術祭の一環でリフォームした、伊計島の古民家の庭先で健康相談を行った=下写真。「今後は、廃材を使って作ってもらった組み立て式屋台を持って県内各地を回り、コーヒーを出しながら健康相談を受けるイベントも計画しています」。2020年1月は毎週日曜日に、豊見城市の Studio MONAKAで「つながる保健室」を開催。時間は10時~15時。

コミュニティーナースin沖縄 http://shummeism.com



プロフィル
きんじょう・ゆき

1986年、糸満市出身。大阪芸術大学を中退し、慶應義塾大学法学部通信課程で政治学を学ぶ。28歳で那覇市立医師会那覇看護専門学校看護学科に入学し、看護師に。2019年1月、レキオンリンクスを設立。みんなが笑って、楽しく生きられる社会を目指し、地域看護や予防医療、公衆衛生を学び、コミュニティーナースとしてイベントの開催や講演活動、ヘルスケアの個別相談などに携わる。HP「コミュニティーナースin沖縄」を運営する。


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撮影/比嘉秀明 文・比嘉千賀子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1352>
第1691号 2019年12月26日掲載

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この記事のキュレーター

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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