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2018年11月8日更新

[彩職賢美]学童「キッズクラブ・カナカナ」代表 一般社団法人カナカナ代表理事の松田かなえさん|全ての子どもに居場所を

南風原町兼城で学童を、同町照屋では夜の居場所づくりに取り組む松田かなえさん(38)。「子どもたちに、体にも心にも温かい食事を与え、安心できる場所を提供したい」と思いは強い。「子育てに戸惑い悩む親にも寄り添いたい」と気取らない言葉で声を掛け続ける。否定は孤立につながる。「分かるよ、大丈夫だよ」。松田さんの言葉が親子の気持ちを軽くし変化を生み出している。

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子も親も否定せず寄り添う

学童「キッズクラブ・カナカナ」代表 一般社団法人カナカナ代表理事
松田かなえ さん

「ただいまー!」「かなえさん、今日のおやつなに?」。 午後3時半、南風原町の住宅街にある学童「キッズクラブ・カナカナ」に子どもたちの元気な声が響く。「お母さんが待つ家に帰ってくるような、ほっと安心できる場所にしたい」と代表の松田かなえさん。食を通して子どもたちを育みたいと、おやつや食事は担当職員が全て手作り。子どもたちの調理体験も行う。

広い園庭や畑での収穫体験など屋外活動も盛んで、松田さんの日焼けした肌が充実した日々を物語る。

松田さんは自身の子育てから、赤ちゃん連れでもくつろげるキッズカフェを開店したり、食育をコンセプトにした学童保育を開設するなど「あったらいいな」と思うことを次々に行動へ移してきた。

そんな中、沖縄には夜働く一人親世帯や土日祝日、夏休みなど、子どもが孤立したり、給食がなければ1食も食べられない子が多くいることに胸を痛める。子どもたちに対するより手厚いサポートの必要性を感じた松田さんは、学童を運営しつつ、法人を設立して別の場所に民家を借り、午後10時まで居場所を提供する、町の「子ども元気ROOM」事業に他事業所と連携し取り組むようになった。

現在約20人の子どもが居場所を利用する。自宅への送迎は特にこだわりがある。「玄関に行けば家庭の状況が分かり、親の支援につなげることができる」と話す。最初は顔も見せなかった親が、だんだんと言葉を交わすようになり、育児の相談もするようになる。「子育てをどこに相談していいか分からないという親は多い」という。

松田さんは「親も子も否定しない」ことを大切にしている。「私は人を責めたくない。子育てに戸惑い悩むお母さんの気持ちはよく分かる。そんなお母さんにも寄り添いたい。誰だって悩みながら子育てしている。完璧なんてないよ。一緒に子育てしようよ。大丈夫だよって伝えたい」


夜の居場所を利用するA君は、サッカーが大好きで元気な男の子。みんなで取り組む食事作りを最初は嫌がっていたが、松田さんたちと過ごすうち心を開くようになり、仲間にも入るようになった。「これ、Aが作ったんだよ」「ほんとに~! まじ、おいしい~!」。他の子に言われ、A君は照れくさそうに笑った。

3月。小学校の卒業証書を手にしたA君が舞台の上で堂々と宣言した。「僕の将来の夢は調理師になることです!」。サッカー大好き少年は、プロ選手より、松田さんたちと過ごした食事の時間の温かさ、喜びに夢を抱いた。「私もスタッフもみんな号泣でした」と振り返る。

松田さんは「県内では中高生の不登校が大きな悩みになっていますが、小学生のときにつながりがあれば、声を掛けたり現状を把握でき、改善も早い。A君にとって私たちの存在はきっと大きな力になるはず」と力を込める。

苦労や悩みも多いが、「子どもたちの笑顔、成長や変化を感じるときのやりがいが私の原動力」と語る。全ての子どもたちが安心して笑顔で過ごせるように、松田さんの歩みが止まることはない。


事業所連携で365日サポート

沖縄の子どもの孤食や貧困問題が浮かび上がる中で、南風原町が夜の居場所づくり事業を公募。松田さんは一般社団法人カナカナを立ち上げ、2016年より「子ども元気ROOM」事業に取り組むようになった。松田さんは認定NPO法人「侍学園スクオーラ・今人沖縄」と連携。侍学園は月~木曜、カナカナは金~日曜を担当する。

「子どもの貧困対策についての取り組みは365日体制が必要。二つの事業所で連携することで、子どもたちを毎日サポートすることができ、事業所の負担も軽減できる」と話す。この取り組みに、両施設には全国から視察が来るなど注目を集めている。南風原町照屋で民家を借り、夜の居場所として提供している。


南風原・琉球かすりの女王

2012年、第29代南風原・琉球かすりの女王ミセスブーゲンビレアに選出され、任期の2年間、南風原町や琉球絣の魅力を町内外へ広くアピールする活動に取り組んだ松田さん=右から2人目。

動機は「引っ込み思案な長女のために、挑戦することの大切さを示したかったから」。選ばれたとき、「娘が泣いて喜んでいて、その方がうれしかった」と振り返る。


松田さんのハッピーの種

Q.多彩な経歴をお持ちなんですね。
豆腐マイスター、お魚レシピ伝道師、イギリス国家職業資格BTEC認定チャイルドマインダーの資格がある他、オリジナル島ぞうり彫師もやっています。好奇心旺盛で、南風原町が大好き。町のためになんでもやりたい(笑)。南風原の観光PRになればと、県外修学旅行生の民泊も受け入れています。学童で一緒に過ごすと子どもたちはお互い刺激があるようで交流を楽しんでいます。最後は島ぞうり彫りを体験させて、おみやげにするのが好評です。




PROFILE
まつだ・かなえ
1980年、南風原町出身。首里高校、育英義塾教員養成学院卒。アメリカテキサス州で1年間語学留学。2005年、結婚。2男1女の母。08年、キッズレストラン・カナカナ、13年、学童キッズクラブ・カナカナを設立。16年、一般社団法人カナカナを設立し、代表理事に就任。南風原町の「子ども元気ROOM」事業に取り組み、夜間、子どもが安心して過ごせる居場所を提供している。


撮影協力/学童「キッズクラブ・カナカナ」

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撮影/比嘉秀明 文/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1317>
第1633号 2018年11月8日掲載

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