彩職賢美
2018年2月22日更新
[彩職賢美]合同会社暮らしかたらぼ おうちみがきトレーナーの比嘉理絵さん|掃除の心得伝え
比嘉理絵さん(40)は4児のママ。「掃除は幼児期から身に付けたい習慣」との思いから、小学校やPTAの集まりなどで講演、心得を伝えている。「掃除がきちんとできることは、子どもが家庭を巣立つときに親から渡してあげられるバトンです」。幼少のころから掃除、片付けなどは当たり前の家庭に育った比嘉さんの、経験に裏打ちされた言葉だ。
子どもに継ぎたい掃除習慣
合同会社暮らしかたらぼ
おうちみがきトレーナー
比嘉理絵 さん
「掃除できることが仕事になるとは夢にも思わなかった」。エステティシャンだった比嘉さん。まさに転職が天職になり、いまや掃除のプロを育成する立場にいる。比嘉さんは今の境遇に自分でも驚き「掃除をした対価としてお金をいただけるなんて考えたこともなかった」と言葉をつないだ。無理もない。祖母も母も、掃除して片づけをすることで家庭内が明るく楽しく居心地がいい空間になることを身をもって教え、比嘉さんも2人の教えを「当たり前」に受け継いだ。3代で積み重ねた習慣なのだ。
仕事で帰宅が遅い両親に代わって、夕食が早く、寝るのも早い祖父母のために、夕食の支度は比嘉さんの役目だった。しかも小学2、3年生のころからずっと。「タマナーチャンプルー(キャベツ炒め)、オンリーでしたけどね」。比嘉さんがちゃめっ気たっぷりに振り返る。「母は父より帰りが遅いことが多かった」。そんな母も日曜日には家族の協力の下、シーツの洗濯、布団干し、そして掃除は欠かさなかった。長い廊下の雑巾がけも。そのときには雑巾がけの手順、雑巾の絞り方にまで注意が飛んだという。
盆、正月には通常の掃除のほかに、ワックス掛けが追加された。「なぜ、掃除をするのか疑問はありました。当時は、やらされた感、満載でしたね」。上の兄2人も同じようにさせられた。男の子の仕事と思われるコンクリートブロック運びも大工だった父の日曜大工の手伝いで比嘉さんもやらされた。皿洗いも洗濯物を畳むのも同様に男女分け隔てなかった。
掃除の道に入ったきっかけは、合同会社暮らしかたらぼの根原典枝代表との運命的な出会いだった。2人はかつて同じエステサロンで働いていた。らぼを立ち上げる以前の話だ。
あるとき、いつもトイレ掃除は根原さんだったが、比嘉さんが初めてトイレを担当したことがあった。「すんなり終わったので、見ると、ピッカピカ。しかもクオリティーが高かった」と根原さん。どうしたのか聞くと、根原さんがてこずっていた敷き詰められた小石を比嘉さんはバケツに種類別に集めてアサリを洗うように洗ったことが分かった。しかも洗面台などもきれいに拭き上げられ、水一滴ついてなかったという。
ほどなくして家事代行会社を立ち上げ、仕事のパートナーが欲しくなった根原さんが、何気に比嘉さんに電話をすると、比嘉さんもサロンをやめて1週間ほどたったころだった。掃除の会社と聞いて「えーっ?」とわが耳を疑った比嘉さんだったが「清掃と整理、整頓が違うことを根原さんから学んだ」と今は、らぼとの出合いに感謝している。
共働き家庭が増え、子どもも塾や部活で忙しい昨今、家事で掃除は後回しにする家庭は多い。掃除ができないでいるとイライラの連鎖が家庭内で起こりがち。そんな時に家事代行を入れると気持ちもスッキリする。らぼのお客からは「家族に笑顔が増え、夫婦の関係も円満になった」と喜びの声が寄せられているという。
らぼでは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5Sを広める活動に注力。比嘉さんは祖母や母から言い聞かされた「ヤーナレール、フカナレー(家でやっていることがそのまま外で出る)」を胸に、事業推進に尽力するつもりだ。
節目の行事には着物を着る
母大城弘子さん(68)と着物を着て名護市・万国津梁館でツーショット。母のように着付けもできればと考えてはいる。時間が取れるようになったら学ぶつもりだ。母には「肌じゅばんぐらいは自分で着れるように」と言われている。
子どもの入学式や卒業式などの行事には着物を着るように努めている。(写真2枚とも比嘉さん提供)
母校での講演会に父母多数
母校の沖縄市立高原小学校での講演会では大きな横断幕が掲げられ大歓迎。「ちょっと恥ずかしかった」ようだが、講堂には熱心な父母が駆けつけ、「子どもが上ばきを洗ってくれない」など質疑応答も。
ことしは啓蒙活動(けいもうかつどう)にも力を入れるつもりだ。
2017年は和歌山県で自主開催の講演を3カ月に1度のペースで4、5回開いた。
初の講演会の下準備メモ
初めての講演会で下準備のためB4用紙にまとめたメモ=写真左。思い出に取ってある。
メモを元に根原代表が絵コンテ=同右=にまとめてくれた。
比嘉さんのハッピーの種
Q.幸せを感じるのは、どんな時?
末の子と一緒に遊ぶときは楽しいですね。
あと長女が部活でハンドボールをやっていたので大会ごとに応援に行くのも楽しかった。次女はマネジャー、高2の長男は強豪高の現役選手です。
長女は「JOC」にも選抜され、おかげで県外にも行くことができました。
海外留学を考えている高3の次女とはこの前、台湾に行きました。子どもたちのおかげで旅行ができ、ありがたいと思っています。
PROFILE
ひが・りえ
1977年沖縄市出身。沖縄市立美東中学校、県立北中城高校卒。モデルやエステティシャンを経て合同会社暮らしかたらぼ入社。4世代家族の中で、20歳から5歳までの1男3女の母。現在はおうちみがきトレーナーとして同社のおうちみがきマイスターの指導にも当たる。
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1289>
第1596号 2018年2月22日掲載