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2017年10月12日更新

[乳がん対策]リスク意識し検診から早期発見

【funokinawa】乳がんは患者数が年々増え、今や日本人女性の11人に1人がかかる身近な病気だ。琉球大学付属病院の国仲弘一医師は「食事や生活習慣の変化が影響していて、対策をしなければ今後ますます増える。運動や食事、肥満の予防が、リスクを下げます。早期発見がとても大事なので、ぜひ検診へ」と話す。

患者数は年々増加 今では11人に1人

乳がんは、乳腺にできる悪性腫瘍で、女性がかかるがんで最も患者数が多い。乳がんにかかる人の割合は、年々増えていて、現在11人に1人(※)。国仲医師は「乳がんのリスクを高めるのは、月経期間が長い(初潮年齢が低い、閉経が遅い、出産経験がない、高齢出産など)、食の欧米化、運動不足などが原因」と指摘する。40代以上の罹患率が高いが、20代、30代でかかる人もいる。

タイプさまざま
乳がんには、いくつものタイプがある。「乳がんは一つの病気じゃない、と言うほど、タイプによって症状や治療法が異なります。おとなしくて薬が効きやすいものもあれば、薬が効きにくいもの、スピードや広がり具合なども異なります。ただし、どんなタイプでも2センチ未満の初期の段階で見つかれば、治しやすい。乳がんは比較的薬が効くものが多く、5年生存率は91%と、ほかのがんに比べて高い」と説明する。

検診で早期発見
早期発見のために、大切なのが検診だ。「1~2年に1回の定期検診を受けていれば、ほぼ初期の段階で見つけることができる。検診と検診の間に見つかるがんは、まれです。国の対策として40歳以上は2年に1回、マンモグラフィーによる検診が推進されています。任意にはなりますが、40歳未満でもリスクの高い人は1年に1回受けたほうがいいでしょう」とアドバイスする。
リスクが高いのは、肉親に乳がん患者がいる、30歳までに妊娠・出産の経験がない、肥満、飲酒など。日本の乳がん検診率は44.9%(2016年国民生活基礎調査より)。「欧米の受診率は7割で、受診率が上がると、乳がんで亡くなる方が減りました。触診による検診では、死亡率が下がらないという調査結果が出ていて、セルフチェックも同様です。ただし、変化や違和感に気付いたら、すぐに受診してください」。

野菜・果物が効果的
国仲医師は、予防の大切さを強調する。運動、肥満の防止、野菜や果物を多くとることが効果的だという。「最も効果があるのは運動で、25%リスクが下がると言われています。運動はすればするほど、また、激しいほど、効果があります。ウオーキングなら週に3時間、ジョギングなら週に1.5時間程度が目安です。肥満もリスクが高くなるので肥満の解消や予防も重要です」。
野菜や果物の摂取も効果的だ。若いうちに食物繊維を多く取る習慣があると、将来の乳がん予防に効果があり、子どもに食物繊維(野菜、豆類、海藻類など)をとる習慣をつけるといいという。「アメリカは5人に1人は乳がんで、日本も対策をしなければ増えていく。沖縄の女性は体格指数(BMI)が全国で最も高く、野菜摂取量は44位。ぜひ日ごろから、予防を意識し、検診を受けてください」と注意を促した。


国仲弘一医師。琉球大学付属病院乳腺・甲状腺外科チーフ。日本乳癌学会専門医。

※国立がん研究センター「がん情報サービス」最新がん統計



BMIと乳がんリスク

BMIが23以上25未満を基準(ハザード比=1)とした場合、閉経前でも閉経後でもBMIが大きくなると乳がんリスクが高くなる。閉経後の乳がんリスクはBMIが低いほど小さく、大きいグループほど高くなる傾向にある。


年齢階級別 罹患(りかん)率 全国推計値 2013年



乳がんのリスク

  • 第一度近親者(親、姉妹、娘)に乳がんの人がいる:約2倍
  • 第二度近親者(祖母、孫、おば、姪)に乳がんの人がいる:約1.5倍
  • 飲酒・肥満
  • 出産経験が無い、初産が30歳以上
  • 授乳経験が無い、期間が短い

 

検診はどこでどう受ける?

主な検診は、乳房に超音波を当てる「超音波検査(エコー)」と、乳房を専用の板で圧迫してエックス線を照射する「マンモグラフィー(マンモ)」がある。マンモは40歳以上の人の乳がん検診で有効性が確認されていて、国は40歳以上の2年に1回の検診を推奨している。ただし乳腺の密度が濃い高濃度乳腺の場合、がんを見つけにくいことがある。それを補う手段としてエコーが有効という調査結果が出始めている。
乳がん検診は乳腺科や乳腺外来のある病院や、乳腺専門のクリニックなどで受けられる。


経験者から貴重な声
乳がんを患った女性のためのサロン「ぴんく・ぱんさぁ」で、乳がんを患ったみなさんに、乳がんとの向き合い方やどう乗り越えたか、今の思いを聞きました。

高濃度乳腺でエコーで発覚

長田るみ子さん(54)
主婦
マンモの検査を毎年受けていたが、しこりが気になり病院へ。エコー検査を受けて乳がんが発覚。ステージ2で転移していると言われ、死が思い浮かんだ。最初は検診での見落としかと思ったが、乳腺が発達していてマンモでは見つけづらいと聞いた。
手術前の抗がん剤治療で脱毛。ウイッグをかぶるようになってから9カ月ほど精神的に落ち込み、人に会わなくなった。手術後、髪の毛が生えてきたらだんだん気持ちが明るくなっていった。ぴんくぱんさぁで、「まつ毛も抜けるけど、絶対に髪の毛もまつ毛も生えてくる。生えなかった人はいない」と言われたことが励みになった。同じ立場の人と話して共感できたのが大きかった。
妹も乳がんになったが、早期に発見されて随分軽かった。専門の病院で診てもらうことが大切だと思う。早期発見すれば精神的、経済的な負担も少ないので、周囲の友人には検診を勧めている。
 

仕事への復帰が励みに

宮里まり子さん(52)
ヘッドセラピスト
乳首から出血して服ににじんでいたのを娘から指摘されてすぐに検診へ。悪性だった。毎年検診は受けていて、違和感や痛みはなかった。乳がんと告げられた時、「まだ孫の顔も見ていないのに死ねない」と頭が真っ白になった。
2カ月ホルモン治療を受けた後、手術をした。手術前は、朝起きたら死んでいるんじゃないか、と不安になって夜も眠れず、2カ月がとても長く感じた。手術は成功し、痛みもなかった。その後、全摘した乳房再建の手術を受けている。
自宅でヘッドセラピーのサロンを開業していて、「仕事をして、社会に戻ること」が希望となり、支えとなった。仕事の関係者から、「ゆっくり休んで養生して」と仕事をすることを止められたことが一番苦しかった。
術後、手が上がらなくなったが、復職を目標にリハビリに励み、手術後2カ月で仕事を再開した。がんになって、働けることは生きること、幸せだと思うようになった。2人に1人ががんになると言われる時代、他人ごとではない。がんになっても終わりではない。仕事もできるし、生きていける。仲間もいる。「リレー・フォー・ライフ」で、ぴんくぱんさぁとして、ヘッドセラピーなど癒やしのブースを出展する。多くの方に、ぜひ足を運んでほしい。
 

苦しかった治療乗り越え

Tさん(53)
主婦
触診で違和感を感じて検診を受け、乳がんが発覚。抗がん剤を打ち、ことし1月に手術。毎日通う放射線治療がきつかった。手がつっぱり、ご飯を食べるのに1時間かかり、空腹も満腹も感じられない。それでもご飯を食べないと体力がつかない。深く絶望したこともあるが、治療を乗り越えた今、ここからどう進むか、自分の病気は自分で治すしかないと思えるようになった。
 

2回乳がんになり復職

Nさん(53)
接客業
母が乳がんで亡くなり、検診は受けていた。再検診で発覚。接客業で体力勝負。独身で「仕事ができなくなるかもしれない、どうやって暮らしていこう」という不安が大きかった。10年前に乳がんになり、手術後1カ月で復職。その後、逆の乳房が乳がんになったが、1年休んで復職。仕事を続けている。
治療を受けて感じたのは、サポートする人が必要なこと。治療法の説明の付き添いをきょうだいにお願いしたが、家族がいないと大変だと思った。インターネットで情報が飛び交っているが、経験者からの「辛いのは今だけ。過ぎてしまえば大丈夫」の言葉に励まされた。
 

早期発見で負担軽く

玉城しのぶさん(46)
主婦 パート
自覚症状はなく、40歳の時に市が配布する無料クーポンで気楽な気持ちで検診を受け、乳がんが見つかった。最初は大変だと思ったが、セカンドオピニオンを受け、複数の医師の説明を受けて、初期で見つかってラッキーだと思えるようになった。抗がん剤はせず、術後2週間で普通に生活ができるようになった。その後も体の調子は以前と変わらず、思ったよりも負担は少なかった。

 

情報サロン ぴんくぱんさぁ
乳がんを患った女性に「乳がんの知識と正しい情報」の発信と、経験を通して「正しい検診による乳がんの早期発見・正しい治療の大切さ」を訴えるぴんく・ぱんさぁ。浦添市にあるサロン「リボンズハウス」を拠点に、活動している。乳がんを患った女性のための、共に学び、励ましあう情報サロンで、体験者同士の相談や情報交換や勉強会のほか、がん治療による脱毛を経験した美容師が、かつらや帽子の相談会を開催(第2・4火曜)。その他にも術後用の手作りパット・補正下着の情報などを提供している。


ぴんくぱんさぁで談笑する、左から時計回りに、宮里まり子さん、城前ふみさん、玉城しのぶさん、与儀淑恵さん

火・水・金13時~16時(祝祭日は休み)
沖縄県浦添市城間2-3-1
070-5487-9721



がんの啓発イベント11月11、12日
リレー・フォー・ライフ

がん患者や家族を支援し、がん啓発のための24時間チャリティーイベント「リレー・フォー・ライフジャパン2017沖縄うらそえ~語り愛、分ち愛、支え愛ちむぐくる沖縄~」が11月11日(土)12時~12日(日)12時、浦添市カルチャーパーク内「てだこ広場」で開かれる。主催は同実行委員会、公益財団法人日本がん協会。
夜通し歩くリレーイベントや催し物、がんについて学ぶコーナー、キャンドルライトセレモニー、参加者や地域住民との語り合い、募金、などが行われる。寄付参加費は大人1000円。サバイバー(がん患者)と高校生以下は無料。


同事務局
070-1949-3613
 


編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』第1578号
2017年10月12日掲載

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おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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