[彩職賢美]城紅型染工房の山城祥子さんと吉濱愛さん|紅型を暮らしに|fun okinawa~ほーむぷらざ~

沖縄で暮らす・食べる
遊ぶ・キレイになる。
fun okinawa 〜ほーむぷらざ〜

沖縄の魅力|スマイリー矯正歯科

わたしらしく

彩職賢美

2017年4月27日更新

[彩職賢美]城紅型染工房の山城祥子さんと吉濱愛さん|紅型を暮らしに

山城祥子さん(39)と吉濱愛さん(36)姉妹は紅型デザイナー。母は創業者、父は代表を務める城紅型染工房で「暮らしの中に紅型を」をコンセプトに、伝統に新しい感覚をプラスしたさまざまなアイテムを制作。2人は「子どもが生まれたのをきっかけに商品の幅が広がった」と話し、伝統工芸を身近に感じてもらう取り組みにも力を入れている。


 

伝統に新しい感覚をプラス

城紅型染工房
山城祥子 
さん(企画・デザイン)
吉濱愛 さん(デザイナー)


紅型を始めたきっかけは、「紅型工房に生まれたから」と明快だ。創業した母玉城政子さん(69)は名渡山愛順氏(故人)の弟子。名渡山氏は沖縄を代表する画家で、1950年発足の「琉球紅型研究会」の発足メンバーだ。父盛和さん(69)は広告誌の記者から結婚後、工房代表に。兄も工房に携わり、山城さんの夫はショップの店長と一家総出で紅型の啓発、発展に努めている。

工房の特徴は、赤ちゃんや幼児向けのさまざまなアイテムを手掛けていること。山城さんには3歳と6カ月の男の子と女の子がおり、吉濱さんには小4の男の子と5歳の女の子がいる。商品開発の発想は育児の中やママ友らの要望から生まれる。

商品化のために他の分野と共同開発もする。卓上こいのぼりは木工作家とのコラボレーションだ。子ども用衣服は頻繁に洗濯しても色落ちしない顔料の研究に力を入れた。安心・安全にも心掛けるのはママの目線だ。

日傘など、普段使いのアイテムにも伝統の染めを撥水性のUV生地に転写するなどしてコスト削減とデザインの多様性を実現した。山城さんは「お客さまの声に耳を傾けて、毎日使ってもらえる工夫を積み重ねることが大切です」と述べ、客層がこれまでの50代以上も含め、20~30代の子育て世代にも拡大したことに手応えを感じている。



沖縄で国際海洋博覧会があったころは紅型が飛ぶように売れたという。吉濱さんは「製造が間に合わないほどだったそうです」と述べ、現在の工房の屋台骨ができたのは海洋博特需のおかげと語った。

ところが家業は順風満帆とは行かなかった。重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行やアメリカ同時多発テロの影響で観光客は激減、観光業界は大打撃を受け、紅型染業界も全体の売り上げが大幅に減った。

観光中心ではやっていけない。みんなで考え抜いた結果が、ベビー服や日常品へ軸足を移すことだった。「ピンチをばねにチャンスに変えました」。2人は口をそろえ、笑顔を見せた。今があるのはそのときの不屈の精神のおかげだ。

紅型以外のコンテストへの応募にも取り組んだ。姉は「第1回かりゆしウエアコンテスト」でゴールド賞に輝き、妹は2000年九州・沖縄サミット開催記念「OKINAWAテキスタイルデザインコンテスト2000」でゴールド賞を獲得。同時に姉もブロンズ賞を得た。ゴールド賞の作品は外務省スタッフの制服になった。さらにゴールド賞の賞金でパソコンを導入、姉がパソコン教室に通いスキルを磨き、これまで手書きだった紅型のデザインをパソコンでやるようになった。

紅型の情報を発信するために積極的に会員制交流サイト(SNS)を活用している。店に並べてお客を待つ従来の方式を転換、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターを駆使して積極的に海外からの観光客の取り込みも図っている。効果は徐々に上がっている。

紅型を広める取り組みの一環、体験教室は、親子連れらに人気だ。夏休みの自由研究で紅型に取り組む児童も。2人は「入り口をつくることで興味を持ってもらい、業界の発展につなげたい」と紅型の将来像を描いている。




100種類もの豊富な品ぞろえ

製品はおよそ100種類。姉の繊細で優しいデザインと妹の自由な発想とアーティスティックに描く作風から次々と生み出されていく。
卓上の紅型こいのぼりは木工職人とのコラボ製品。組み立て式で、一つの箱に収納できる。
Tシャツやベビー服には独自のキャラクターや沖縄にこだわったデザインをあしらった。紅型柄のスマホケースは沖縄らしい色鮮やかさが人気だ。





御座楽や琉舞も習う

琉舞好きの母の勧めで姉は3歳から、妹も自然に琉舞を舞うようになった。姉は20代に新人賞受賞。九州沖縄サミット公式行事にも参加した。
琉球王朝時代の室内楽、御座楽(うざがく)も姉妹そろって習った。週1回の練習とイベント出演で故登川誠仁さんや有名な舞踊家との共演も。写真は通っていた琉舞研究所の御座楽保存会のみなさんと首里城正殿前での一コマ。





山城さん 吉濱さんのハッピーの種

Q.気分転換はどのように図っていますか?
山城さん/カフェ巡りです。あとは6カ月になる娘の成長する姿を日々、見ていることですね。カフェはネットで探したり、通りすがりに見かけた雰囲気の良さそうな店に休日に訪ねたりします。
吉濱さん/友人と日本酒を飲みに行くこと。大学が京都だったので日本酒は好きです。それからおいしいお店を見つけること。自然の美しい場所に行くことです。



PROFILE
城紅型染工房 企画・デザイン
山城祥子さん(やましろ・しょうこ)

1977年浦添市出身。首里高校、女子美術短期大学服飾デザイン卒業。りゅうぎん紅型デザイン公募展入選。第1回かりゆしウエアコンテストゴールド賞、ほか。

城紅型染工房 デザイナー
吉濱愛さん(よしはま・あい)

1981年浦添市出身。首里高校染織デザイン科、京都芸術短大染織テキスタイルコース卒業。OKINAWAテキスタイルデザインコンテスト2000「ゴールド賞」、ほか。


<ショップ情報>
城紅型工房
http://www.gusukubingata.com/
沖縄県浦添市前田4-9-1(地図
098-887-3414


週刊ほーむぷらざ「彩職賢美」|輝く女性を応援!
今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明・編集/上間昭一
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1252>
第1554号 2017年4月27日掲載

彩職賢美

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

キュレーター
上間昭一

これまでに書いた記事:26

編集者

TOPへ戻る