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2015年3月19日更新

[彩職賢美]HappyBerry オーナー 小磯悦子さん|震災乗り越え 幸せの味届け

沖縄県浦添市で手作りの焼き菓子やケーキを販売する「HappyBerry」を営む小磯悦子さん。元々は福島県内で店舗を営んでいたが、東日本大震災で沖縄に避難。「私が作るケーキで食べた人が幸せになってもらえれば」と、初めての土地での不安や難しさを乗り越え、県内でも店舗をオープン。「たくさんの人に食べてもらいたい」。その一心で前へと進む。

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【彩職賢美】素材にこだわったスイーツ作り|HappyBerryオーナーの小磯 悦子さん
 

おいしいものは全国共通

素材にこだわったスイーツ作り
HappyBerryオーナー

小磯 悦子さん


ショーケースに並ぶマフィンやロールケーキなど、丁寧に作られたスイーツの数々に目が奪われる。
小磯さんは「口に入るものだから素材は産地、旬にもこだわる。安心安全で新鮮なものを選び、全て手作り」と徹底する。
「HappyBerryのケーキが大事な場面の一瞬を彩ったり、おいしいって喜んでくれる瞬間がとても幸せ。私の作るケーキでみんなが幸せになってほしい」とはにかんだ。
山形県の大学で心理学を学んだ後、故郷の福島県で不登校の子どもたちと関わった。悩み、悲しむ子どもたちを前に「自然の中でのびのびと過ごせる居場所を作りたい」と思うように。
目標に向けて自分にできることを考え、たどり着いたのがお菓子屋さんだった。「食べ物は心と体を作る。せっかくなら自分の好きなお菓子作りを通し、作り手のことや大切に食べることを伝えたかった」と小磯さん。
製菓は独学。食べ歩きと試作を繰り返し「自分のおいしさ」を追求した。2012年、ふるさとで焼き菓子とケーキを販売する「HappyBerry」をオープンさせた。
店は口コミで広がり、首都圏からも人が訪れるようになった。「旬の果物が収穫できるような農場を作り、障がいを持った人も就労できるようにしたい」。次のステップを見据えたころ、東日本大震災が起きた。


焼きあがったマフィンをショーケースに並べる小磯さん(右)。宜野座産のイチゴなど、県産の旬の食材を使ったケーキも数多い
焼きあがったマフィンをショーケースに並べる小磯さん(右)。宜野座産のイチゴなど、県産の旬の食材を使ったケーキも数多い


被害は免れたものの福島第一原子力発電所事故で終息が見えない状況。「体のことを考えたお菓子を提供できるのだろうか」と悩んだ。幼い娘たちのことも考え一時的に店をしめ、家族と共に沖縄へ避難。「3月の福島はとても寒かった。沖縄は温かく、海も自然も美しく別世界だった」。命の危険を感じることも無くなったことにも、ようやく安堵できたという。
来沖後、真っ先に考えたのは店のこと。「この先どうなるか分からないが、みんなが安心して働ける場所を確保しなくては」。8月、避難先のうるま市に店舗をオープン。一昨年には現在の場所に移転した。
全く初めての土地での再スタートには「難しさや不安、それにアウェイ感もあった」と苦笑い。それでも「自分の作るお菓子はおいしいと自信を持っていた。おいしいものを作るのは福島の時と一緒。沖縄も福島も変わらない」とにっこり。素材にこだわり手間隙かけて作られたケーキと丁寧でアットホームな接客にほれ込み、今では熱心に通う常連客も少なくない。
震災を経験したことで「目の前の人を、今を、より大事にすようになった」と言う。「故郷があること、生活できることは当たり前じゃないと気付かされた。ケーキを作れることや家族や仲間、お客さんと一緒に過ごせることはとても感謝すべきこと」。だからこそ、ケーキに対してより一層を思いを込める。
目標へはまだ道半ば。それでも「まずは一生懸命、今を生きる」とあの日を振り返る。
「みんなが幸せになれるお菓子をもっとたくさん作って、多くの人に食べてもらいたい」。思い新たに沖縄で、福島で力強く一歩を踏み出す。

 

小磯さんのハッピーの種

Q.小磯さんの原動力は?
スタッフです。私1人では何もできません。みんながいるからここまでやってこれました。
スタッフたちがお菓子と向き合う姿、仕事の様子やお客さんのことを生き生きと話す姿を見るのが本当にうれしい。
現在は福島県の店舗も再開し、沖縄との交流も活発です。スタッフ同士でもレシピのやり取りや情報交換したり、切磋琢磨する関係です。距離は離れていても心は近いですよ。

Q.沖縄で好きな場所は?
子どもたちの通ううるま市のうりずん学童保育園です。ベテランの先生たちがおおらかな心で自然体の子どもたちを見守ってくれる場所です。付近にも山があり、自然がいっぱいで、景色がとてもいい場所です。沖縄にはすてきな場所がたくさんあると思っています。


Happy Berry 浦添店
沖縄県浦添市仲間1-2-8
098-943-9814
営業/9時半~18時半
※定休日=火・第2水曜日
http://yabukiya.exblog.jp


今週の彩職賢美は小磯悦子さん|Happy Berry
PROFILE
小磯悦子(こいそ・えつこ)1978年、福島県生まれ。2001年山形大学(山形県)卒業。福島県内の適応指導教室で働いた後、04年、同県で焼き菓子とケーキの店「HappyBerry」をオープン。11年、東日本大震災を機に沖縄県に避難。8月、うるま市に店舗を開く。12年4月、浦添市に移転。オーナーとして調理から店舗の運営なども幅広く携わる。



今までの彩職賢美 一覧

マイライフ|ファンオキナワ


撮影/比嘉秀明・編集/相馬直子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1161>
第1444号 2015年3月19日掲載

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編集者
横浜市出身、沖縄で好きな場所は那覇市平和通り商店街周辺と名護から東村に向かう途中のやんばる。ブロッコリーのもこもこした森にはいつも癒されています。「週刊ほ〜むぷらざ」元担当。時々、防災の記事なども書かせていただいております。被災した人に寄り添い現状を伝えること、沖縄の防災力UPにつながること、その2点を記事で書いていければいいです!

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