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2013年1月10日更新

何を伝えたいのか「海と調和し生きる真理」

海んちゅ写真家 古谷千佳子のフォトエッセー「潮だまり」vol.22

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何を伝えたいのか

海と調和し生きる真理


新正月を迎え、少し落ち着いた後、また旧正月を迎えられる。東京で育ち暮らしている中では、全く触れたことのなかった時間軸だ。沖縄で海人(うみんちゅ)の世界を知ると同時に私の中に加わった旧暦。新月が1日、三日月が3日、満月が15日といった具合に月の満ち欠けをベースに作られた旧暦(太陰暦)は、月の引力によって発生する潮の満ち干とリンクしていて、海で働き生きる人々には欠かせないものだ。

学生には「学期制」、会社人であれば「決算月」や「年度末」など、決められた「節目」があるが、フリーで働く写真家にはそれがない。だから、新年という「節目」が非常に重要だ。

とはいえ、目標を立て切れないことも多々。そんな時は、2回目の正月までにおさらいをする。その誤差は私にとって、バトンリレー競技でパスが可能な「テークオーバーゾーン」のようなもの。「一人 リレー」である私にとっては堂々とできる猶予というか、余裕を与えてくれるものだ。

さて、海人写真家として新年の抱負を考えるに当たり、何を表現してきたのか整理してみる。 私が興味を惹かれている「海辺に生きる人々の暮らしや仕事」、それは人の社会と自然との接点にあるものだ。では、狩猟採取といった漁業、さらには自分の息を止め、素潜りで海の幸を捕る、といった原初的な漁法へのこだわりとは何なのか?

それは、人知の及ばない恩恵と脅威を与える「海」というフィールドで「自然」に合わせることで漁獲を増やし、限られた資源といかに向き合い、付き合うかを配慮しながら生きていく、そんな海人や海女さんたちにこれからの時代を生き抜く知恵を授かりたいからーそんな答えが出てきた。

社会の常識と思われているものに疑問を持ったとき、誰かからその対処法を教えてもらうのではなく、自然とともに生きている人々の行動から直(じか)に学びたいのだ。変貌する時代や価値観に流されない真理を自らこの目で確かめ伝えたいと、今強く思う。

海と陸との接点にさまざまな答えがあると信じ、さらに写真家としての活動に励む1年にしたい。




[文・写真]
古谷千佳子(ふるや・ちかこ)
那覇市在住。海の仕事に従事、スタジオで写真を学んだ後、海人写真家となる。海・自然と調和する人々の暮らしや伝統漁業を主に撮影する。TBS「情熱大陸」などに出演。著書に 写真集「たからのうみの、たからもの」、「脳を学ぶ2」(共著)ほか
http://www.chikakofuruya.com/

 
古谷千佳子のフォトエッセー『潮だまり』
週刊ほーむぷらざ 第1337号・2013年1月10日に掲載

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