ヘルスケア
2025年3月6日更新
症状があればすぐに受診を!|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(129)
家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。今回も小児救急にスポットを当て、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児集中治療科部長の藤原直樹先生に話を聞きます。
小児救急③
症状があればすぐに受診を!
誤飲には、食べ物以外の玩具など固形物を飲み込む「異物誤飲」と、医薬品やタバコ・洗剤など中毒を引き起こす「薬・毒物の誤飲」の2種類があります。家庭内で誤飲の事例が多いのは、コイン、玩具などの小さな部品、シール、ボタン電池、アクセサリー類などで、錠剤タイプの薬が包装されているPTPシート、消臭剤に使用される高分子吸収性樹脂ボール、観葉植物栽培などに使われる高吸水性ポリマーのボールといった誤飲の例もあります。
まずは、いつ、どんなものを、どのくらい飲んだかを把握することが大切です。無理に嘔吐(おうと)させたり、家族の判断で水分や食事をとらせたりすることは避けてください。嘔吐や呼吸のしづらさ、意識がおかしいなど症状があれば、すみやかに病院を受診しましょう。誤飲した物質と同じものが自宅にあれば、受診の際に持参することをおすすめします。医薬品や毒物の誤飲で、すぐに受診すべきか判断に迷うような場合は、小児救急電話相談#8000の活用も有効です。
子どもが誤飲したら受診を!

★★★=すぐに受診を ★★=早めに受診を ★=症状があれば受診を
食道に引っ掛かっている異物は、内視鏡やエックス線下で摘出します。胃より先にある異物は、後日、便と一緒に体外に出ることが期待できるので、経過観察になることが多いですが、針のように鋭利で腸管穿孔(せんこう)のリスクがあるもの、腸管などを傷つける可能性が高いボタン電池や磁石(特に複数の磁石はくっつき合うので要注意)、体内で水分を吸うと数倍の大きさに膨張して腸閉塞(へいそく)を起こす危険性があるウオータービーズのような吸水ポリマーなどは、迅速に摘出する必要があります。
症状があればすぐに受診を!
予防策は手の届く場所に置かないこと
子どもが誤飲・誤嚥(ごえん)したら
Q1 よくある誤飲と応急処置は?
誤飲には、食べ物以外の玩具など固形物を飲み込む「異物誤飲」と、医薬品やタバコ・洗剤など中毒を引き起こす「薬・毒物の誤飲」の2種類があります。家庭内で誤飲の事例が多いのは、コイン、玩具などの小さな部品、シール、ボタン電池、アクセサリー類などで、錠剤タイプの薬が包装されているPTPシート、消臭剤に使用される高分子吸収性樹脂ボール、観葉植物栽培などに使われる高吸水性ポリマーのボールといった誤飲の例もあります。まずは、いつ、どんなものを、どのくらい飲んだかを把握することが大切です。無理に嘔吐(おうと)させたり、家族の判断で水分や食事をとらせたりすることは避けてください。嘔吐や呼吸のしづらさ、意識がおかしいなど症状があれば、すみやかに病院を受診しましょう。誤飲した物質と同じものが自宅にあれば、受診の際に持参することをおすすめします。医薬品や毒物の誤飲で、すぐに受診すべきか判断に迷うような場合は、小児救急電話相談#8000の活用も有効です。
子どもが誤飲したら受診を!

★★★=すぐに受診を ★★=早めに受診を ★=症状があれば受診を
Q2 すぐに受診が必要なのは?
食道に異物が引っ掛かっていると、嘔吐、せき、胸の痛みなどの症状をきたすことがあります。薬や毒物の誤飲では、意識の低下、けいれんなどを伴うことがあります。これらの症状がある場合には救急受診してください。ご家族が服用している薬を大量に飲んだり、漂白剤やパック型液体洗剤、たばこが浸った灰皿の水を飲んだり、緊急で対応を要するものもあります。食道に引っ掛かっている異物は、内視鏡やエックス線下で摘出します。胃より先にある異物は、後日、便と一緒に体外に出ることが期待できるので、経過観察になることが多いですが、針のように鋭利で腸管穿孔(せんこう)のリスクがあるもの、腸管などを傷つける可能性が高いボタン電池や磁石(特に複数の磁石はくっつき合うので要注意)、体内で水分を吸うと数倍の大きさに膨張して腸閉塞(へいそく)を起こす危険性があるウオータービーズのような吸水ポリマーなどは、迅速に摘出する必要があります。
Q3 窒息・誤嚥につながる食品は?
口に入るサイズのものであれば、どんなものでも誤嚥・窒息のおそれがあります。トイレットペーパーの芯を通過する4センチ以下の大きさなら、子どもが口に入れてしまう可能性があり、特に小さな子どもは食べ物を丸飲みしてしまいがちです。具体的には、あめ玉、グミ、ゼリー、団子などのお菓子類、いちご、りんご、ぶどう、ミニトマトなどの果物、気管支に詰まりやすいピーナツなどの豆類、口の中で水分を含むと粘着性が増すようなマシュマロや乾パンなどです。誤嚥の原因になりそうなものは置く場所を意識する必要があります。野菜や果物は小さく切って与え、小さな子どもが食事をする時は1人にしないようにしましょう。
次回は、子どもの頭のケガについて聞きます。

次回は、子どもの頭のケガについて聞きます。

藤原直樹さん/県立南部医療センター・こども医療センター 小児集中治療科部長
ふじわら・なおき/三重大学医学部卒。静岡県立こども病院小児集中治療室(PICU)勤務を経て2011年より現職。小児科専門医・指導医、集中治療専門医、小児救急医学会代議員、PALS(小児二次救命処置講習)インストラクター。モットーは「最善を尽くしたい」。
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
電話=098-888-0123(代)
南風原町字新川118-1
文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<129>
第1960号 2025年3月6日掲載