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2025年2月19日更新
海とものづくりで心身健康|知名工房代表 知名進さん(嘉手納町)[人生ブラボー!⑧]
仕事の一線を退いた後も、年を重ねても、人生を生き生きと送る人たちを紹介します。今回は、嘉手納町で木工作品を製作販売しながら、趣味のシーカヤックを楽しむ知名進さん。穏やかで楽しい人柄は、作品の表情にもにじみ出ています。
知名工房 代表 知名進さん (嘉手納町)
嘉手納町の58号沿いにある小さなお店には、知名さん手作りの木工クラフトが並ぶ。沖縄の生きものが細やかな技術で表現され、愛くるしい表情が人気だ=嘉手納町「知名工房」
木工作品に刻む豊かな表情
嘉手納町の「知名工房」で、手作りの木工クラフトを販売している知名進さん(68)。
店内には、チンアナゴの置物やクラゲのランプが風にゆらゆらと動き、マンタは今にも泳ぎだしそうに羽を広げている。どの作品も動きや表情が愛くるしく、見ているだけで癒やされる。
「子どものころからラジコンや木製のおもちゃを手作りしていた」と話す。牛乳屋を営む家業を手伝い、配達用の自転車やオートメーション機械を修理するのも知名さんの役目だった。独自の音響システム開発で著名な兄の事業も手伝った。「家族みんなものづくりが好き。木工に限らず、金属もプラスチックもなんでも使うし、こだわりはない」と笑顔を見せる。
週2~3回、シーカヤックを楽しむ。海から眺める夕日は格別だ
健康生活を実践
20代のころは沖縄市で外国人相手に喫茶店を経営し、店内の家具やスピーカーも手作りした。10代で腎臓を患った経験から、健康には人一倍気をつけている。食器を洗うときはスクワットの姿勢を取り、靴には鉛の重りを入れて歩き、ほうきの柄を鉄パイプで重くして掃除するなど、ユニークな運動習慣を取り入れた。
「あるとき、外国人のお客さんが悪さして逃げたから追いかけようとしたら、靴が重くて走れんわけさ、急いで靴を脱いではだしで追いかけたこともある」と笑う。そのユーモアと工夫は今も健在だ。
「自宅のトイレまでの渡り廊下が雨で朽ちて床が落ちたから、太いひもを張って綱渡りのようにバランスを取りながら歩いている。時々、家に帰る子どもたちには大不評だけど、運動のために、わざわざジムに通うより、生活しながらついでにやることのほうがいいと思うんだよね」 移動はできる限り徒歩や自転車かシーカヤック。「製作中は同じ場所で座りっぱなしだけど、体を動かすと血流が良くなるのが実感できる」と話す。週2~3回はシーカヤックに乗り、知人の依頼でガイドをすることもある。「仕事を終え、嘉手納から北谷までカヤックで往復する。風を感じ、海から見る夕日も気持ちがいい」と目を細める。
創作活動は「自分が作りたいものを作る時間が一番楽しい」と知名さん。アイデアが湧いたときはすぐにメモを取り、その発想を形にすることに喜びを感じている。「注文がたくさん入ると、プレッシャーになって気が重い」と笑う。
創作も運動もマイペースで楽しむことが、知名さんの心身の健康につながっているようだ。
野菜たっぷりの料理も手作り
中学2年生のころ腎臓を患い、数カ月学校を休み療養した経験から、「食事と運動に気をつけるようになった」と話す知名さん。野菜中心のメニューを自ら調理し、買い出しのときは食品表示も確認。「加工品で添加物が多いと買う気がしなくなる」と話す。
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取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1924号 2024年06月20日紙面から掲載」