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2024年12月5日更新

熱性けいれん多くは単純型|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(127)

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。今回と次回は小児救急にスポットを当て、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児集中治療科部長の藤原直樹先生に話を聞きます。

小児救急①

熱性けいれん多くは単純型

誤嚥による窒息は予防できる

5分以上続くなら迷わず救急車を

Q1 熱性けいれんを起こしたら?

熱に伴うけいれんの多くは、生後6カ月から6歳の子どもに起こりやすい、熱性けいれんという良性のものです。熱の上がり際に起こりやすく、9割以上はけいれんに伴う手足の動きが左右対称で、1~2分で止まる単純型です。

けいれんを起こしたら、まずはあせらず横向きに寝かせて気道を確保し、きつい衣服やベルトなどを緩めます。肩に丸めたタオルを敷くのもいいと思います。舌をかまないようにと手を口の中に入れたり、割りばしなどをくわえさせる必要はありません。症状を観察し、けいれんが5分しても止まらない、意識の戻りが悪いといった場合は、急性脳炎や脳症のような危険な病気の可能性がありますので迷わず救急車を呼びましょう。
 

Q2 のどに何か詰まったときは?

せきをして自分で出そうとしているときは、まず無理に刺激せず見守りますが、手で首をつかんで苦しそうにしている、顔色が悪い、声が出ないといった症状がある場合は、重大な窒息のサインで、素早い対応が必要です。

1歳未満の乳児や小さな幼児は、大人の膝の上にうつぶせにして背中を強くたたきます(背部叩打法)。1歳以上や大きい幼小児であれば、子どもの背後から両腕を前に回し、みぞおちの前で両手を組み、勢いよく両手でみぞおちを斜め上に強く圧迫し、詰まったものを吐き出させます(ハイムリッヒ法)。口の中に手を入れて取り出そうとすると押し込んでしまうことがあるので、絶対にしないでください。もしも意識がなくなってきたら、心臓マッサージなどの心肺蘇生を行います。

誤嚥(ごえん)による窒息は予防が大切です。生後6カ月~3歳ごろまでは手でつかんだ物を口に入れてしまうのでリスクが高く、飲み込むと危ない物(トイレットペーパーの芯を通過する4センチ以下の大きさが目安)は、手が届く場所に置かないことが鉄則。小学校低学年までは噛む力や飲み込む力が十分ではないので、丸のみしやすいぶどう、りんご、ミニトマトのような食材や、口の中の水分を奪う食品も要注意です。野菜や果物は小さく切って与える、小さな子どもが食事をするときは1人にしないで保護者がそばにいるようにする、など注意しましょう。特にピーナツは気管に詰まりやすいので6歳以下はNGです。



 

Q3 受診を迷うときは?

 また、最近ではキッズドクター(http://kids-doctor.jp/)のような民間企業によるオンライン診療も少しずつ増えてきました。子育て世代の親御さんにとって心強い味方になってくれるでしょう。ただ心配で急を要すると思う場合、病院受診をためらう必要はありません。
 次回は、子どもの心臓マッサージとAED、救急車が必要な目安について聞きます。


藤原直樹さん/浦添総合病院 救命救急センター長 救急集中治療部部長

ふじわら・なおき/三重大学医学部卒。静岡県立こども病院小児集中治療室(PICU)勤務を経て2011年より現職。小児科専門医・指導医、集中治療専門医、小児救急医学会代議員、PALS(小児二次救命処置講習)インストラクター。モットーは「最善を尽くしたい」。

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
電話=098-888-0123(代)
南風原町字新川118-1


文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<127>
第1948号 2024年12月6日掲載

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