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2024年11月28日更新

[沖縄スポット]水豊かな古都 王朝時代の道|首里城公園 那覇市首里金城町|シマ散策(拡大版)

今回訪れたのは首里城公園とその南に位置する首里金城町。古都首里探訪会(久高友千会長)の皆さんに首里城内の泉「龍樋」や、尚真王が整備した「真珠道」などを案内してもらいました。古都の面影を感じさせる史跡など見どころいっぱい。



首里金城町石畳道。真珠道の石畳道が今も残る。道幅は平均4メートル、全長約300メートル。坂が急な所は階段になっていたり、敷石の表面に滑り止めの筋を掘ったりして歩きやすいよう工夫されている
 

古都の風情残る 湧き水が点在

【首里城公園 那覇市首里金城町】

標高120~130メートルの石灰岩丘陵に築かれた首里城とその周辺地域には、井泉が数多く点在する。中でも「龍樋(ウドゥーヒ)」は、歴代の冊封使も称賛したという。金城町には琉球王朝時代の石畳道や、樹齢200年以上といわれるアカギの大木が残っていて、古都の風情が感じられる。

外敵に備えた軍道
樹齢200年の大木


真珠道は16世紀、尚真王によって整備された。首里城の守礼門付近を起点に金城町・識名を経て、那覇港にいたる約9キロの道を石畳で舗装し、木造の橋(現在の真玉橋)を架けたという。知名勇相談役は「外敵が攻めてきた時に備えて造られた軍用道路といわれています。識名を経由するので、国王も識名園へ向かう時に通ったそうです。石畳道の一部が金城町に残っています」と説明する。首里城から真珠道を南へ進むとほどなく「島添坂(シマシービラ)」にさしかかる。石造りの階段を設けた坂道で、道の脇の岩壁はこけむして緑が生い茂り野趣を感じさせる。

さらに下った先の「金城坂(カナグシクビラ)」には琉球石灰岩の石畳道が続いている。「沖縄戦による戦禍を免れたこの石畳道は古都首里の街並みを今に伝える貴重な道。首里金城町石畳道として県指定文化財になっています」

石畳道の東には鬼餅伝説の由来を伝える「内金城嶽(ウチカナグスクタキ」があり、境内には樹齢200年以上と思われるアカギの大木が5本そびえ立つ。戦前は首里城周辺にもアカギの大木が多く自生していたそう。

首里金城町の大アカギ=写真右。最大のもので高さ約20メートル、幹まわりは約4メートル。幹には大きな樹洞が空いている。真珠道の道中にある島添坂=写真左。「日本の道百選」に選ばれている
 
金城大樋川。水道が普及する前には共同井戸として使用されていた。紙すき発祥の地とされる

冊封使も称賛した湧き水
漢詩で詠われた景勝地

 
龍樋(ウドゥーヒ)は首里城の瑞泉門の近くある樋川(ヒージャー)※。16世紀に中国で造られた石彫りの龍頭が樋川に取り付けられ、龍の口から水が湧き出ることからそう呼ばれるようになったという。同会事務局長の宮城保茂さんは「湧き出る水は清冽(水が澄んでいて冷たい様子)で甘く、それを飲んだ歴代の冊封使に称賛されました。冊封使が滞在中は龍樋の水を宿舎の『天使館』(現在の那覇市東町)まで毎日と届けたといわれています」

首里城の北、円鑑池の中島に架けられた「天女橋」は、漢詩で池の眺めがたたえられた「首里八景」の一つ。淡い緑色の水面に中国風のアーチ橋が良く映える。池にはバリケンという鳥が生息していて、のどかな雰囲気が漂う。朝鮮王から贈られた経典を納めるため16世紀に池が掘られ、中島に堂を建て橋が架けられた。「薩摩侵攻で堂は破壊され、経典は失われました。堂はのちに再建され、円覚寺にあった弁財天像を祀るようになり、堂は弁財天堂、橋は天女橋と呼ばれるようになりました」
 
円鑑池の中島に掛かる天女橋。琉球石灰岩の石橋で、中国南部に見られる中央を高くしたアーチ橋。欄干は日本の木造の組み方を取り入れたもので、中国と日本の意匠や技法を巧みに組み合わせている
 
円鑑池や隣の龍潭に生息するカモ科の鳥、バリケン。地元では観音アヒルと呼ばれ親しまれているそう
 
龍樋。沢岻親方盛里が中国で買い求めた吐水石龍頭を樋川に取り付けた。周囲には龍碑の水をたたえた冊封使の書を刻んだ石碑がある ※遠くの水源から水路を引き、樋(とい)から水が出る形式の井泉
 

案内してくれたのは

首里城の城郭の西にある「西のアザナ」からの眺望をバックに並ぶ歴史サークル「古都首里探訪会」の皆さん。アザナとは物見台のことで、那覇の街並みや那覇港、慶良間諸島などが見渡せる。南は豊見城や南風原、北は浦添や宜野湾も遠望できる。同会は首里公民館を拠点に首里の名跡・旧跡を調べ、フィールドワークを行う

古都首里探訪会
■問い合わせ/事務局長・宮城
電話=090(7299)6010


取材/池原拓

『週刊ほ〜むぷらざ』シマ散策 
第1947号 2024年11月28日掲載

 

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