健康
2024年4月18日更新
もの忘れの予防に体×頭同時に使おう!|続けてハッピー‼︎健康習慣①
この企画では中高年に多い体の不調をテーマに、その予防や改善のためのセルフケアなどを紹介します。今回のテーマは「もの忘れ」。人や物の名前が出てこなくてもどかしい思いをすることはありませんか? 加齢とともにもの忘れは増えていくものですが、認知症によっても起こります。もの忘れ・認知症の予防は体と頭を同時に使うのがポイント。専門家に具体的なセルフケアの方法などを聞きました。
もの忘れの予防に体×頭同時に使おう!
この企画では中高年に多い体の不調をテーマに、その予防や改善のためのセルフケアなどを紹介します。今回のテーマは「もの忘れ」。人や物の名前が出てこなくてもどかしい思いをすることはありませんか? 加齢とともにもの忘れは増えていくものですが、認知症によっても起こります。もの忘れ・認知症の予防は体と頭を同時に使うのがポイント。専門家に具体的なセルフケアの方法などを聞きました。
運動で血流改善 頭使い脳に刺激
「認知症」とは、さまざな原因によって記憶や判断力などの認知機能が低下し、社会生活に支障をきたした状態を指す。かいせいクリニック(山城剛院長)もの忘れ外来の宮平良尚医師は「生活習慣病が認知症のリスクを高める。その予防と治療が認知症予防にもつながる」と指摘。同クリニックで認知症予防のデイケアを担当する大城菜月さんは「しりとりをしながらウオーキングをするなど体と頭を同時に使うことが予防のこつ」とアドバイスする。
教えてくれたのは
かいせいクリニック
もの忘れ外来 精神科医 宮平良尚さん(左)
デイケア 理学療法士 大城菜月さん(右)
②適度な運動。体と頭を同時に使うとなお良い
③家族や友人と楽しい時間を過ごす
④無理なく続けられることをする
加齢によるもの忘れは、体験の一部を忘れるが、ヒントを与えられると思い出すのが特徴。一方、認知症によるもの忘れは、体験したこと自体を忘れ、ヒントを与えても思い出せない状態だ。例としては、約束の時間を忘れたり、人の名前が思い出せなかったりするのが加齢によるもの忘れ。約束したこと自体を忘れたり、その人と会ったことを忘れたりするのが認知症によるもの忘れ。
「ながら」エクササイズ
しりとりをしながらウオーキング
食べ物の名前だけ・動物の名前だけというようにテーマを設けて少し難易度を上げてみよう
1人でウオーキングをする時は、左のような暗算でもよい
まずは生活習慣病の予防・改善
認知症はさまざまな原因で起こる。代表的なものに、脳の血管が詰まったり破れたりする脳卒中によって起こる脳血管性認知症や、脳の血流が悪化して老廃物が蓄積することによって起こるアルツハイマー型認知症がある。認知症の人の2割が脳血管性、6割がアルツハイマー型といわれている。 宮平良尚医師は「肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、これらの認知症のリスクを高めます。特に県内は高血圧や糖尿病を放っておいて、脳卒中で倒れたことが原因で認知症になるケースが多い。特定健診などで健康状態を常にチェックし、食習慣と運動習慣を見直して生活習慣病を予防することが、認知症予防につながります。生活習慣病をすでに患っている人はしっかり治療を」と呼び掛ける。 認知症の予防のために心掛けたい生活習慣としては、まず食事は腹八分を心掛け、塩分や脂、糖質・炭水化物を控えること。お酒の飲み過ぎもNG。喫煙は血管にダメージを与え脳の血流の悪化につながる。一方で運動は血流の改善につながり、質のいい睡眠は老廃物の蓄積を防ぐという。宮平医師は「人との交流が少なく社会から孤立しがちだと認知症が進みやすくなります。近年はインターネットが普及しメールやSNSなど文字だけのやりとりが増えていますが、対面して話す方が相手の表情や声のトーンなどさまざまな情報が会話
運動しながら暗算で100から7を引いていく。 1人でやるよりもパートナーや仲間と一緒に声を出しながらやると、より効果的
※昇降するペースはややきつい程度で。台の代わりに階段の段差を利用してもよい
※暗算に慣れてきたら引く数字を替えたり足し算にしたりと問題を替えよう
二つのこと同時に 短時間でも毎日継続を
上段で説明した通り、認知症の予防には適切な量の食事や適度な運動など生活習慣病の予防と改善がまず大事。その上で認知症予防のためにできることについて、理学療法士の大城菜月さんは「二つのことを同時に行うと脳が活性化して認知能力を向上させると言われています。運動も、しりとりや暗算など頭を使いながら行うとより効果的です=上図参照。ウオーキングなど今続けている運動に取り入れてみましょう。短時間でも毎日やるのがこつ」とアドバイスする。
また、スーパーで買い物をする時に購入する金額を決めて、予算内に収まるよう暗算したり、料理をする際に手際よく作れるように段取りを考えたりするなど、日々の生活の中で積極的に頭を使うようにすることも予防につながるという。
献立の参考に! 認知症予防のために
積極的にとりたい食品・控えたい食品
下の計15項目のうち、8〜10項目を満たすのが理想だという。無理しない範囲で食卓に取り入れてみては?
アルツハイマー型認知症の発症リスクを低下させるのに有効な食事法として知られる「Mind食」=上図参照=も、より積極的に予防したい人におすすめと宮平医師。地中海沿岸諸国の伝統的な食事で心臓病予防に効果があると言われている「地中海食」と、高血圧の予防・改善を目的として塩分の排出に重きを置いた「DASH食」を組み合わせた食事法で、10項目の「積極的に摂るべき食品」と5項目の「控えるべき食品」が挙げられているので献立の参考にしてみては。
宮平医師は「健康維持は生涯にわたって継続しなくてはいけないもの。無理なく長く続けられることをやっていきましょう。家族や友人と笑いながら食事をしたり、頭を使いながら運動したりと、一緒に楽しい時間を過ごすことが認知症予防には大事」と呼び掛ける。
取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」続けてハッピー‼︎健康習慣①
第1915号 2024年04月18日紙面から掲載