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2024年2月15日更新

失敗を気にしないで! 気負わず禁煙 何度でもトライを|そろそろ本気で! 生活習慣病予防(11)

禁煙にトライしてもなかなかうまくいかないのは意思が弱いせいではなく、たばこの強い依存性が要因。失敗しても自分を責めず何度もトライすることで成功につながるようです。喫煙のリスクや禁煙のポイントについて専門家や実際に禁煙にトライした人に聞きました。


禁煙に挑戦しよう!
1人で悩まない パッチも活用を

喫煙の害について山代寛医師は「ニコチンの強い依存で健康に悪いと分かっていても吸ってしまうこと」と説く。全国健康保険協会沖縄支部(以下、協会けんぽ)が進める事業(下記参照)の一環で禁煙指導をしている薬剤師の宮本直樹さんは「禁煙に失敗しても自分を責める必要はない、何度でもチャレンジを」と呼び掛ける。同事業に参加して禁煙にトライした桑江徹さんは「普段喫煙する時のルーティンを崩すことを意識した」と振り返る。



ドクターから
たばこには強い依存性があり自分の意思だけで禁煙することは難しいので、禁煙外来の医師や薬局の薬剤師など専門家の力を借りましょう。
必要によって離脱症状を和らげることで禁煙がしやすくなるニコチンパッチなどの禁煙補助薬を活用しましょう



沖縄大学学長
山代寛さん

医師・医学博士。日本禁煙学会認定禁煙専門指導者。禁煙に関する講演会などで活動


 Q1 意思が弱いからやめられない? 

強い依存性のため

喫煙の一番の害は、タバコの葉に含まれる成分であるニコチンの強い依存性。たばこを吸うと血中を通してニコチンがすぐに脳に達し、ドーパミンという物質が大量に放出されて強い快感が得られ、それを繰り返し得たいと思うようになります。ニコチン依存症の人はたばこが吸えない状態が続いて血中のニコチン濃度が一定以下になると、落ち着かない・イライラするなどの不快感(離脱症状)を覚えます。喫煙をすることで離脱症状はなくなるので、たばこがやめられなくなってしまうのです。

健康に悪いと分かってはいても禁煙ができないのは、決して意思が弱いせいではなく、ニコチンの強い依存性によるものです。



グラフは県内の中高年で喫煙習慣がある人の割合を性別、年代別でまとめたもの。40代前後で男性の4割が喫煙習慣があることが分かる。女性は45歳~49歳が15.2%と最も高い。


 喫煙者がなりやすい病気 
たばこの煙には200種類以上の有害物質や70種類以上の発がん物質が含まれ、体に悪影響を及ぼす。山代医師は「沖縄にも多い慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、患者の9割以上が喫煙者といわれています。肺や気管支に炎症が起こって息が吐きにくくなる病気で、呼吸がしづらくなって動くのもきつくなり寝たきりの要因になります」と説明する。

妊婦が喫煙したり受動喫煙にさらされたりすると、おなかの子どもが栄養不足になって早産や低出生体重児のリスクが高まるという。「低出生体重児は将来メタボリック症候群になりやすいというデータもあります。お母さんが喫煙していると生まれる子どもも喫煙を好みやすい性質になるということも分かっています」と注意を呼びかける。


 協会けんぽ・事業所・薬局が連携して禁煙をサポート 

禁煙サポート手帳に禁煙補助薬の受け取り状況などを記入し、事業所と薬局で禁煙の進捗状況を確認


協会けんぽでは、本年度から県薬剤師会・県保健医療福祉事業団と連携して、禁煙の意思がある従業員を事業所・薬局・協会けんぽでサポートする「事業所で取り組む禁煙サポート事業」を進めている。同事業では、県保健医療福祉事業団の助成による禁煙補助薬(ニコチンパッチ)2週間分を無償提供。2週間ごとに県薬剤師会所属の指定薬局でパッチを受け取り、薬剤師から禁煙指導を受けられる。その際に記入する「禁煙サポート手帳」で従業員・薬局・事業所が禁煙の進捗状況を共有しながら、8週間の期間で禁煙を進めていく(3週目以降のパッチは事業所または個人負担)。

本年度は19の事業所(参加者は計65人)、29の薬局が参加しており、1月現在で20人が終了し、うち6人が禁煙に成功した。協会けんぽでは来年度以降も継続実施を目指している。



薬剤師から
禁煙で大事なことは…
・動機付けをしっかり
・禁煙を開始する日を決める
・吸いたくなった時の対処法を決める
・失敗しても期間を置いてチャレンジ!
・薬局や薬剤師に相談を 



ゆんたく薬局おもろまち店 代表
宮本直樹さん

協会けんぽの禁煙サポート事業の参加者に禁煙指導をしている


 Q2 禁煙のポイントは 

動機をしっかり把握、前向きに捉える

健康に悪いから、子どもが生まれるからなど、なぜ禁煙したいのか動機をしっかり確認しましょう。離脱症状でつらくなった時にそれを思い返すことで初心に立ち返り、モチベーションの維持につながります。また、健康への害など喫煙を続けることのデメリットに目が行きがちですが、食事がおいしく感じる・浮いたたばこ代を趣味や貯金に使えるなど禁煙のメリットを意識すると、より前向きに取り組みやすくなります。

次に禁煙を開始する日を決めましょう。月初めや誕生日など覚えやすい日や仕事が落ち着くタイミングで始めるのがいいでしょう。家族や友人、会社の同僚に禁煙することを伝え、つらい時に励ましてもらうなど周囲の協力も得ましょう。禁煙成功者がいるならその人に相談するのも一つの手です。

たばこを吸いたくなった時の対処法を事前に決めておきましょう。ガムをかんだり、冷たい飲み物を飲んだりして口に別の刺激を与えるのも一つの方法。食後に吸いたくなる人は歯磨きをしてみましょう。深呼吸やストレッチ、ハーブティーなどで気持ちをリラックスさせることも効果的。コーヒーよりカフェインが少ないさんぴん茶もおすすめです。自分に合った対処法を見つけましょう。

禁煙は1回のチャレンジでできなくても期間を置いて何度でもトライできます。失敗しても後ろめたい気持ちになったり、自分を責める必要はありません。少しでも禁煙したいと考えている方は、その気持ちを大事にして、ぜひお近くの薬局や薬剤師に相談してみてください。場合によっては禁煙補助薬を活用しながら一緒に禁煙に取り組みましょう。



禁煙体験者の経験談
実践した人
桑江徹さん(写真左)
興南施設管理(株)に勤める

 

会社の支援もあって、禁煙にトライしやすい環境でありがたいです(桑江さん)

協会けんぽの禁煙サポート事業に参加した事業所の一つ、興南施設管理(株)で健康推進委員長を務める取締役常務の屋良一寿さん(写真右)

ごみ焼却施設などの公共施設の運転維持管理を手掛ける弊社では、「心身ともに健康で末永く働ける職場」を目指して、楽しく継続してできる健康増進に取り組んでいます。協会けんぽの事業への参加もその一環です(屋良さん)

 

喫煙のルーティンを崩すこと意識

禁煙しようと思ったのは家族、特に子どもたちからたばこをやめてほしいと言われたのがきっかけ。喫煙歴は20年ほどでこれまでも何度か禁煙を試みましたが、うまくいきませんでした。ニコチンパッチを使った禁煙は今回が初めての試みでした。パッチを使用して4日目くらいから喫煙したいと思わなくなり、予想以上に効果があると感じました。

禁煙中に工夫したことは、自分が普段たばこを吸う時のルーティーンを意識的に崩すこと。例えば、朝コーヒーを飲んだらたばこを吸う習慣があったので、朝はコーヒーを飲まないようにしました。また、普段はたばこを外で吸っているので、吸いたい気分になった時は外に出ないように心掛けました。

このようなことに気をつけて最初の2週間は順調に禁煙を進めていました。しかし、パッチは2週間ごとに薬局で受け取るスケジュールになっていたのですが、予定していた日はいろいろと立て込んでいて受け取ることができず、そのタイミングで自分がたばこを吸いたくなる状況が重なり、吸ってしまいました。

今回は禁煙に失敗しましたが、パッチが切れる前に次の分をもらっておくなど工夫したら成功するのではと手応えを感じました。私は仕事で悩んだり、考えごとをしたりする時にたばこを吸いたくなる傾向があるので、そんな時の対処法も事前に決めておこうと思います。



取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」そろそろ本気で!生活習慣病予防(11)
第1906号 2024年02月15日紙面から掲載

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