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2023年11月23日更新

[LGBTQ+とは?]知ってアライ(味方)になろう

LGBTQ+の比嘉利加さん(32)は、5年前に父親の与那覇博晃さん(57)にカミングアウト。2人に当時の気持ちを聞きました。全国でLGBTQ+の人の割合は約3~10%と言われています※。身近な人が当事者かもしれません。知ることから、アライ(味方)になりませんか。
※2023年に行われた国立社会保障・人口問題研究所の釜野さおり氏らの研究チームや電通グループの調査より



 当事者と家族が話す 

カミングアウトが転機に

比嘉さんが最初にカミングアウトしたのは、父親の与那覇さんだった。娘から打ち明けられたときにどう感じたのか。その後、どんな変化があったか。2人が話した。



最初に打ち明けたのは父
比嘉利加さん。event planning lee代表。珈琲バルeplを営む


やっぱりそうかと思った
与那覇博晃さん。介護職の傍ら畑仕事も。比嘉さんの珈琲店をDIYで作った


 比嘉  27歳の時に打ち明けた。当時付き合っていた女性のことを友達だと話していたけれど、「付き合っているよ」と伝えた。「そうなのかなと思っていた。今まで言えなくて大変だっただろうな」と言われて、2人で泣いた。

 与那覇  反対したところで聞く性格じゃないし(笑)。結婚して孫もできて…とは思ってはいたけれどね。うすうす気づいていたから、びっくりはしなかった。小学生のころからスカートをはかず、男の子と遊ぶ。もしかしたら…とは思っていた。

 比嘉  男の子と一緒にスケボーしてたね。

 与那覇  小学校から青年会に入って、最後は大太鼓やっていたな。血が騒ぐみたいで、豆ができるくらい練習していた。でも、一時期、女性っぽい格好をしていたな。

 比嘉  高校から働き出してしばらくは、化粧したり女性らしい格好をしたり。今思うと、無意識のうちに世間体に縛られていた。それに対して周囲から冷やかされるのがイヤだったな。男性っぽくても女性っぽくても何か言われるのかと。
 
 与那覇  当時の格好は、らしくないなとは思ったね。

 比嘉  カミングアウトして、少しずつ服装が変わった。パンプスがローファーに、ブラウスがTシャツになって、徐々に自分らしくなった。私はXジェンダーで男性になりたいわけでも女性でいたいわけでもない。小学生のころからモヤモヤしていたけれど、それが性への違和感だったんだと分かったのはカミングアウトしてから。

2020年ごろからLGBTQの活動を通していろんな人に話を聞き、生き方を知って、ようやく自分は自分でいいんだと思えるようになった。今は中性的な格好がしっくりくる。

 与那覇  服装はどんどん変わっていったな。

 比嘉  両親へのカミングアウトは大きなきっかけ。その後、友人にもカミングアウトして状況が一変した。それまでは「彼氏いるの?」と聞かれた時に、同性のパートナーはいるのに「いない」と答えることがもどかしく、小さなうそを積み重ねることがストレスで罪悪感があった。周囲に打ち明けたら、ずっとつけていた重い鎖が一つ一つ外れていくような感覚で、すごく楽になった。


Q 周囲の目は気になりましたか?

 与那覇  それはないな。職場の人にも言っているし。おばあちゃんも最初はかなり反対していたけれど、態度が軟らかくなっていったね。

 比嘉  最初のころは言いづらそうだったけど。

 与那覇  今は全然。あなたはあなただから、好きなように生きたらいい。

 比嘉  お父さんは私のパートナーとも仲が良いよね。ご飯食べたり、飲んだり。

 与那覇  そうだね。お似合いの二人だと思うよ。



 グラフ① LGBTQ+の非当事者層のクラスター分析 
①アクティブサポーター層 26.2%
課題意識が高く、積極的にサポートする姿勢がある。身近な当事者や、海外コンテンツを通して理解を深めた。

②天然フレンドリー層 9.6%
知識のスコアは低いが、課題意識や配慮意識が非常に高く、ナチュラルにオープンマインド。

③知識ある他人事層 32.5%
知識はあるが、当事者が身近にいないなど、課題感を覚えるきっかけがない。現状維持派。

④誤解流され層 20.5%
少子化といった社会への悪影響を懸念するなど、誤解が多いため一見批判的だが、もともと人権意識はある。

⑤敬遠回避層 5.8%
積極的に批判はしないが、配慮意識が乏しく関わりを避ける。知識はある程度あっても、課題と感じていない。

⑥批判アンチ層 5.5%
生理的嫌悪、社会への影響懸念が著しく高い。人種差別や環境問題などの社会課題に対しても興味を持たない。

2023年6月に全国20〜59歳の計5万7500人を対象としたインターネット調査。出典「電通グループ LGBTQ+調査2023」




 県内の現状は? 

広がる理解 性役割は負担

LGBTQ+に関する県内の現状はどうか。市民団体「てぃーだあみ」のメンバー4人に聞いた。

てぃーだあみは、セクシュアリティを起点に人権について考え、語り合い、発信する市民団体。インタビューに応じた4人のうちの3人。右から竹葉梓さん、山城彰子さん、佐脇広平さんてぃーだあみは、セクシュアリティを起点に人権について考え、語り合い、発信する市民団体。インタビューに応じた4人のうちの3人。右から竹葉梓さん、山城彰子さん、佐脇広平さん


Q 統計で沖縄は全国で一番積極的なサポーターが多いそうですが、どう感じますか?

 竹葉  私はトランスジェンダーなのですが、東京から移住後カミングアウトすることが増えました。個人的には本土ほどフォーマルな服装が多くなく雰囲気が緩やかなことや、本土や海外の人が多く多様な存在を受け入れやすい背景が関連しているのかなと感じます。

2015年に那覇市がレインボー那覇宣言し、理解が広まったことも大きい。

 佐脇  私も移住していますが、他と比べると人の流動性が高く、セクシュアルマイノリティーも含めて違う文化、言語の人への拒絶があまりないように感じます。家族は別ですが。

 山城  ただ、いわゆる「伝統的」なジェンダー意識が強く、男女に期待される性役割が決まっているのは負担になっていると感じます。例えば、長男だと子どもをつくることを強く期待されるため、ゲイと親にカミングアウトしづらいとか。親が理解していても親戚に理解がないこともあります。
 
レインボーグッズ。アマゾンなどネットで購入できる。スマホの待ち受け画面もある
レインボーグッズ。アマゾンなどネットで購入できる。スマホの待ち受け画面もある


Q アライになるには、何から始めるといいでしょうか。

 竹葉  レインボーグッズを身近に置くこと。当事者はマイナスな情報に触れたり偏見を受けることが多く、誰が味方か分からないので。

 渡口  自分がストレートで異性愛者でも、子どもやパートナーが当事者かもしれない。そうだとしたら、身近な人に不幸になってほしくないと願うと思う。誰もが当事者になりうる。

 佐脇  セクシュアルマイノリティーの課題解決は人権の問題。たまたま公開講座に行き、あまりにも知らなかったことにショックを受けて関わるようになりました。

 山城  ネットの情報ではなく、当事者が何を感じているかを知ってほしい。26日にイベントを開きます。足を運んでもらえるとうれしい。


 グラフ②  LGBTQ+の非当事者層のうち、「アクティブサポーター層」が高い都道府県 

アクティブサポーターとは、LGBTQ+の非当事者層のうち、最も課題意識が高く積極的にサポートする姿勢がある層のこと。
 
出典「電通グループ  LGBTQ+調査2023」


 そもそもLGBTQ+って? 

L(レズビアン、女性同性愛者)、G(ゲイ、男性同性愛者)、B(バイセクシュアル、両性愛者)、T(トランスジェンダー、性自認が出生時の性別と異なる)Q(クエスチョニング、特定の枠に属さない・分からない)の頭文字をとった言葉。性的マイノリティー(性的少数者)を表す総称として使われることがある。ほかに、Xジェンダー(性を男女いずれかに限定しない人)、Aロマンティック(他者に恋愛的に興味関心を抱かない人)といった人もいる。


 那覇市 全国でも取り組み早く 

那覇市は2015年に「性の多様性を尊重する都市・なは宣言」(レインボーなは宣言)を全国で2例目で発表。16年、戸籍上の性別にかかわらず2人の届け出にもとづきパートナーシップ関係を登録し、証明書を交付する制度をスタートさせた。22年からファミリーシップ登録へ制度を拡充。2人の家族も登録できるようになった。これまでの累計登録数は69組(23年11月10日時点)。法律上の効果(相続、税金などの控除)は生じないが、那覇市営住宅の入居申し込みが可能になる。

県内ではほかに、浦添市がパートナーシップ宣誓証明書を交付している。


 11月、12月にイベント 

11月26日(日)午後2時~4時半、沖縄から結婚の平等にYES!〜YES! FOR MARRIAGE EQUALITY」と題して同実行委員会はイベントを開催。県立博物館・美術館で同性婚のドキュメンタリー映画の上映とトークイベントを行う。入場無料。申し込み制・先着順(定員180人)。

問い合わせは、marriage.equality.okinawa@gmail.com

12月10日(日)午後0時~5時、(一社)ピンクドット沖縄は那覇市ぶんかテンブス館前広場で「ピンクドット沖縄2023」を開く。トークセッションやLGBTQのメンバーの合唱団による歌、石嶺聡子、jimamaのライブを予定。国際通りでのパレードも開催。参加無料。パレードの参加申し込みは同団体HPより。問い合わせは同団体 電話=070(3140)2569(上田)
毎週木曜日発行 週刊「ほ~むぷらざ」LGBTQ+とは?
第1894号 2023年11月23日掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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