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2023年6月1日更新
庭育て、感謝する日々|伊禮博枝さん(うるま市)[人生ブラボー!②]
仕事の一線を退いた後も、年を重ねても、人生を生き生きと送る人たちを紹介します。今回は、植物が大好きなうるま市の伊禮博枝さん(74)。自慢の庭でお話を伺いました。
珍しい草花も多く、さまざまな植物を育てている庭は「季節を知らせてくれるし、毎日、変化と発見があり、とても楽しい」と伊禮さん=うるま市
季節を知り癒やされる庭
緩やかな曲線を描きながら進む緑の小道。脇には、白い花を咲かせるペトレアやトキワマンサクにウツギ、八重咲きのクワンソウなど、さまざまな珍しい種類の花が彩る。横になって実をつけているパパイアの木は、台風のときに倒れ、その姿のままで実をつけるようになった。
イングリッシュガーデンのように草木が自然な形で配置された伊禮博枝さんの庭。中央に置かれた小さなテーブルに招かれ椅子に座ると、目には緑、頬には風を感じて心地よい。「こんなふうに、お茶しながらユンタクすると、みんな喜んでくれる。私もうれしい」と伊禮さんがほほ笑む。
自宅隣にある庭は、以前は雑木が生い茂り、地面は石だらけでガラスも出てくるような荒れ地だった。伊禮さんが毎日コツコツと手入れを続け作り上げた自慢の庭だ。「毎日、手入れしていると、小さな枝一つ一つに芽吹いたつぼみを見つけたり、地面から小さな芽が出ていたり、発見があってとても楽しい」と笑顔で話す。
虫などがいないか確認しながら一つ一つ丁寧に花を摘む
苦難のブラジル時代
伊是名島出身の伊禮さんは、同郷で2歳上の夫と19歳で結婚。夫はブラジル移民が決まっており、共に海を渡った。
ブラジルでは仕事がうまくいかず借金が膨らんだ。現地の言葉が分からぬまま長男を出産し、生活苦と育児で「毎日、泣いて過ごした。体重が36キロになるまで痩せ細った」と振り返る。
4年後、親族から借金して帰国。その後は夫とともにがむしゃらに働いた。うるま市で自動車整備工場を営むようになり、徐々に規模を拡大。「生活が落ち着くまで10年くらいかかった。あのままブラジルにいたら、私は生きていられたか分からない」と伊禮さん。その苦労が分かるからこそ、同じようにブラジルから帰郷する人には、仕事の世話もしてきた。
工場には約30人の従業員が働く。「工場は安全第一。旧暦の1日と15日には、ヒヌカン(火の神様)にウブク(ご飯)とチャワキ(お茶請け)を供え、日々の感謝をしてから、家族と従業員の健康と安全を祈っています」
二男二女を育て、15人の孫にも恵まれた。「行事には100人くらい集まる。それぞれ抱負を発表させるんです。孫たちの成長した姿を見るのが楽しみ」と目を細める。
苦難の半生を乗り越え、今の幸せに感謝し、自然に触れて癒やされながら、笑顔の日々を送っている。
育てた花がケーキに
伊禮さんの庭で咲く、バタフライピーの青い花は、自宅隣でケーキ店を営む長女が、ケーキやクッキーなどに活用している=写真。伊禮さんは「バタフライピーは色鮮やかで、抗酸化作用などその成分でも注目されている花。お客さんにも喜ばれるので、役に立つことがうれしい」と笑顔で話す。
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取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1869号 2023年6月1日紙面から掲載」