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2023年2月16日更新

[沖縄]手美らさ肝美らさ ②|琉球黒糖 株式会社 勤続28年 嶺井辰子さん(70) 中野佳美さん(61)

長年、一つの仕事を続けてきた人には、美しい技(手美らさ)があり、人としての美しさ(肝美らさ)がある。=随時掲載



共に歩み28年 苦労も笑い話

琉球黒糖 株式会社 勤続28年
嶺井辰子さん(70)

中野佳美さん(61)

長年、一つの仕事を続けてきた人には、美しい技(手美らさ)があり、人としての美しさ(肝美らさ)がある。そんな企業の宝とも言える「人財」を紹介するコーナー。今回は、黒糖菓子作り28年の嶺井辰子さんと中野佳美さん。現会長と3人で始めた15坪の工場での苦労を「楽しかった」と笑顔で振り返る。



 個  装された黒糖が山のように積まれた作業台の前で、嶺井さんと中野さんの表情が引き締まる。両手を素早く動かしながら、黒糖の欠けや包装の不具合がある商品を取り除く。まるで指に目があるかのような一瞬の手さばき。「パッと見ても、少し触っただけでも分かる」と話す。 1日で300㌔の検品を行う。営業課の金城幸英さんは「選別は慣れていないと難しい。2人は当社の全商品を把握している。社員も頼りにしている心強い存在」と信頼を寄せる。


検品は1日に300kg。黒糖に大きな欠けがないか、包装に不具合がないかを素早く厳しくチェックする

創業時は3人15坪
いつも支え合った


創業28年。その歴史を嶺井さんと中野さんは当初から支えてきた。

職業安定所で、求人に来ていた現会長の與座範裕さんに2人で声を掛けたのがきっかけ。まだ何もない15坪の小さな工場でレンガを積み、黒糖を熱する釜を手作りして始めた。

働き手は與座会長を入れて3人。マグマのように煮えたぎる黒糖を大鍋に移し、かき混ぜたら、型に移してカット、冷却し、包装する。全てが手作業。以前は鉄工所で働くなど腕力に自信のある嶺井さんは、力仕事も男性並みにこなした。

「朝8時から夜中まで働き、休みが月1回のときもあったけど、つらいと思わなかった。毎日、ウチナーグチで冗談を言い合って、笑いが絶えず楽しかった」と嶺井さん。中野さんも「離婚して3人の子を養うのに必死だったけど、助けてくれたのは親兄弟だけではない。嶺井さんは毎朝、自分の子と一緒に上の子2人を遠い学校まで車で送ってくれた。みんなで仕事を頑張って会社を支え、生活を支え合った。本当の家族みたいなもの」と笑顔で話す。


昔ながらの製造方法で作られている琉球黒糖の商品




熱々の黒糖を釜から大鍋に移してかき混ぜ、型に移す



社員は、3人から30人に増え、商品も増えた。分業で効率化も進んだが、嶺井さんは毎朝30分早く出勤して、掃除をしたり、中野さんは仕事が終わった後も別作業のフォローに入る。「誰かの会社ではない。自分の会社のように思っている」と2人。「会社を思い、会長である私にダメなものはダメと本音を言ってくれる社員は彼女たちだけ」と與座会長が話せば、又吉優子代表取締役も「2人は会社に必要な存在。感謝している。自ら考え、率先して絶えず動いているので、工場の士気が一気に上がる。その姿から学ぶことがたくさんある。気力体力が続く限り、ずっといてほしいといつも話しているんです」とほほ笑む。

嶺井さん、中野さんと共に働く社員の方々

厳しさの中に人情 経験が今を支える

中野さんは5年前、がん治療で3カ月間休職した。「そのときも会長や代表が治療に専念できるよう配慮し、励ましてくれた。戻れるところがあるから治療も頑張れた」と話す。

「会長は厳しそうだが人情がある」と嶺井さんの言葉に、中野さんもうなずく。

又吉代表も、「私にとっては、嶺井さんがすごく厳しい師匠だったけど、楽しい思い出もいっぱいある。あのとき、嶺井さんに厳しく指導してもらったから、今がある」と話す。

「明るく、楽しく、前向き、迅速」がモットーという同社。「これまで、会長と嶺井さんと中野さんの3人がそれを支え、引っ張ってきてくれた。これからもチームワークで理想を求めていきたい」と又吉代表。

嶺井さんが、「日本一、世界一の会社になってほしい。そしたら、私たちも長らく働いていたんだよって自慢できる」と話すと、「そうだね! いいね!」と中野さん。エールを受けた仲間の笑顔も輝いた。



若い従業員の質問に答える中野さん(左)。心強い存在だ

「おウチナーグチでの冗談が飛び交う。後列右から與座範裕会長、又吉優子代表取締役、金城幸英さん


(左から)なかの・よしみさん、みねい・たつこさん 1994年、琉球黒糖(株)創業年に入社。創業者で現会長の與座範裕氏とともに、黒糖菓子製造に携わる。それぞれ60歳で定年退職後、再雇用。現在は検品や倉庫管理を担当している

琉球黒糖株式会社
電話=0120-44-3973


文・赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』手美らさ肝美らさ<2>

第1845号 2023年2月16日掲載

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