痛みがツラく、不妊につながる子宮内膜症

 オリガ 　WHOの調べで世界の女性の約１０人に１人が子宮内膜症に苦しんでいると知って驚いた！

 直子 　子宮内膜症とは、本来子宮内を覆っている内膜組織が、子宮の表面や卵巣、卵管、腸、肺など子宮外に住み着いて増殖する病気のこと。そもそも子宮内膜の厚みは女性ホルモンの影響で周期的に変わっていて、１カ月に１度厚くなってはがれ落ち、経血として排出されるのが「月経」。子宮内膜症になると、子宮外に住み着いた内膜組織もホルモンの影響を受け、月経のたびに病巣が広がり出血する。

 オリガ 　だから月経がくると猛烈に痛いし、骨盤痛や排便痛などにもつながって普段もツラいんだよね。

 直子 　原因は、経血が卵管から逆流する「月経逆流説」が有力と言われているけれど、ほかにもいろいろある。ちなみに子宮内膜が子宮の筋肉内で増殖すると「子宮腺筋症」、卵巣内で増殖すると「子宮内膜性嚢胞（チョコレート嚢腫）」と呼ばれる。

 オリガ  痛みは生活に支障が出るほど！ 我慢せず早めに婦人科の受診を

 オリガ 　私は日本に来たばかりのころ子宮内膜症になった。毎日吐きそうなくらいおなかが痛かったけど、漢方を飲み始めて３カ月くらいで落ち着いた。でもやめると痛くなるし仕事にかなり支障が出ていたから、３年くらい飲み続けたかな。

 直子 　子宮内膜症の人は、月経を繰り返すうちに子宮と腸や卵管などが癒着して硬くなるから月経でなくても痛いし、受精などが疎外されて不妊につながる。

 オリガ 　診断はどうするの？

 直子 　基本は問診と超音波検査、必要ならMRIも行う。病変が見当たらなくても目に見えない炎症物質が原因のこともあるから、月経痛がひどい、過多月経、普段から下腹部痛が強い、排便痛や性交痛がある場合は、子宮内膜症が疑われる。

 オリガ 　治療は長い目で見た方がいいよね。

 直子 月経がくるたびに進行。月経回数や経血量減らすホルモン剤治療を

 直子 　昔は病巣が５㎝を超えると摘出したけど再発することがあるから、今は月経の頻度や経血を減らす目的で、治療用の低用量ピル（LEP）や黄体ホルモン剤を処方する。例えば妊娠・出産・授乳など月経がこない状態はいい治療に。実際、出産後に子宮内膜性嚢胞が消えた患者さんもいたしね。

 オリガ 　内膜組織が子宮外に住み着くかどうかは免疫の性質にもよる。だからこそ免疫をきちんと働かせるためのストレスケアは大切。私の場合、医学部時代からストレスにさらされ続けてきたのも引き金になったと思う。あとは月経痛が強いほど子宮が収縮して経血が逆流しやすくなるから、鎮痛剤は我慢せず飲むこと！


 直子 　子宮内膜症は長期にわたって検査や治療が必要だから、かかりつけ医を持つことが大切。年齢が上がると悪性化することもあるので、必要な時は手術を！




たかみやぎなおこ／Naoko女性クリニック院長。Naoko美と健康のサロン代表。１９６１年、長崎県生まれ。佐賀医大（現佐賀大医学部）卒業後、87年に来県。琉大医学部附属病院や県内の公立、個人病院等で産婦人科医として勤務後、開業。１女２男の母。産婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、更年期に関するメノポーズカウンセラー