ルーツはどこ
2019年11月28日更新
発祥は恩納村の料理店|沖縄ぐるめ ルーツはどこ!?
Vol.8 海ぶどう丼
観光客には抜群の知名度と人気を誇る海ぶどう。そのまま、もしくはポン酢につけて食べるのが一般的な海ぶどうを、「丼もの」として提供した発祥店と人気店を紹介。海ぶどうをおいしく食べられるよう、創意工夫が詰まった奥の深い一品をぜひ!
案内人・伊東一洋(トラベローグ)
海ぶどうは和名でクビレズタという海藻のこと。果物のブドウのような形状から海ぶどうと呼ばれているが、グリーンキャビアとも。もともとは宮古島など離島の海で採れる天然物のみで、沖縄本島への流通は少なかった。状況が一変したのは、恩納村漁協が海ぶどうの養殖に成功した1994年。以降、海ぶどうが飲食店で提供され、スーパーでも販売される機会が増えてきた。
今回紹介する恩納村の居酒屋「元祖海ぶどう」は1994年に営業開始。「縁があって恩納村漁協と知り合いになり、店名の使用許可をいただいて営業をスタートしました。当初は丼ではなく、漁協から仕入れた海ぶどうを酒肴として、そのまま提供していましたが、常に海ぶどうを使った新メニュー作りに考えを巡らせていました」とオーナーの白井敏夫さん(67)は振り返る。
誕生のきっかけは1枚のはがきから
開店から2年後の1996年、かつてこの店を訪れたことのある客から暑中見舞いのはがきが届いた。そのはがきはイクラ丼を模した円形状のもので、白井さんはこれにインスピレーションを受け、海ぶどう丼作りにチャレンジ。「最初は、温かいごはんの上に海ぶどうをのせてみたんですが…合わなかったですよね」。試行錯誤を繰り返した末、冷めた酢飯に海ぶどうをのせ、真ん中にヤマトイモのトロロ、さらにイクラとウニで彩りを添える現在のスタイルを完成させた。
気になる食べ方だが、「まずは海ぶどうそのものを味わい、その後備え付けのレモンポン酢をふりかけて豪快に混ぜて食べて」とのこと。まずは海ぶどうから。房部分のみを使用しているため海ぶどうの特徴であるプチプチとした食感がダイレクトに口の中で広がる。次にレモンポン酢を混ぜ合わせて口の中へ。トロロが酢飯と海ぶどうのつなぎの役割を果たし絶妙な一体感。ポン酢と酢飯の酸味に思わず箸が進んでしまう。
[店舗情報]
元祖海ぶどう
沖縄県恩納村恩納6092-1(地図)
098‐966‐2588
11時~21時
火曜休
Pあり
海ぶどう×あぐーで一躍人気メニューに
本部町瀬底島にある人気店、fuu cafe(フーカフェ)で提供している海ぶどう丼には、やんばる島豚あぐーを使用している。一見ミスマッチにも思える組み合わせだが好評。「地元の食材を使った、他では食べられないものをとの思いから誕生した」と店長の屋我匡さん(48)。本部町の海ぶどうを使った海鮮丼ではない丼メニューができないかとあぐーを使うことを思いついた。
当初は三枚肉を使用する予定だったが、ありきたりだったため、あぐーでは希少なほほ肉(トントロ)を使用。トントロは焼くと硬くなるため、時間をかけてじっくりと煮込んでいる。さらに甘く味付けることで、海ぶどうの持つ塩味との相性もぴったり。丼の中は黒紫米を使ったライスの上に大葉を敷き、海ぶどうとあぐーのトントロをのせた多重構造。プチトマトやハーブをのせるなど見た目にもこだわり、“カフェ飯”らしさが際立つ海ぶどう丼となっている。
[店舗情報]
fuu cafe
沖縄県本部町瀬底557(地図)
0980‐47‐4885
11時~17時L.O.(ランチは11時30分~)
水・木曜休
Pあり
こぼれ話
海ぶどうは天候や海水温などによっても生育状況が左右される、とてもデリケートな海藻なんです
いとう・かずひろ/北九州市出身。雑誌編集に携わり県内各地に出没。食べ歩きがライフワーク。大の猫好きでwebサイト「おきなわにゃんこビレッジ」も運営
今回紹介する恩納村の居酒屋「元祖海ぶどう」は1994年に営業開始。「縁があって恩納村漁協と知り合いになり、店名の使用許可をいただいて営業をスタートしました。当初は丼ではなく、漁協から仕入れた海ぶどうを酒肴として、そのまま提供していましたが、常に海ぶどうを使った新メニュー作りに考えを巡らせていました」とオーナーの白井敏夫さん(67)は振り返る。
誕生のきっかけは1枚のはがきから
開店から2年後の1996年、かつてこの店を訪れたことのある客から暑中見舞いのはがきが届いた。そのはがきはイクラ丼を模した円形状のもので、白井さんはこれにインスピレーションを受け、海ぶどう丼作りにチャレンジ。「最初は、温かいごはんの上に海ぶどうをのせてみたんですが…合わなかったですよね」。試行錯誤を繰り返した末、冷めた酢飯に海ぶどうをのせ、真ん中にヤマトイモのトロロ、さらにイクラとウニで彩りを添える現在のスタイルを完成させた。
気になる食べ方だが、「まずは海ぶどうそのものを味わい、その後備え付けのレモンポン酢をふりかけて豪快に混ぜて食べて」とのこと。まずは海ぶどうから。房部分のみを使用しているため海ぶどうの特徴であるプチプチとした食感がダイレクトに口の中で広がる。次にレモンポン酢を混ぜ合わせて口の中へ。トロロが酢飯と海ぶどうのつなぎの役割を果たし絶妙な一体感。ポン酢と酢飯の酸味に思わず箸が進んでしまう。
「海ぶどう丼」(並)1500円は、みそ汁と付け合わせも付く
店の外観。入り口横にある海ぶどう丼の大きなモニュメントが目印
海ぶどう丼の生みの親でもある白井さん。恩納村漁協と二人三脚で海ぶどうの消費拡大に力を注ぐ
[店舗情報]
元祖海ぶどう
沖縄県恩納村恩納6092-1(地図)
098‐966‐2588
11時~21時
火曜休
Pあり
海ぶどう×あぐーで一躍人気メニューに
本部町瀬底島にある人気店、fuu cafe(フーカフェ)で提供している海ぶどう丼には、やんばる島豚あぐーを使用している。一見ミスマッチにも思える組み合わせだが好評。「地元の食材を使った、他では食べられないものをとの思いから誕生した」と店長の屋我匡さん(48)。本部町の海ぶどうを使った海鮮丼ではない丼メニューができないかとあぐーを使うことを思いついた。
当初は三枚肉を使用する予定だったが、ありきたりだったため、あぐーでは希少なほほ肉(トントロ)を使用。トントロは焼くと硬くなるため、時間をかけてじっくりと煮込んでいる。さらに甘く味付けることで、海ぶどうの持つ塩味との相性もぴったり。丼の中は黒紫米を使ったライスの上に大葉を敷き、海ぶどうとあぐーのトントロをのせた多重構造。プチトマトやハーブをのせるなど見た目にもこだわり、“カフェ飯”らしさが際立つ海ぶどう丼となっている。
トントロの軟らかさに驚く「海ぶどうとアグーの丼仕立て」1430円。汁物、小鉢、コーヒーまたは紅茶が付く
スタッフの皆さん。向かって左後方が店長の屋我さん
[店舗情報]
fuu cafe
沖縄県本部町瀬底557(地図)
0980‐47‐4885
11時~17時L.O.(ランチは11時30分~)
水・木曜休
Pあり
こぼれ話
海ぶどうは天候や海水温などによっても生育状況が左右される、とてもデリケートな海藻なんです
いとう・かずひろ/北九州市出身。雑誌編集に携わり県内各地に出没。食べ歩きがライフワーク。大の猫好きでwebサイト「おきなわにゃんこビレッジ」も運営
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1687号 2019年11月28日紙面から掲載」