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2019年9月19日更新

[彩職賢美]ブランシェビーチ代表 デザイナーの山本友美さん|海に入れるドレス発信

「ウエディングドレスを着て、海の中で撮影がしたい」。そんなお客さまの思いを叶(かな)えたくて、ウエット素材を使った海に入れるドレスをデザインしました。お客さまの人生の節目をもっと自由に、美しく表現できるドレスを軸に、ウエディングで沖縄を発信できればと考えています。


Blanche Beach提供(川畑公平撮影)
 

衣装で人生に寄り添う

Blanche Beach
代表 デザイナー
山本友美 
さん

固定観念を超えて自由に 美しさと表現の幅広げる

海がきらめく瀬底島のビーチ。海中撮影に臨む新郎新婦と一緒に海に入り、緊張する二人を和ませる山本さん。水中での安全、ドレスのレースの流れにも気を配り、人生の節目の一枚をプロデュースする。

「ウエディングでは、海やビーチでの撮影需要がすごく多いのに、ドレスが汚れるからと、海に入るのを制限されてしまう。衣装の心配がなくなれば、お客さまも撮影する側も、やりたいことをもっと自由に表現できる」

新婦の衣装は、山本さんがデザインしたスイムドレス。水に漬かることを考慮して、ウエットスーツ素材を用いて仕立てた。「生地の厚みや伸縮性など、特性が服地とは全く違うし、縫い合わせるミシンも違う。名護市内にあるウエットスーツのオーダーショップの協力を得て開発、修正を重ねています」

トップスとパンツ、レーススカートに分かれたドレスは、ウエット素材の特性で保温性に優れ、浮力も増すため水中での安全性も高い。「スカートを取り外せば、そのままマリンアクティビティーも楽しめます」

スイムドレスは、アリーズというウエディングブランドで展開され、世界初の水に入れるドレスとして問い合わせが増えている。しかし開発当初は、大手ウエディング会社を訪ねても「海にドレスを着て入る必要性がない」と、まったく取り合ってもらえなかった。

それなら自分で撮影までプロデュースしてしまおうと、昨年、瀬底島でフォトサロン「ブランシェビーチ」を立ち上げた。

「写真は一枚のアート。海のこと、地元のことをよく知り、水中での人物撮影にたけたカメラマンと出会って、より高度な撮影ができるようになりました。10㍍くらい潜って、サンゴと一緒に撮るという大掛かりなロケを組んだこともあります」

撮影は瀬底島をはじめ、水納島、伊江島などで行う。県外、海外からの申し込みも多く、「島のことを知ってほしい」と、地元の人やマリンショップにも協力してもらい、1日1組を丁寧に案内する。スイムドレスを軸にしたアクアウエディングのプロデュースで、沖縄の魅力も発信する。


デザイナーとしてのスタートは、ブラックフォーマル。シルクを用いて、ドレスのような死装束を手掛けたこともある。「フォーマルウエアは冠婚葬祭、人生の節目のセレモニーで身につける服。衣装でお客さまと人生を共にしていけるのが魅力」

2009年に名古屋で会社を設立。フォーマルウエアの企画販売をはじめ、アイドルやタレント、音楽家の衣装、企業やパビリオンのユニフォーム、ウエディングドレスと、さまざまな特殊衣装を製作、デザインする。

沖縄を訪れたきっかけは、友人が住んでいたこと。何度も通ううち、自然と昔の沖縄の文化の余韻が残る瀬底島にひかれ、拠点を構えた。「まずは生活して地域になじんじゃうタイプ。島の文化を尊重し、理解することを大切にしたい」

現在は、名古屋と沖縄半々の生活。「島の人たちは感性がよくて、才能があるので、交流が刺激的。知り合った人たちとチームを組んで、何か新しいことができれば」
 
楽しく、美しいものが選ばれる時代。物事の本質を大切にするには、「固定観念にとらわれない柔軟な対応がカギだと感じている。着る人の本質、美しさを表現できる衣装を、私の感性で作っていきたい」と前を見据える。


細やかな配慮で美しい水中写真

Blanche Beach提供(川畑公平撮影)
 

陽光が降り注ぎ、海面が青くきらめいていても、水中は濁り気味ということも多々あるという。「同じ場所でも、時間や潮の流れによって透明度が変わる。海中での撮影は、天気、海中環境、撮影するお二人の状況をカメラマンと随時相談しながら行っています」と山本さん。

ドレスはウエット素材で、男性用のスーツも撥水加工が施された生地で仕立てられているため、体が浮きやすい。潜るのが苦手という場合は、ウエートをつけて沈みやすくなるよう工夫する。

水中撮影の楽しさ、難しさを自身がモデルになって体験。「海水がしみて、目を開けるなんて大変。でも、お客さまには『開けてくださいね』、って言いますよ」と笑う。体が冷えないよう、撮影時間もできるだけコンパクトに。そんな細やかな配慮が、美しい水中写真を生み出している。


 

住んで地域になじむ

「沖縄には、生まれ育った岐阜や、会社のある愛知で感じていたのとは、全く違う生活スタイルと文化がある。都会化し過ぎていないのが瀬底島の魅力」と話す山本さん。ビーチに撮影に向かう山本さんを見かければ、「今日は何の撮影ね? 暑かったらこっちで休んでおいたらいいよ」と、声が掛かる。撮影場所に困った時も、住人のネットワークで個人宅裏の砂浜を紹介してもらったりと、地元の人と触れ合いが、癒やしと活力になっているよう。「名古屋だけの生活は、もう考えられない」と笑う。


本当に着たいものを選ぶ

これまで多彩なウエディングドレスをデザイン、製作してきた山本さん。表紙で写っている袖がふんわりと広がったエレガントな印象のドレスは、以前にオーダーメードでデザイン・製作した一着。

ウエディングドレスも時代によって人気のスタイルは変わるが、「派手にする必要もなく、自分たちが本当に着たいと思うものを着るのが一番大切」と話す。


山本さんのハッピーの種

Q.休日の過ごし方は?
この前は、瀬底島のビーチの防波堤で夜釣りをして過ごしました。マリンレジャーを楽しみたくて、実は5年ほど前に2級船舶免許を取ったんです。船の操縦ができるので、たまには地元のおじいちゃんたちと一緒に漁船を操縦して、沖合に釣りに出ることもあります。楽しいですよ。

Blanche Beach
http://www.blanchebeach.jp



プロフィル
やまもと・ともみ

1983年、岐阜県出身。名古屋造形芸術大学短期学部を卒業後、総合結婚式場でコスチュームアドバイザーを2年経験。2006年に、ドレスブランド カサブランカで独立する。09年、現在の会社である株式会社Blancheを設立(本社・名古屋市)。特殊衣装を多岐にわたって手掛ける。18年から沖縄でフォトウエディングをプロデュースする。


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撮影/比嘉秀明 文/比嘉千賀子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1343>
第1677号 2019年9月19日掲載

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この記事のキュレーター

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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