スポーツによる肘や膝の痛み、変形性関節症の治療に 整形外科の再生医療 沖縄初の専門外来を設けた医師が解説|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(137)|fun okinawa~ほーむぷらざ~

沖縄で暮らす・食べる
遊ぶ・キレイになる。
fun okinawa 〜ほーむぷらざ〜

沖縄の魅力|スマイリー矯正歯科

毎日を楽しく

ヘルスケア

2025年11月6日更新

スポーツによる肘や膝の痛み、変形性関節症の治療に 整形外科の再生医療 沖縄初の専門外来を設けた医師が解説|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(137)

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。前回に続き今回も、整形外科治療の新たな選択肢にスポットを当て、整形外科分野における再生医療について、医療法人八重瀬会理事長で同仁病院院長の山内裕樹先生に話を聞きます。

整形外科治療の新たな選択肢③

自然治癒力を活用した治療

スポーツによる痛み、変形性関節症にも

整形外科の
再生医療


Q1 整形外科にも再生医療?

再生医療は整形外科の分野でも積極的に行われるようになってきています。整形外科では主に、人が生まれながらにして持っている自然治癒力を利用。高濃度に凝縮して活性化させた血小板を注射する「PRP治療」と、関節内の炎症を抑制する働きがあるタンパク質などを注射する「APS治療」が行われています。

当院でも整形外科分野での治療の選択肢を増やしたいと思い、沖縄県内初の再生医療外来を設け、2019年からPRP治療とAPS治療を行ってきました。再生医療は国が定めた「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、厚生労働省に届け出を行った施設でのみ治療を受けることができるもので、PRP治療は第三種、APS治療は第二種として、当院も厚生労働省の再生医療等提供機関一覧に登録されています。

 

Q2 PRP治療とは?

PRP治療は、スポーツなどによる肘や膝の痛み、腱(けん)や筋肉の損傷などへの新たな治療法として、プロスポーツ選手やアスリートからも選ばれています。傷を治す働きを持つ血液中の血小板を高濃度に凝縮し、活性化させたものをPRP(多血小板血漿(けっしょう))といいます。PRP治療では患者本人の血液から作ったPRPを患部に注射するのですが、当院では高濃度の白血球を含むL-PRPを使用しています。自分の血液を用いるため、免疫反応の起きる可能性が極めて低く、採血と注射だけなので身体的な負担が少ない治療法です。PRPはその人が本来持っている組織修復能力や再生能力を最大限に引き出し、関節周囲の軟骨、靱帯(じんたい)、筋肉など傷んだ組織の回復を促して、痛みを緩和する効果が期待できます。特に表層に近い軟部組織への効果が高いです。
 
PRP治療とその流れ

患者自身から採血した血液を遠心分離器にかけてPRP=下図の青い部分=を作り、患部に注射することで、関節周囲の傷んだ軟部組織の回復を促し、痛みを軽減する効果などが期待されます。

 

Q3 APS治療とは?

APS治療は、変形性膝関節症や変形性股関節症といった関節の痛みが長引いている方などに選ばれている治療法です。APSとは自己タンパク質溶液の略称です。患者本人の血液から作ったPRPをさらに分離・加工し、炎症を抑制する働きがあるタンパク質(抗炎症性サイトカイン)と自然治癒力を高めるタンパク質(成長因子)を高濃度抽出した溶液を注射することから、次世代PRP治療とも呼ばれています。関節内の炎症を改善し、軟骨の変性や破壊を抑え、損傷部位の修復を促し、痛みを軽減する効果などが期待されます。



山内裕樹さん/医療法人八重瀬会理事長、同仁病院院長

やまうち ゆうき/医療法人八重瀬会理事長、同仁病院院長
医師、医学博士。東京科学大学臨床教授。日本股関節学会、日本人工関節学会の評議員。日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会、日本リウマチ学会、日本脊椎髄病学会の指導医。日本骨粗鬆(しょう)症学会認定医など。モットーは「正確な診断、適切な治療、良質な対応」。

医療法人八重瀬会 同仁病院
電話=098-876-2212
沖縄県浦添市城間1丁目37番12号
文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<137>
第1995号 2025年11月6日掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
funokinawa編集部

これまでに書いた記事:4823

沖縄の大人女子を応援します。

TOPへ戻る