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2025年7月3日更新
Q.出生数低下、未来はどうなる?|A.市場が変化、年金削減も|マネーのヒント!⑯
厚生労働省が6月に発表した2024年の出生数は68万6061人で、過去最低を更新しました。数字を言われてもピンと来ないと思いますが、沖縄本土復帰の1972年の出生数203万8682人に比べて約3分の1になったと考えれば、数字の深刻さが浮き彫りになります。

Q.出生数低下、未来はどうなる?
A.市場が変化、年金削減も
厚生労働省が6月に発表した2024年の出生数は68万6061人で、過去最低を更新しました。数字を言われてもピンと来ないと思いますが、沖縄本土復帰の1972年の出生数203万8682人に比べて約3分の1になったと考えれば、数字の深刻さが浮き彫りになります。
「日本の将来推計人口 令和5年推計」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、出生数が68万人台になるのは2044年のはずだった。つまり、現実は予想より19年早いという事です。年金や医療など社会保険制度は人口推計を基に計画されるため、政府推計より19年早い減少は将来の社会保険制度を揺るがすのではと心配になります。出生率の低下が将来に与える影響を考えてみましょう。

日本経済はどう変わる
少子化によって若年層が減少すると育児、教育、住宅、自動車、ファッションなど若者向けの国内市場が縮小し経済成長が鈍化します。一方で高齢者の増加による医療、介護、生活支援など高齢者向けサービスや商品の需要が拡大します。このように消費市場の構造が変化する中で働く人は今後の変化で有利になるマーケットや職種を選ぶ事も人生設計で重要になります。
労働市場の変化
人材不足を補うためにAI、自動化、ロボットなどの技術導入が進む労働市場ではそれらを使いこなす技術や知識を早く習得した人が有利に働けます。逆に単純な仕事は機械やテクノロジーに取って代わられる可能性が高いので、今後10年以上働く予定の人はこのエリアでスキルアップが必要です。
そして、大人以上に重要なのが子どもたちの教育です。学校教育はAIやテクノロジーを使う事に追い付けていないケースが多いので、それらを使う環境を家庭内で整えましょう。今後の変化に柔軟に適応できるスキルを子どもに習得させる事は学歴を上げるよりも重要ではないかと感じます。親子で取り組めば大人も一緒にスキルアップになります。AIを取り入れた家庭教育は未知の領域ですが、早く行動すれば親子で時代の流れを味方にできると考えて筆者も模索中です。
年金支給額の削減も
日本の公的年金制度は「賦課(ふか)方式」といって現役世代が納めた保険料を同時期の年金受給世代(高齢者)に割り当てる仕組みです。つまり、若年層が減る=年金支給財源が減るという構造なので年金支給額削減や支給開始年齢の引き上げの可能性が濃くなります。
私たちにできる自己防衛は、積極的な資産形成に取り組んでマネーリテラシーを底上げする事です。取り組み方に不安がある場合はファイナンシャルプランナーに相談するなど具体的に行動を始めましょう。
人口減少による経済成長鈍化の影響で労働収入の伸びは期待できないが物価は上がるという厳しい未来が予想されます。そのため、今までのようにサラリーマンとして給与収入だけに頼る生活設計は行き詰まるリスクが高いです。自己防衛策として若い時から長期的な資産運用を行うこと、仕事の幅を広げるためのスキルアップ、柔軟な家庭教育など時代の変化に取り残されないために情報収集を欠かさず、できる事をしっかりとしていくことをお勧めします。

おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業を経て沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動
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『週刊ほ〜むぷらざ』マネーのヒント!⑯
第1977号 2025年7月3日掲載
この記事のキュレーター
- キュレーター
- 岡田有里
これまでに書いた記事:78
ファイナンシャルプランナー。ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業に就職し海外勤務を経験し、2000年に沖縄へ。「私の未来に安心を!」をテーマに、女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動。