まずは心臓マッサージ！｜身近な病気もっと知ろう家族の医学手帳（125）

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。今回と次回は救命救急にスポットを当てます。今月は心臓マッサージの方法について浦添総合病院の救命救急センター長で救急集中治療部部長の米盛輝武先生に話を聞きます。

ヘルスケア

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救命救急①

胸骨圧迫で救命率2倍に

練習できるスマホアプリも！

Ｑ１倒れた人を見つけたら？

まず肩をたたきながら「大丈夫ですか？」と声をかけ、反応がなければ「誰か来てください！」「119番通報をお願いします！」「AEDを持ってきてください！」と周囲に応援を求めましょう。そして10秒ほど呼吸をチェックしてみて、あえぐような普通ではない呼吸や呼吸が止まっているときは、すぐに心臓マッサージ（以下、胸骨圧迫）を始めます。

心停止になると救命率は1分ごとに約10％ずつ下がり、救急車の平均到着時間は那覇市でも10分近くかかるため、何もせずに救急車を待つだけでは助かる命も助からなくなることがあります。しかし胸骨圧迫をすれば救命率は約2倍に上がります。必要がないのに胸骨圧迫をしても命に関わることはありませんので、心配せず、近くにいる人が1秒でも早く始めてください。

Ｑ２胸骨圧迫のやり方は？

利き手を下にして両手を重ねて組み、足のかかとに当たる手首のすぐ上の部分で、胸の中央部、男性なら両方の乳首の真ん中を押します。自分の肩・肘・手首を一直線にして、肘をまっすぐに伸ばしたまま、真上から押すのがコツです。押す強さは大人なら胸が5センチほど沈む程度。テンポは1分間100～120回で、プリンセスプリンセスの「ダイアモンド」、ディスコ音楽の名曲「ステイン・アライブ」、「アンパンマンのマーチ」などが目安としてよく知られています。胸骨圧迫は救急隊が到着するまで休まず続けることが重要ですが、1人では2分が限界ですので、疲れる前に交代できる人を呼びます。また、119番に電話がつながったら、胸骨圧迫のやり方や必要なことを教えてくれますから、スマートフォンをスピーカーモードにして近くに置いておくことも大切です。

Ｑ３練習しておくべき？

もしも家族や友人が心停止で倒れ、自分が近くにいたら、すぐに迷わず胸骨圧迫できるように、普段から練習しておくことをおすすめします。「救命コーチングアプリLiv－リブ－」は、スマートフォンとクッションがあれば胸骨圧迫の練習ができ、119番通報やAEDの使い方も学べます。スマートフォンにインストールせず、インターネットで簡単に使えるアプリなので、ぜひお試しください。

また、11月16日（土）にアイムユニバースてだこホールで開催される「第31回日本航空医療学会」の市民公開フォーラムでは、このアプリやAEDが体験できますので、ぜひお気軽にお越しください。

次回は、AEDの機能や使い方について聞きます。

米盛輝武さん／浦添総合病院救命救急センター長救急集中治療部部長

よねもり・てるたけ／東邦大学医学部医学科卒。2019年4月から現職。日本救急医学会専門医、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本航空医療学会航空医療医師指導者、日本DMAT隊員統括DMAT資格、沖縄県災害医療コーディネーター。モットーは「すべては患者さんのために」

浦添総合病院
電話＝098-878-0231（代）
浦添市前田1丁目56番1号

文・堀基子（ライター）
『週刊ほ〜むぷらざ』　家族の医学手帳＜125＞
第1939号　2024年10月3日掲載