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2018年11月22日更新

開院66周年記念 公開市民講座「再生医療は膝関節痛の新たな選択肢」|教えて!ドクター当山〈210〉

当山美容形成外科は2018年11月3日、「膝関節痛に対する幹細胞治療について」と題した開院66周年記念の公開市民講座を那覇市内のホテルで開催した。基礎研究の第一人者である東京大学の齋藤琢氏が「変形性関節症の病態と次世代の治療」について、再生医療を取り入れた治療現場のスペシャリストである寺尾友宏氏が「本当に、再生医療で膝の痛みが改善するのか?」をテーマに講演。参加した150人は最先端の治療法とその症例に熱心に耳を傾けた。ここでは2人の医師の講演会のポイントと、会場の模様を紹介する。

軽度は完治、重度は痛み軽減を目標に

寺尾友宏氏(アヴェニューセルクリニック)

再生医療で膝の痛みは改善するのか? 答えは改善します。少なくとも私が治療した方は改善しています。ただ、どんな方でも痛みがゼロになるという夢のような話ではない。満足するレベルに達するかどうかが重要です。

自分の脂肪にある幹細胞を傷んだ箇所に注入する「幹細胞治療」で、なぜ効果が出るかを説明しましょう。通常、傷ができると血液中の血小板が幹細胞が集めて傷を修復します。関節の表面には血管がないので、周りを包む滑膜が幹細胞を出します。傷が軽度ならそれで治りますが、深い傷では幹細胞の数が足りず、修復できません。その足りない細胞を補うのが幹細胞治療というわけです。注入した幹細胞は、修復を担当する細胞に働きかけるだけでなく、傷ついた軟骨や神経などにくっついて新たな軟骨や神経に変化。原因に包括的に働きかけます。

治療は非常にシンプルで、細胞を取り、増やし、入れて、リハビリを頑張るの4ステップです。

日帰りででき、米粒2~3粒くらいの脂肪を局所麻酔で取り出します。血液サラサラの薬を飲んでいる方も止める必要がないので、受けていただきやすいですね。

脂肪内の幹細胞を使うのは、体内で幹細胞の密度が一番高く、体への負担も少ないため。細胞は、清潔度の高い空間で1カ月ほどかけて育てます。一つの関節に入れる幹細胞は1億個程度。ご自身の細胞と血液だけで増やすため、アレルギーの心配もありません。注入は数十秒。注入後は10分だけお休みいただき、注入した幹細胞を周囲の細胞に付着させます。

効果を高めるためには、リハビリの必要があることも分かっています。具体的には膝の曲げ伸ばしで、継続が大切です。

副作用の最たるものは、入れた細胞がガンなどに変わらないか。今のところはないと考えられています。痛みや腫れ、関節が硬くなるなどは一時的なもので、さほど心配の必要はありません。

私の患者さんをまとめると、治療前の痛みを10とし、4段階くらい下がる結果が出ています。機能回復や生活の変化は100点満点で70点を越え、日常生活への復帰も多くなってきました。実際に治療した方のMRIを見ると、治療前にあった骨の炎症が消え、半月板が明らかに大きくなっています。治療前にはなかった半月板が新しくできた方もいます。

大切なのは、変形の度合いで目標設定を変えること。軽度なら完全回復が目指せ、変形が強ければ痛みを軽くするのがゴールです。幹細胞治療は、ご自身の治る力を最大限に活用する治療で、今まで修復できなかった物が修復できるようになるケースは多々ある。現在は保険が利きませんが、体への負担が少なく、どんな健康状態でも受けられるので、興味のある方は当山先生にご相談ください。


治療の実際について説明する寺尾氏


幹細胞治療の適応(公開講座スライドより)

 

痛みを放置するとさまざまな悪影響

齋藤琢氏(東京大学大学院医学系研究科 整形外科学)

骨を覆う軟骨は、血管も神経もないのが特徴です。変形性膝関節症は、この軟骨がすり減り、周りの骨が出っ張ったり軟骨下の骨が変形する。膝全体がはれる、水がたまる、半月板が断裂するなど、百人いれば百通りのケースがあります。

東京大学では、13年前から約3千人の住民に検診を実施。変形性膝関節症は70代女性の70%以上と女性に非常に多く、体を動かしている人ほど変形しやすいけれど、変形=痛いわけではないなど、多くのことが分かってきました。

よく軟骨がすり減って痛むと言われますが、実は科学的に証明されたわけではないんです。関節を包む滑膜や半月板の外側、じん帯や腱、軟骨のすぐ裏の骨には神経があり、その傷み具合で原因を推測しているのが現状です。また、変形が進むほど痛みやすいけれど波もある。うまく落ち着ければ痛みから抜け出せるというわけです。

ただ、痛みを放っておくのはよくない。痛みにさらされ続けると脳の構造が変化して耐性がなくなることが分かっています。運動能力も低下。脳が痛みを記憶して体がうまく動かせなくなるという先生もいるほどです。いろいろな病気とも関係が深い。例えば、軽度認知症の方はそうでない方に比べ、4倍変形性膝関節症になりやすく、メタボで内分泌や代謝の異常が起こると軟骨がダメになるようです。

治療ですが、手術は膝が曲がりにくくなるものの、満足度は年々上がっています。慢性痛に効く薬は、痛みが3~5割減る程度。ヒアルロン酸注射は初期なら効果があり、ステロイドは使い過ぎると膝がボロボロになることが分かってきました。だれにでも効果があるものとして推奨されているのは運動。筋肉を鍛えると全身の痛みを感じにくくなることが分かっています。イスに座って膝を上げ続けたり、曲げ伸ばしをするのはいいでしょう。

そして今、登場しているのが次世代の保存療法です。保険が利かないので、よく情報を集めて判断する必要があります。

まずPRP(自己多血小板血漿)療法。血小板が持つ組織の修復を早める働きを利用する治療で、痛みを半年ほど抑えるのは分かっていますが、若い頃の膝に戻るわけではありません。

もう一つが幹細胞治療。体の各組織にある、組織を守るための細胞を使う治療で、痛む箇所に注射すると痛みが改善されることが分かってきました。韓国の論文では注射後1年程度痛みが抑えられると発表。ただ、2~3年後には元に戻るかもしれない。削れた膝の軟骨も一部の人では元に戻ることが分かっていますが、全員ではありません。


最新の研究結果を紹介する齋藤氏


変形性膝関節症の痛みの原因(公開講座スライド参照)


会場リポート 150人が熱心に聴講
定員100人を上回る150人以上の来場者が詰めかけた11月3日の市民公開講座。シニア世代はもちろん、30代~50代の若い世代の姿も目立ち、「スクワットはいいのか?」「治療の費用は?」など、質問も飛び交った。主催者を代表し、当山美容形成外科会長の當山護氏があいさつ。「美容の分野からも健康長寿に寄与できるこれからが楽しみ。長寿県、沖縄を取り戻せるよう再生医療に力を入れていきたい」と話した。


<過去記事一覧>
『週刊ほーむぷらざ』 教えて!ドクター当山<210>
第1635号 2018年11月22日掲載

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