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2024年5月2日更新

声帯に異常がない音声障害|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(120)

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。「声の異常」がテーマの3回目は、声帯が原因ではない声のトラブルにスポットを当て、沖縄初のボイスクリニックである、きゆな耳鼻科院長の喜友名朝則先生に話を聞きます。

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声の異常③

声が出づらい 機能性発声障害

声を取り戻す最適な治療を

Q1 機能性発声障害とは?

音声障害には、声帯に異常がある音声障害と、声帯には異常がない音声障害があります。声帯には異常がないのに、声が出にくくなる状態を総称して、機能性発声障害といいます。例えば、声帯には異常がないにもかかわらず、風邪症状が治っても声が出ない、仕事上の電話対応で普段とは違うよそ行きの声を出し続けているうちに声を出しにくくなる、といったケースなど、さまざまな原因で起こります。診断の結果、声帯が原因ではない機能性発声障害であれば、正しい音声のリハビリなどで治療を行います。
 


Q2 ストレスが原因になることも?

生活環境や人間関係の変化など、強い精神的なストレスが原因となり、突然ある日、声が出なくなることがありますが、それは機能性発声障害の一つである心因性発声障害かもしれません。心因性発声障害はまずは心療内科や精神科を紹介します。場合によって言語聴覚士が音声のリハビリをすることもあります。

 

Q3 声が詰まる、震えるときは

声帯には問題がなく、風邪やストレスなどの原因が特に思い当たらないのに、声が出ない、声が出にくい、声が詰まる、声が途切れるといった症状が続く場合は、筋緊張性発声障害、本態性音声振戦症、けいれん性発声障害などの可能性があります。

筋緊張性発声障害は、のどの筋肉に力が入り過ぎて声帯が締まり過ぎ、声が出にくくなります。言語聴覚士による音声のリハビリで症状を改善していきます。

本態性音声振戦症は、声帯や咽頭などの声を出すために働く筋肉が発声の際にけいれんしてしまい、声が出にくくなります。治療には筋肉の震えを抑える内服薬を処方します。

けいれん性発声障害は、声を出す際に声帯が締まり過ぎて、けいれんしてしまうために起こります。治療は、声帯をボツリヌス注射で部分的に麻(ま)痺(ひ)させる方法や、近年では締まり過ぎてしまう声帯を適度に締まるようにする甲状軟骨の形成手術が広まってきており、いずれも保険適用となっています。声をよく使う20代から30代の若い女性に多く、10代で発症したケースもありますので、コールセンター業務など声を使う頻度が高い職種で症状が当てはまる方は、ぜひ一度、受診をおすすめします。

声が出ない、出にくいという症状は、コミュニケーションがとりにくくなるため、社会的な影響も大きく、患者さんにとっては本当につらいものです。声のトラブルが2~3週間続くときは、ぜひ耳鼻咽喉科を受診しましょう。

 


喜友名朝則/きゆな耳鼻科 沖縄ボイスクリニック院長
琉球大学医学部医学科卒。医学博士。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医、日本音声言語医学会認定音声言語認定医。琉球大学病院の耳鼻咽喉科などで声の異常を専門とする音声外来を18年にわたって担当。沖縄初のボイスクリニックとして2023年8月きゆな耳鼻科を開院。モットーは「患者さんの視点に立って治療する」。

きゆな耳鼻科 沖縄ボイスクリニック
電話=098-871-4276
那覇市古島2-6-5

↓画像をクリックすると、きゆな耳鼻科 沖縄ボイスクリニックのホームページに移動します


文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家庭の医学手帳<120>
第1917号 2024年05月02日掲載

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