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2023年9月28日更新
[美容形成外科]脳梗塞後の後遺症や難治性アトピーは点滴治療も|教えて!ドクター当山〈263〉
前回は、正しい再生医療とは「自分の細胞を使って病気や加齢で失った機能を回復させる治療で、日本では法律で厳しく規制されており、適切な承認を受けたクリニックしか行えない」ことを紹介した。今回は、当山美容形成外科で実際に行われている4つの再生医療について紹介。具体的な内容や患者さんの声について、当山拓也院長に話を聞いた。
脳梗塞後の後遺症や難治性アトピーは点滴治療も
治療は4種類 膝関節が最多
当山美容形成外科で行っている再生医療
国の承認得た安全な治療
細胞の培養は専門施設に
―貴院で行っているのは、どんな再生医療ですか?
当山
現在、当院で行っている再生医療は主に4つ。①脳梗塞後の後遺症に対する点滴治療、②難治性アトピー性皮膚炎に対する点滴治療、③関節痛および変形性膝関節症に対する局所注射、④皮膚の加齢性変化に対する局所注射です。
四つとも現時点では対処療法はあるものの、根本的な治療がなくて困っている患者さんが多い疾患ばかりです。
―安全性はどのように担保されているのでしょうか?
当山
当院で行っている治療はどれも、厚生労働大臣が認めた「特定認定再生医療等委員会」に治療計画を提出し、厳正な審査で計画に問題がないと承認されています。
また安心安全に、そして最大限の治療効果を引き出すためには、患者さんから採取した細胞を培養する施設選びや治療スケジュールも重要です。当院では、東京大学や東京の培養専門施設・CPC株式会社と連携。高い技術で培養した高品質な細胞を徹底した温度管理の下で空輸。良好な状態で患者さんの体に戻せるよう、治療の際も細心の注意を払っています。
着実に実績積み重ね5年
県の補助で開発・研究も
―貴院が再生医療を始めてどのくらいたちますか?
当山
2018年10月の開始以来、ことしで5年が経過しました。これまで大きな問題や合併症もなく、順調に治療実績を伸ばしています。
特に治療実績が多いのは③の膝関節の治療です。「手術はしたくない」「これ以上ひどくなる前に治療したい」と相談に見える50~60代の女性が大半。すべての患者さんに効果が期待できるわけではありませんが、リハビリやインソールなどと組み合わせることで、「階段の上り下りが楽になった」「好きなゴルフが続けられて嬉しい」など、生活の質が向上している方が増えています。
それ以外にも、脳梗塞の後遺症や難治性アトピー性皮膚炎などは点滴治療が行え、シミやシワといった加齢性変化に対する注射も行っています。県内でも再生医療を提供する施設は少しずつ増えてきていますが、複数の治療が行えるのは当院だけです。
―今後の展望は?
当山
一昨年は沖縄県の補助事業として、幹細胞を培養する際の上精液に含まれる「エクソソーム」を使った治療の開発に着手。一定の成果を上げています。高い安全性を維持しつつ県内で培養から治療までを行えるよう、現在も研究を継続中。より質の高い再生医療を一人でも多くの患者さんに届けられるよう今後も努力し続けます。
※次回は「お顔の老化を自分の組織で改善! 顔面への脂肪注入」」について、ご紹介します。
当山 拓也 氏
当山美容形成外科 院長
東京医科大学卒業後、東京大学医学部形成外科学教室入局。東京警察病院、杏林大学形成外科等で研さんを積む。リッツ美容外科・東京院、東京西徳洲会病院形成外科・美容外科医長、アヴェニュー表参道クリニック副院長をへて、2017年4月に医療法人形成会当山美容形成外科副院長に。2018年、同院院長に就任。
<この記事に関する問い合わせ先>
医療法人形成会 当山美容形成外科
098-867-2093
http://www.touyama.com/
<過去記事一覧>
『週刊ほ〜むぷらざ』 教えて!ドクター当山<263>
第1886号 2023年9月28日掲載