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2018年9月20日更新

[彩職賢美]豊見城中央病院 不妊症看護認定看護師の大嶺美幸さん|不妊に挑む心をケア

夫婦の6組に1組が悩んでいる、とも言われる不妊。大嶺美幸さん(42)は、県内で2人目の不妊症看護認定看護師だ。「一番したいのは、心のケア。治療は結果が出るとは限らず、身体、精神、経済的な負担が大きい。思いを話すことで、少しでも楽な気持ちになってもらえれば」と、患者に寄り添う。

県内2人目 不妊認定看護師

豊見城中央病院 
不妊症看護認定看護師

大嶺美幸 さん

豊見城中央病院に不妊専門外来が開設した19年前から同外来にいる大嶺さん。患者から、「治療と仕事の両立に悩んでいる」「流産を繰り返さないか不安」「治療のやめ時は」といった、切実な悩みが寄せられる。「話を聞いてほしい人も情報が欲しい人もいる。何を求めているか、患者さんに向き合い、意思を尊重することを心掛けています。その上で、先を見通してアドバイスをするのが私の役目」。
治療の末、念願がかない妊娠をしたものの流産したり、子どもができた後に離婚をしたり、つらいケースも見てきた。「性交を排卵時期に合わせるために、無理はしないでいい」と、柔らかく伝える。「妊娠がすべてではない。その人らしい生き方を支援したい」と考えているからだ。
「患者に寄り添う」姿勢は、生来の性格と経験から培われたもの。「読書が好きで内向的。人の気持ちに共感することが多い」。患者の妊娠を共に喜び、流産に泣いてきた。
約10年、がんを患った父の介護をした経験も大きい。当時、医療従事者に相談に乗ってもらったことが、支えとなった。「専門外で分からないことばかり。専門家のサポートに支えられた」。同時に、医療従事者としての責任も痛感した。
カウンセラー、認定看護師となったのは、「くみ取った思いを、もっと治療に生かしたい」という思いからだ。以前は患者のつらい気持ちに共感し過ぎて、やるせなくなることも。学びを通し、「思いを受け止めるだけでなく、患者さんの気持ちを引き上げないといけない」と考えるようになった。
認定看護師の免許取得は、容易ではなかった。「父の病状が落ち着いている今しかない」と、夫や娘の理解を得て県外で学んでいた際に、父の病状が悪化。上司から「家族を優先して、無理はしないでね」と言われたが、家族や親せきのサポートもあり、危篤状態の中で実習を受講。父を看取った後、奮起して試験に合格した。世界の最新医療や患者との関わり方など、得たものは大きかった。「以前は患者さんに遠慮がちだったけれど、様子を見て声を掛けられるようになった」。


那覇高校に進学時、第2希望だった衛生看護科に進んだ。熱意ある教師に看護職の意義を学び、看護師になることを決める。「実習で、急性期を乗り越えて元気になっていく患者さんに接し、分娩へも2度立ち会って、感動しました」。卒業後、豊見城中央病院へ就職。産婦人科を経て、「妊娠前からサポートが必要なのでは」と実感し、不妊外来を希望した。
「他の病院を知らない分、積極的に学びたい」と、ブラッシュアップを重ねてきた。県の不妊相談事業の電話相談を担当し、患者向けの情報をまとめた小冊子「おきなわ がんサポートハンドブック」の作成に関わるなど、院外へも活動を広げている。「ネット社会で偏った情報が混在する中で、根拠のある情報を発信したい。当事者だけでなく、多くの人に不妊治療のことを知ってほしい」。
仕事のやりがいは、という問いに、「患者さんの話が聞けたとき」と答えた大嶺さん。「家族にすら話せない思いを抱え込んでいる人は多い。それを共有できることが、何よりの喜びです」。一人一人に向き合う、原点はぶれない。




チームワークを大切に


「不妊治療は、医師、看護師、胚培養士、医療補助者のチームがあって成り立つ。外来の設立当時からチーム医療を重視しています」と大嶺さん。チームワークを高めるために、2週に1回ミーティングをして、他職種間との連携を重視。業務が落ち着く時期に、年に2~3回、懇親会を行い、交流を深めている。
専門看護師の免許の費用は病院が負担し、受講は出勤扱いになるなど、手厚いサポートがあった。「みなさんのおかげで、無事に免許が取れました」(3面の写真はすべて大嶺さん提供)


不妊治療にオススメの情報

「正しい情報を得ることが大事。ぜひみなさんに知ってほしい」と大嶺さん。オススメのサイトを教えてくれた。
◇こうのとりラーニング スマホでクイズ形式で妊娠や不妊に関する知識が習得できる。「特に、夫婦の温度差に悩む方におすすめ」
◇フィンレージの会 不妊に悩む人の自助グループ。「My  Dear あなたの身近な人が不妊で悩んでいたら」「My  choice わたしらしい選択のために」という冊子をデータでダウンロードできる。
 大嶺さんが相談員として関わっている「沖縄県不妊専門相談センター」は、助産師と不妊症看護認定看護師による電話相談、医師による面接相談を無料で受け付けている。面接相談は電話予約が必要。

<問い合わせ先>
098ー888ー1176
メールwoman.h@oki-kango.or.jp
水・木・金 午後1時半~4時半(年末年始、祝日は休み)


大嶺さんのハッピーの種

Q.癒やしを感じるのは、どんな時?
アロマオイルと自然を見に行くことです。アロマは、脳に直結して心を穏やかにしてくれる。自宅でも職場でもアロマポットを使って芳香浴をすると、リラックスできます。ゼラニウムが好きです。

病院にいると、自然を感じることが少ないので、家族で休みに旅行する際は、自然豊かな場所へ。昨年は渡嘉敷島に行きました。海に行くと、Tシャツを着て泳ぎます。19歳の娘とスケジュールを合わせるのが大変ですが、年に1回の家族での楽しみです。





PROFILE
おおみね・みゆき
1975年那覇市出身、91年県立那覇高校衛生看護科卒業。94年県立浦添看護学校第一学科卒業。96年社会医療法人友愛会豊見城中央病院に入職。産婦人科を経て、99年新設の不妊外来へ。2015年日本不妊カウンセリング学会不妊カウンセラー免許取得。17年不妊症看護認定看護師免許取得。



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今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明・編集/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1311>
第1625号 2018年9月13日掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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