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彩職賢美|沖縄の輝く女性にインタビュー

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2017年10月19日更新

[彩職賢美]スープのお店まじゅんオーナーの宮里園子さん|おいしい介護食を

嚥下(食べ物を飲み下すこと)に困難を抱える人に、ムース食を宅配する「スープのお店まじゅん」。オーナーの宮里園子さん(44)は、1年試作を繰り返し、食材の味と形を生かした料理を提供している。「先天的な病気を持つ10代の子からお年寄りまで、困っている人はたくさんいる。食べる楽しみを届けたい」と意欲的だ。


 

食べる楽しみ届けたい

スープのお店まじゅんオーナー
宮里園子 
さん

「結婚して、10年以上専業主婦。まさか自分がお店を立ち上げるなんて」と宮里さん。夫と2人、起業したのは、障がい者の働く場所を作りたい、と思ったからだ。「知的障がいのある義妹がいて、障がい者の受け皿となる場所を作りたかったんです。困っている人を困っている人が助ける場を作れたら、と開店を決めました」。
提供している料理は日替わりで、アチビー(おかゆ)、スープ、おかず、デザートが基本。「食事を楽しめるように、パッと見て何を食べるか分かる」よう心を砕く。完成した料理をペーストにするのではなく、それぞれの食材をゆでてミキサーにかけてペースト状にし、とろみ剤などで固めて料理の形を再現。ソースで味付けをする。口に入れると、エビやカボチャなどそれぞれの味が広がり、溶ける。

メニューの考案から調理まで、一手に引き受ける宮里さん。店での調理は、一日中立ちっぱなしの体力仕事だ。週に6日は店に出て調理や準備をし、残り一日は買い出しのため、休みなしのフル稼働。「おやつにチョコを塗ったパンを4、5枚食べてます。今が頑張りどころ!」。はつらつとこなすが、実は子どものころから病気がちで、体が弱かった。「体力がなくて、体調を崩しがちだった。独身時代、仕事をしていたときも疲れて週末は寝込むくらい。今が一番、元気です」と笑う。

モチベーションの源は、利用者の反応だ。「ご飯が食べられなくなって痩せていたけれど、体重が元に戻った」「食事作りの負担が楽になった」といった声が届く。「最初はお手伝いのつもりだったけど、困っている人がいると知って、夢中になった。だれかの役に立てているんだとうれしい」と生き生きと話す。

32歳で息子を出産後、食への関心が深まった宮里さん。ベーコンやみそを自作するほど、料理は得意だった。夫からムース食の店を提案され、「まずは作ってみよう」と取り掛かったものの、完成までの道のりは長かった。弾力やとろみの調整がうまくいかず、水やゲル化剤の配合を変えて、何度もチャレンジした。勉強会や本で嚥下の知識を深めながら、医師や言語聴覚士、歯科医など専門家に試食してもらい、改善を続けた。「最後は、やり過ぎて頭がワーッとなるくらい。それでも、健康に関わるので、絶対に手は抜けない」。

数えきれないほど試作を繰り返し、納得いくものができたのは、1年後だ。「弱っている方も大丈夫なように、念には念をいれて安全を担保したい」と、県環境科学センターの菌検査を受けて、器具や履物など、衛生環境にも細心の注意を払う。

これまでは当日作ったものを配達していたが、「週末も利用したい」というリクエストに応えて、今月から真空パックでの配送を始めた。県全域へ配送可能で、全国へ配送できるよう準備中だ。「店ではまとめて調理できるけれど、自宅で作るのは手間がかかる。特別な日や疲れた日に、お総菜を買うように使ってほしい」。

「いずれ、障がい者の就労訓練施設を設立し、店でも障がい者を雇うことが目標です」と宮里さん。夫婦で、来春を目途にNPO法人設立に向けて動いている。夢の実現へ、加速度は増している。



日替わりメニュー
ある日のメニューは、ニンジンベースのみそ汁、エビマヨ、アチビー、チョコレートムース。700円。現在、用いている食材は20種類以上。その中から食材を組み合わせ、和・洋・中のソースで調理をする。「肉や繊維の多い青菜、ゴボウなど、食べづらいものも、意外といけます」。繊維の多いカラシ菜は、繊維をこして使うといったひと手間も。自信作は、見た目もそっくりの肉巻きやエビチリ。


スープのお店まじゅん
098-953-0065
沖縄県浦添市仲間2-4-1(地図
配達は浦添市と那覇市、宜野湾市の一部 配送は沖縄県全域




ベーコンも手作り
「子どもが生まれたときに、健康な体があれば何でもできると思った。体を作るのは食事なので、できるだけ手作りしたいと考えました」。宮里さんは、出産以降、ハムやベーコン、みそ、コチュジャン、ヨーグルトなど、さまざまなものを手作りしている。みそは、1年に1回、20キロ近くを仕込む。ベーコンは、三枚肉の脂身を取り除き、ハーブやスパイス、塩をもみこみ、数日おいて塩抜きをしてチップで燻製(くんせい)にして仕上げる=写真。「意外と何でも自分で作れるし、簡単ですよ!」
上写真と下写真は宮里さん提供




宮里さんのハッピーの種
Q.元気のもとはなんですか?
家族です。夫と息子の男2人なのですが、2人とも家事に協力的です。息子は掃除や洗濯、米をといでくれるし、夫は食器を洗ってくれます。夫はお菓子作りが趣味で、ケーキやアイス=写真=作りは、私より上手なんですよ。家族に支えられて、家族のために頑張れます!



PROFILE
宮里園子(みやざと・そのこ)
1973年那覇市出身。首里東高校出身。医療事務や行政の臨時職員などを経て、2004年に結婚し専業主婦になる。05年出産。2016年10月、夫と共にスープのお店まじゅんを浦添市内にオープン。今月から真空パックの取り扱いをスタート。「安心して、食事を楽しめるように」とメニュー作りや調理に励む。



週刊ほーむぷらざ「彩職賢美」|輝く女性を応援!
今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1274>
第1579号 2017年10月19日掲載

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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