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出産・子育て

2017年8月10日更新

増える不妊 原因は男女半々

国内で体外受精で生まれた子どもの割合は、2004年は1.64%だったが、2014年には2.7%に(不妊治療をめぐる現状 厚生労働省)。不妊に悩む人が増えている。その原因は、男女半々だという。県内の現状や検査・治療の流れなどを、空の森クリニックの佐久本哲郎院長と、德永義光理事長に聞いた。


 

生活習慣で妊娠力高く

Q.不妊症とは?
A.避妊をせず1年たっても子どもができない場合に不妊症といい、子どもを望む夫婦のうち、10~15%が不妊症だと言われています。妊娠率は年を重ねると下がるため、晩婚、晩産化によって不妊症が増えていることが考えられます。卵子は加齢とともに減り続けるのですが、どれだけ残っているかは個人差があります。少ない方は、早めに治療を進める必要があるので、まずは検査を受けてみることをお勧めします。

Q.県内の現状は?
A.県内は人口に対する割合で見ると、不妊で悩む人の数は多いのではないかと思います。その原因として、車社会による運動不足や不規則な食生活が考えられます。また、患者さんには、離婚後再婚し、年齢が上がって出産を望む方、トートーメーの跡継ぎとなる男子を希望する2人目不妊や3人目不妊も多く、県内の事情が反映されていると感じます。

Q.何が原因?
A.慶応大学のデータによると、男性と女性の原因が半分ずつくらい、原因不明が8.3%=下円グラフ参照。男性の原因には精子の数が少ない、運動率が低い、などがあります。女性の原因には、排卵因子(排卵障害)や卵管因子(詰まっている、狭い、癒着)などがあります。



Q.どんな治療がある?
A.原因に応じて、治療内容は変わります。代表的な方法として、「タイミング法」や「人工授精」「体外受精」「顕微授精」などがあります=左囲み参照。卵管の詰まりや癒着を改善する「卵管鏡下卵管形成術」もあります。
結果が出なかった場合、ただ治療法を変えるのではなく、原因をきちんと調べて適切な治療法を選択することが大切です。

Q.妊娠力を上げるために、できることは?
A.BM125以上の肥満は妊娠しにくいという統計が出ています。また、インスリンが高くなると排卵障害や着床障害、初期流産がおきやすくなるので、糖質を控える食生活や肥満を解消することをすすめています。
運動も大事です。子宮の血流が悪くなると着床環境に影響があると考えられます。4年間不妊だったのですが、お風呂や運動で子宮の血流が良くなり、38歳で自然妊娠した方がいます。
精神的なストレスも、強く影響します。ストレスは、女性不妊の原因の一つである高プロラクチン血症や月経周期の乱れに関連します。ストレスを減らし、運動や趣味などでワクワクすることは、卵の質や排卵に良い影響を与えると考えられます。このほか、ビタミンDの不足により免疫が変化して妊娠しにくい状態に。改善には、1日5分の日光浴やサプリメントが有効です。
男性も、生活習慣が精子の運動率や受精機能に影響することが知られています。喫煙も睾丸の循環に影響します。食生活や運動習慣の改善、睡眠不足の解消、疲労改善などが重要です。妻が39歳の時に治療を始め、顕微授精を何度もしても授からなかったのですが、夫が運動を始め、痩せて精子の状態が良くなり、43歳で1回の人工受精で妊娠、出産されたご夫婦がいます。
私たちがサポートできるのは受精の過程の部分だけ。妊娠には、精子と卵子が出会い、卵子を育てていく長い過程があり、その基礎になるのは体です。検査や治療と共に、日常生活を見直すことも大切だと思います。
また、できる限りのサポートをしていますが、子どもが授からない方もいます。治療に携わっていると、人の誕生はものすごい確率だと実感します。せっかくの人生、出産だけを最終ゴールにせず、ご自分の人生やご夫婦の関係を大切にしていただけたらと思います。



德永義光理事長(左)と佐久本哲郎院長(右)

 

妊娠までの流れ

卵胞はホルモンの働きで発育し、各月経周期に1個卵子を排出する。卵子は卵管に取り込まれ、膣から子宮を通って進入してきた精子と出会い受精する。受精した卵子は子宮へ移動し、子宮へ着床し、妊娠が成立する。

検査の内容

検査では、①排卵がおきているか、②卵管が通っているか、③精子が子宮に入っているかをチェックする。
①は、基礎体温が高温期と低温期の二層に分かれているか、卵胞が育っているかを確認する超音波検査、血液検査によるホルモン測定で調べる。
②は、卵管造影という検査をする。子宮に造影剤を注入し、レントゲンで見て卵管がきちんと通っているのかを調べる。
③は、ヒューナーテストといい、性交を行ったあと、子宮頸管の粘液を採取して、粘液に含まれている精子の数や運動状態などを調べる。
このほかに、血液検査による女性ホルモンの測定や超音波検査、おなかの中を観察する「腹腔鏡検査」、子宮内を観察する「子宮鏡検査」、精液検査などがある。

 

代表的な治療法

タイミング法
超音波検査などで排卵日を予測し、タイミングを合わせて夫婦生活を持つ。



人工授精
排卵前日から当日に、洗浄された精子を細いカテーテルで子宮の中に注入する。注入された精子が卵子と出会い、受精、着床、妊娠に至るまでの過程は自然妊娠と同じ。費用の目安は1万円~3万円。
※治療法などで費用は変わる。

 

体外受精・顕微授精

「体外受精」は子宮内から卵子を取り出し(採卵)、その卵子に精子を振りかけて受精した卵を培養して子宮内に戻す。顕微授精では、卵子に1個の精子を直接注入して受精させる。費用の目安は30万円~70万円。
※治療法などで費用は変わる。


経験者の声
周囲の言葉に傷ついた Hさん(39)
28歳で結婚、1年後に子宮外妊娠し手術。その後、1年間期間をあけて不妊治療を始めたHさん。長男嫁で、義両親や親せきのプレッシャーが強く、「まだできないの?」「生理はある?」など言われた。「周囲が出産ラッシュで、赤ちゃんを見るのが辛かった。とにかく早く子どもが欲しくて1回の人工受精後、すぐに体外受精。二度目の体外受精で妊娠した。現在、子どもは5歳。話ができる人がいないのが辛かった。二人目は、もういいかな」と振り返る。

看護師から
不妊治療は夫婦でするもの
空の森クリニックの不妊症看護認定看護師の德永季子看護師長は「不妊治療は夫婦二人でするもの。夫が協力的じゃなかったけれど、一緒に病院に来ると意識が変わったという方も。できるだけ病院には、夫婦で来るといいと思います。治療で妊娠しやすい状態に近づけるけれど、妊娠が確約できないのが不妊治療の辛いところ。インターネットの情報に振り回されず、自分に合うリラックスする方法を見つけて」とアドバイスする

 

専門家が悩みに応えます!

不妊に関する相談に、医師や助産師が応えてくれるのが、不妊専門相談センター。同センターの相談員はみんな女性で助産師。錦古里光子さんは「治療の方法や原因、助成金の申請などの問い合わせや、治療、病院選びの相談が多い」と話す。砂川瑞枝さんは「治療のために、仕事を辞めたほうがいいのかというご相談を受けたことも。話すだけで楽になることもあるので、ぜひ気軽に相談してほしい」と話す。
月に3回、専門医師による無料相談があるほか、毎月第4金曜日には不妊に悩む当事者が集まる会もある。相談は電話やメール、面談にて受け付けている。面談は事前に電話予約が必要。

電話相談
水・木・金 13時半~16時半(年末年始、祝日は休み)
098-888-1176

メール
woman.h@oki-kango.or.jp

公益社団法人 沖縄県看護協会
沖縄県南風原町字新川272番地17(地図


左から錦古里さん、砂川さん

 

体外受精、顕微授精に助成金

不妊治療のうち、医療保険適用外の「体外受精」「顕微授精」には、助成制度がある。県の助成件数(那覇市を除く)は、2005年度は194件、2016年度は1268件。

【対象】
治療開始時点の妻の年齢が43歳未満。
法律上の婚姻をしている人で、次のすべてに該当すること。体外受精及び顕微授精が必要だと医師に診断された人。夫婦の合計所得が730万円未満。夫または妻が沖縄県内に居住していること。県が指定した医療機関で治療を終了した人。

【助成額】
助成額は1回の治療につき15万円。初めて制度を利用する場合のみ上限30万円。TESE・MESAなどの男性不妊治療を伴う場合、別途上限15万円。

【助成回数】
40歳未満は43歳になるまで通算6回まで。40~42歳は43歳になるまでに通算3回まで。

【申請窓口】
保健所への申請が必要。

<問い合わせ>
沖縄県保健医療部地域保健課母子保健班
098-866-2215

那覇市は、那覇市保健所地域保健課
098-853-7962

市町村によっては県の助成事業とは別に、不育症(流産や死産を繰り返す)治療、不妊治療にかかる検査費や医療費、治療に係る渡航費(主に離島)を独自で助成している場合があるので、各市町村へ問い合わせを。
 


編集/栄野川里奈子
毎週木曜日発行・週刊ほーむぷらざ
「第1569号 2017年8月10日紙面から掲載」

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おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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