彩職賢美
2015年1月8日更新
[彩職賢美]英語、ヘブライ語、日本語講師の藤原直美さん|異文化交流促し 伝え合う力育む
知りたいことや感じていることを、英語で伝える楽しさを体験してほしい。児童、生徒から大学生までの英語講座や個人レッスンのほか、外国人向けの日本語講座を手掛ける藤原直美さん。料理やお茶、音楽会など文化交流を通した英会話指導の傍ら、日米交流で児童・生徒の自立をサポートするボランティアにも力を注ぐ。
音から楽しく英語力アップ
実践的な英会話指導、交流会を主催
英語、ヘブライ語、日本語講師
藤原 直美さん
「何だろう♪」「I wonder what it is?」。レッスンでは、歌のフレーズを繰り返し歌うように、リズミカルに日本語と英語を伝え合う。外国語の習得には「まずは音を知ることが大切」と藤原さん。英語、日本語を交えた言葉のリズム遊びは、自然なスピードで話した時に起こる「音の変化」を耳と口に慣れさせるためのもの。日本人、外国人の双方が、日常会話の言い回しを楽しく学べると評判だ。
米国人にお茶や和菓子を紹介する少人数のワークショップ、子ども向けの日米交流会、「英語で薬膳講座」など、多彩なプログラムも盛り込む。外国人とじかに話すことで伝える楽しさを感じ「生きた英語」につなげたいとの考えからだ。
「簡単な言葉でも通じると、あの子とまた遊びたいとか、相手の国のことを知りたい話したい気持ちが芽生えて、話し方や話題を工夫するようになる。楽しいと自らよく学ぶんです。そうして自分の言葉、伝える力になっていく」
交流会など活動の大半は、ボランティア。ほかにも子どもたちの自立の一助にと、児童園などの福祉施設で英語指導をしたり、病院や企業でバイリンガル救急法講座を企画するなど、英語を活用した福祉活動にも熱心に取り組む。 活動の原動力は「異文化に触れて自分のルーツ、文化を見直すきっかけにしてほしい」との思い。「けん玉や折り紙、日本の手遊びなどを取り入れると、外国人はとても喜ぶ。逆に日本人の子は『こんなことが喜ばれるんだ』と自分の国の文化に目を向けるようになり、自信にもつながります」。
日本、米国の子どもたちの交流レッスンのひとコマ。英語と日本語の音の違いをメロディーにのせて指導する。日本の手遊びも子どもたちに人気=沖縄市、編集部撮影
小学4年生から4年間、家庭の事情でイスラエル、パレスチナ自治区で暮らした。当時、レバノンと紛争中で、毎日のように戦死者が報道されていた。「宗教感、文化の違いを目の当たりにした当時の経験が、今の私を形成する原点の一つ。争いが絶えない地域でしたが、学校の友達は外国人の私を受け入れ、共に過ごしてくれた。そのことがとてもありがたかった」。自分の国、相手の国の文化を尊重する、身近な国際理解の大切さを肌で感じた。
帰沖後は高校卒業と同時に結婚、出産。子育てに追われる中、生活のために始めた個人レッスンが、英会話講師の出発点だ。「教え方のノウハウを学んだわけではないので、自信が持てず、必死だった」。
気軽に国際交流ができる環境をとの思いに火がついたのは、教え子が迷いなく外国人の子と話して、遊ぶ姿を見た時。「私にも何か橋渡しができるかもと思ったら、教えることが喜びになった」。そこから、幼少期から実践で得たことを工夫し、丁寧に楽しく学べる独自の指導スタイルを確立した。
今後はウチナーグチも教えていけるよう、目下勉強中という。「自らの歴史や文化を学び足元がしっかりしていれば、世界に大きく羽ばたける。英語力はそのための翼。子どもたちの可能性を広げていきたい」と目を輝かせた。
藤原さんのハッピーの種
Q.歌やゲームで交流しながら学べるのは楽しそうですね。
歌は外国語を学ぶ良い教材。流行の歌などとてもいいですよ。歌詞の一部を英語に訳して歌ってみるとか。例えばMONGOL800の曲にある「あーなーたーに会いたくて♪ 会いたくて♪」のサビの部分を、「I miss you dear」とかに変えて歌っていれば、意味を重ねて覚えられるし、街中でこの歌を聞いた時、英語のフレーズを思い出すでしょ。日本語を学ぶ外国人も同様に自然に口ずさむようになって親近感が出ますよね。
Q.英語で薬膳講座も開いているとか。
国際交流の一環で薬膳のワークショップを企画して、通訳を担当したところ、訳するのが難しくて。そこで自分でも薬膳を学び、米国人の友人と一緒にフェイスブックで発信したら、あっという間に登録者が400人近くに。
食べて健康になることは世界共通の関心ごと。昨年10月からは、漢方を処方する日本人医師と外国人が交流しながらともに学べる勉強会を開いています。今後は、若い世代にも広げていけるよう仕込み中です。
PROFILE
藤原直美(ふじわら・なおみ)1970年、那覇市出身。小学4年生から4年間、両親の仕事の都合でイスラエルに移住。その間にヘブライ語を習得。帰沖し、県内の中学へ。豊見城高校卒業後に結婚、出産。6人の子育ての傍ら始めた語学講師、英語の指導を通した国際交流のボランティアが評判となり、多彩な講座を開催。保育園や幼稚園、大学でのスポット講座も。
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/岸本貴子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1152>
第1434号 2015年1月8日掲載