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2025年4月10日更新

肥満予防にはBMI25未満と体内時計がカギ|人生100年‼︎ココカラ健康長寿①

今回から始まる当コーナーでは、人生100年時代といわれる昨今、心身ともに元気で長生きするためのヒントを紹介します。1回目のテーマは「肥満」。肥満が引き起こす健康障害や体内時計に基づいた食事の取り方など、肥満のリスクや予防について専門家に聞きました。



2000年以降、沖縄の平均寿命は悪化の一途をたどっている。厚労省によると22年には健康寿命も短くなり、男性が40位から45位に、女性が25位から46位に急降下。新健幸クリニックの院長、潮平芳樹医師は「県民の健康を守るために重要な課題は肥満(症)にあると考えている。予防のためBMI25未満を減量の目標にしましょう。食事も量やバランスはもちろん、“いつ食べるか“が大事です」と話す。
 

BMI25を意識 体内時計整える


教えてくれたのは

新健幸クリニック
院長 潮平 芳樹 さん


千葉大学医学部卒業後、県立中部病院をはじめ各地の県立病院内科で勤務。豊見城中央病院院長を経て、2019年に新健幸クリニックを那覇市に開院。


満は糖尿病や高血圧、脂質異常症をはじめ、腎臓病、虚血性心疾患、脳卒中など11の健康障害を引き起こす要因として知られています(肥満症診療ガイドライン2022)。メタボリックドミノといわれるように、肥満から糖尿病などの生活習慣病になり、そこからドミノ倒しのように脳卒中や心不全など重篤な合併症を誘発する恐れがあります。また、がんや認知症のリスクでもあります。県内の働き盛り世代は全国的にみて死亡率が高く、その死因はがん、虚血性心疾患、脳卒中などの生活習慣病が上位を占めています。

当院で行った肥満患者を減らす取り組み「BMI25ゼロ・プロジェクト」でも、参加したBMI27以上の患者123人のうち、虚血性心疾患を引き起こす可能性がある冠動脈石灰化が40例見られ、早期がんを7例(乳がん5例、腎臓がん2例)発見しました。

肥満による合併症(健康障害)が多いほど飲む薬も増える傾向にあります。当院を受診した患者の中で最多服用は24種類。減量の結果、半分まで減りました。肥満を解決すれば多くの健康障害の予防、そして医療費を減らすことにもつながるのです。

 


BMI(体重キロ÷(身長メートル×身長メートル))が、肥満の判定基準である25以上にならないように、目標を持って減量を心掛けましょう。減量には食事と運動が大事。当院で行った肥満患者を減らす取り組みでは、時間栄養学の方法を含む食事療法、1日5千歩以上を歩く運動療法、薬物治療としては2種類の薬の併用が有効で、3キロ以上の減量は患者の84%、6キロ以上が59%、10キロ以上が33%という結果になりました。

時間栄養学とは、体内時計の働きに基づいて「いつ食べる」のが健康にいいのか考慮した栄養学。脳や臓器、血管、皮膚にある体内時計は、血圧や体温、睡眠といった体のリズムをコントロールしています。体内時計の乱れが肥満や血圧・ホルモンの乱れにつながり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクになると考えられています。体内時計が乱れる要因には、朝食をとらないことなどが挙げられます。

 


下のグラフはBMI値と死亡リスクの関係をグラフにしたもので、男女ともBMIが27を超えたあたりで死亡リスクも上がっているのが分かる。
 
出典・国立がん研究センター、がん対策研究所 予防関連プロジェクトJPHC Study 2022


食はしっかりとりましょう。朝、食事をとることで体内時計がリセットされて、代謝が上がっていきます。炭水化物とタンパク質を一緒にとるのがリセットするには効果的です。例えば、ご飯とツナサラダの組み合わせもいいでしょう。また、10~12時間以内に朝昼夕の1日の食事を済ませる、つまり夕食から朝食までの間に12~14時間の絶食時間を設けることで、食事がもたらすリセットの効果が高まります。

朝昼夕に食べる量の比率は、朝3:昼3.5:夜3.5が良いと言われています。朝食を抜くと昼食後に血糖値が急上昇しやすくなり、肥満の要因になります。また、朝食を毎日食べる人に比べて、週に0回~2回の人は脳卒中のリスクが高いというデータもあります。揚げ物は朝夕よりも昼にとった方が中性脂肪値が上がりにくいと言われています。

夕食は遅い時間にとるほど血糖値の上昇が大きいです。残業などで帰宅が遅くなる場合は、夕方におにぎりなど炭水化物を食べて、帰宅後におかずを食べるなど2回に分けて食べる「分食」がおすすめです。緑茶のカテキンは血糖値の急上昇を抑える働きがあるので、特に夕食時に飲むとよいでしょう。
出典・食べる時間を変えるだけ(TJMOOK) 柴田重信 監修

1日に5千歩以上歩く運動習慣を心掛けましょう。ある研究では、1日5千歩以上歩くと健康維持に効果が認められ、そこから1000歩ごとに歩数を増やして効果を調べたところ1万歩以上になると効果にあまり違いがみられないという結果になりました。自分の体力に合わせて1万歩までを目安に、無理せず続けていきましょう。ちなみに5千歩は時間にすると約40分、距離だと3.5キロ程度になります。
 

 
1日の歩行時間とひと月あたりの医療費の関係について調べたデータ※では、1時間以上歩く人が男性で医療費2万5230円、女性で1万8889円。一方、30分以下の人は男性3万177円、女性2万1693円となっています。(1995年〜2003年の大崎国保コホート研究より。調査対象の年齢は40歳から79歳)

※出典・健康長寿社会を実現する 辻一郎


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取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」人生100年!!ココカラ健康長寿①
第1965号 2025年04月10日紙面から掲載

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