健康
2024年10月17日更新
かる〜い運動で糖尿病予防|続けてハッピー‼︎健康習慣⑦
糖尿病の要因の一つは、肥満や運動不足。軽い運動でいいので継続することが大事です。専門家に糖尿病の原因やリスク、運動習慣をつけるためのかるい運動を教えてもらいました。
かる〜い運動で糖尿病予防
糖の代謝を上げ膵臓(すいぞう)の負担軽減
糖尿病は、インスリンというホルモンの働きが十分でないため血液中のブドウ糖が有効に使われずに増えてしまう(血糖値が高くなる)状態が慢性的に続く病気。山城内科医院の副院長、山城慶子医師は「予防には過食や間食をやめるなどしてインスリンを作り出す膵臓の負担を減らすことが大事。また、インスリンの効きをよくするために軽い運動でいいので運動を習慣づけましょう」と話す。
教えてくれたのは
山城内科医院
副院長 山城 慶子さん
副院長 山城 慶子さん
肥満が発症のリスク要因
2型糖尿病は、遺伝や加齢に加えて「食べ過ぎ」や「運動不足」などの生活習慣によってインスリンの分泌が減ったり働きが悪くなったりすることで発症する。山城慶子医師は「食べ過ぎや運動不足によって、内臓脂肪が過剰に増えたり肝臓や筋肉に脂肪がついたりすると、インスリンの働きが悪くなって血糖値が高くなる。血糖値が高い状態が続くとインスリンを作り出す膵臓も疲労して、分泌する量も減っていく」と説明する。糖尿病予防のために生活に取り入れたいことについて山城医師は「一食の中に炭水化物、タンパク質、野菜がそろうことを意識して=下参照。糖質の吸収を緩やかにするために野菜などの食物繊維を先に食べましょう」と話す。また、食事以外に間食をとると膵臓が休めず負担をかけることになり、その積み重ねによって発症リスクが高まるという。「食事と食事の間は、水・お茶以外は飲まない、食べない、というのが基本。水分補給として清涼飲料水などを飲むことも間食に含まれる。どうしても食べたいもの、飲みたいものは間食ではなく食事の後にとるほうが膵臓への負担が少ない」
高血糖が続くと
血糖値が高い状態が長く続くと血管が傷ついて体中に悪影響を及ぼす。眼球や腎臓、神経にある細い血管がダメージを受けて、視力低下や失明の恐れのある網膜症や、透析治療が必要になる場合もある腎症、手足のしびれや立ちくらみなどの神経障害が発症する。ほかにも、太い血管では動脈硬化の進行の要因となり、脳卒中や心疾患につながる恐れがある軽い運動でも継続 日常生活で活動量を増やす
運動をすると、ブドウ糖の消費が進んで血糖値を下げるだけでなく、筋肉が増えることで基礎代謝も上がり、肥満予防にもつながる。山城医師は「血圧を下げる、動脈硬化・認知症・骨粗しょう症の予防、心肺機能の向上などの効果も期待できる。運動を習慣づけ日常生活で活動量を増やすことを意識しましょう」とアドバイスする。運動はまず20分(2000歩)を目安に活動量を増やすことから始めるとよい。「それほど活動量が多くない軽い運動でもずっとやり続けることで前述の効果が期待できる」
また、運動する時間があまりないという人は、子や孫と遊ぶ、買い物や通勤で歩く、なるべく階段を使うなど日常生活の中で活動量を増やすことを意識しよう。「一日中座りっぱなしという方は、30分に1回立ち上がる、机などにつかまってバランス運動などを行うのがお勧め」という。
山城内科医院で運動療法を担当している山城容子さんは、太極拳や練功(中国の健康体操)を指導に取り入れている。その中から運動を習慣づけるとっかかりになりそうな体操=下参照=を教えてもらったので試してみて。
練功(れんこう)(中国の健康体操)で下肢の筋力と体幹を鍛える
※回数はどちらも2~4回程度。呼吸を意識して出来る範囲でゆっくり行おう
大開脚で体を回す運動
準備姿勢=① 両手は腰に添え、大股に脚を開いて立つ1 右脚の膝を曲げ、重心を右脚に移し=②、上体を45度左に回す=③
2 上体を正面に戻し、膝を伸ばして準備姿勢に戻す
3 左脚も同様に行い、準備姿勢に戻す
左右の脚を前に伸ばす運動
準備姿勢=① 両手は腰に添え、脚を肩幅程度に開いて立つ1 左脚の膝を曲げ上に持ち上げて=②、膝を伸ばし前方に突き出す=③
2 準備姿勢に戻す
3 右脚も同様に行い、準備姿勢に戻す
山城医師は「糖尿病に良い食事・生活習慣は、糖尿病になってから始めなければならない特殊なものでなく、健康なうちから取り組むべきものです。全部でなくて良いのでどれか一つでも、長く続けられることを始めてみてください」と呼びかける。
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糖尿病予防のポイント
取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」続けてハッピー‼︎健康習慣⑦
第1941号 2024年10月17日紙面から掲載
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」続けてハッピー‼︎健康習慣⑦
第1941号 2024年10月17日紙面から掲載