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2022年12月8日更新

[沖縄]手美らさ肝美らさ ①|マーミヤかまぼこ 勤続45年 真喜志 洋子さん(80)

長年、一つの仕事を続けてきた人には、美しい技(手美らさ)があり、人としての美しさ(肝美らさ)がある。=随時掲載


無心になれる難儀が楽しい


マーミヤかまぼこ 勤続45年
真喜志 洋子さん(80)

 

長年、一つの仕事を続けてきた人には、美しい技(手美らさ)があり、人としての美しさ(肝美らさ)がある。そんな企業の宝とも言える「人財」を紹介する新コーナー。初回は、家業のかまぼこ作りに子どものころから携わってきた真喜志洋子さん。「難儀な仕事が性に合う」と笑顔で話す。
 


 朝   6時、真喜志さんのかまぼこ作りが始まる。担当している「おにぎりかまぼこ」は1日平均200個、イベントや大量注文があると500個作るときもある。球状のかまぼこを一つ一つ手作業で手際よく成形する。見事なまでに同じ大きさで、まるで測ったかのよう。「手が覚えている」と笑う。

かまぼこの材料には、スケトウダラやイトヨリダイなどのすり身が使われるが、真喜志さんは見た目のツヤや触った感触で、その時々の練り具合や扱いやすさを瞬時に判断し対応する。「おいしく食べてもらうために、きれいに仕上げる」よう心掛けている。


「おにぎりかまぼこ」
ジューシーや黒米おにぎりをかまぼこで包んだ人気商品



そんな真喜志さんのことを「誰よりもかまぼこのことを知っている」と、金城有作代表取締役社長。「商品がもっと良くなる方法を考えたり、新商品のアイデアを少し伝えただけで形にしてくれる」と大きな信頼を寄せる。

真喜志さんは77年前の終戦直後、石垣島で両親が創業した「マーミヤかまぼこ」を子どもの頃から手伝ってきた。結婚後は那覇で4人の子育てをしながら、1977年に実家からのれん分けした「マミヤかまぼこ食品」を立ち上げた。当時は、魚をすりつぶし、練り上げるのも手作業。つなぎのでんぷんまで手作りし、薪(ルビ:まき)の火で調理した。住み込みの従業員を5、6人雇いながら、年中、寝る時間も削って働いた。「とにかく一生懸命だった。辞めたいと思ったことはない。生きていくためには、毎日やらんといけんから、風邪ひく暇もなかった」と笑う。


一つ一つ温度管理も徹底。長時間の作業にも常に笑顔で取り組む真喜志さん。「洋子さんが居るだけで安心感があり、周りの士気が自然と上がる」と金城社長の信頼も厚い

時代の流れで、デジタル化への対応に苦慮していたとき、実家を継いだ2代目の弟に相談し、経営統合した。那覇市曙に工場・直売所が新設され、甥(ルビ:おい)の金城さんが3代目社長に就任すると、真喜志さんは製造に専念。「社長と一緒にやるようになって、とても楽になった。工場も広くなり良かった」と目を細める。

30年、共に働く新垣るみ子さん(61)は、「立ちっぱなしの仕事も嫌な顔せず、いつも笑顔。仕事だけでなく、人生についても、常に教えてもらっている。皆から慕われ、母のような存在」と話す。

「かまぼこを作っていると無心になれ、楽しいし、元気になる」と真喜志さん。その存在が、かまぼこをよりおいしく、味わいを深めている。


店には豊富な種類のかまぼこが並ぶ

「おいしいかまぼこは贈答用にも人気です」と笑顔で話すマーミヤかまぼこの皆さん


マーミヤかまぼこ那覇工場&直売店
電話=098-988-3195︎


文・赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』手美らさ肝美らさ<1>

第1844号 2022年12月8日掲載

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