美しく
2022年10月20日更新
[沖縄]話そう!女性のカラダのコト⑰|最終回
女性のヘルスケアについて、婦人科ドクターの高宮城直子さんと、友人の医学博士、エリセーバ・オリガさんがレクチャー。最終回は記者を交え連載を振り返りつつ、共感・学び・発信の場となる「女子会トークのススメ」について語ります。(取材・徳正美)=おわり
女子会トークで共感・学び・発信!
左から高宮城さん、オリガさん、取材した徳記者。毎回女子会のように盛り上がった
徳 これまで月経、更年期、避妊、貧血、検診、子宮筋腫、子宮内膜症など、毎月1テーマを深掘り。「目からウロコだった!」「お二人の体験談が読めるのがいい」など毎回反響が大きかった。
直子 女子会のノリで「分かりやすい!」と喜んでもらえたし、私たちも楽しかった! 診察室でここまで話すのは難しいから、女性のヘルスケアについて紙面で多くの人に知ってもらえたのは良かったよね。
オリガ 自分の体のことについて話すのは抵抗がある」という女性が多いけど、私たちが話していたみたいに家族や友だち、同僚や先輩たちと話すことで救われたり、参考になるコトも多い。気軽に話せる場があるのは大事だよね。
徳 月経や更年期がメディアで取り上げられる機会は増えたけど、自分のことは話しづらい人が多い印象。私は自分の更年期症状について少しずつ話し始めたけど、男性だけでなく同世代の女性でもピンときていない人はいる。「こんなもの」と諦めている人もいた。
直子 みんなのヘルスリテラシーの向上を! 職場も管理職も
直子 理解されずに昇進を諦めたり離職する人もいるから、職場や管理職向けのヘルスケア教育が必要。
オリガ 気軽に話せる場は大事! 科学的データに基づく支援幅広く
オリガ そういう場につながればと直子先生たちと始めたのが「癒やしと気づきのリトリートプログラム」。お茶を片手におしゃべりしながら更年期世代に役立つ情報が得られる。カウンセリングで自分の状態を把握したり、ヨガやツボ押しなどのセルフケアも学べる。
直子 「こういう場があったら仕事を辞めずにすんだかも」という参加者もいた。
オリガ 更年期は自分には関係ないとか認めたくない人、我慢している人も多いよね。ある調査で40歳以上の女性にアンケートを取ったところ、エイジングに対しては楽しみなイメージで回答率が高いけど、更年期には不安しかなくて回答率も低い。9割の女性が疲れや体の変化を感じてるけど、6割はスキンケア以外の対策はしていない。
直子 更年期は誰にでも訪れるけど、時期や症状の出方や治療法はさまざまで、治療で改善すると知らないからじゃない? 実際、読者から反響が大きかったデリケートゾーンのケアについては、私も4、5年前まで知らなかった。知識のアップデートも大切。
徳 私もHRT(ホルモン補充療法※)=怖いと漠然と思ってたけど、安心して飲める天然型の新薬が出たり、骨粗しょう症の予防にもなると知って。使ってみたら気分の浮き沈みやホットフラッシュが楽になった!
オリガ ちまたでは女性とテクノロジーを掛け合わせた「フェムテック」が話題だけど、そもそも更年期世代の女性の心と体の研究自体が進んでいないんだよね。だから今春に起業。科学的データをもとに研究を進め、更年期世代を支援する商品開発や情報提供、コンサルティングを始めたところ。
直子 私はクリニックやサロンだけでなく、全国の同志と共に女性のヘルスケアをサポートしていきたい。
徳 沖縄タイムス紙で近く始まるSDGs企画でも、この連載のダイジェスト版が掲載される予定!
全員 一人一人が自分と向き合い、女子会みたいに周りと気軽に話して学んで発信して、みんなで女性が生きやすく活躍しやすい社会にしていけるといいね。
※)更年期特有の不調改善のための治療法。飲み薬、塗り薬、貼り薬がある。一緒に使う黄体ホルモンに昨年、体内にあるものと同じ天然型が登場した。
たかみやぎなおこ/Naoko女性クリニック院長。Naoko美と健康のサロン代表。1961年、長崎県生まれ。佐賀医大(現佐賀大医学部)卒業後、87年に来県。琉大医学部附属病院や県内の公立、個人病院等で産婦人科医として勤務後、開業。1女2男の母。産婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、更年期に関するメノポーズカウンセラー
えりせーばおりが/HerLifeLab㈱CEO。沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究委員。1971年ベラルーシ出身。同国立医科大学卒業後、国立血液研究所医師をへて96年来日。大阪大学医学博士課程修了後、OIST、理化学研究所で癌免疫研究。自身の更年期を機に女性の健康課題に取り組んでいるところ。今年5月に起業
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『週刊ほ〜むぷらざ』話そう! 女性のカラダのコト
『週刊ほ〜むぷらざ』話そう! 女性のカラダのコト⑰
第1837号 2022年10月20日掲載