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2022年9月22日更新

1千億の菌いる口内をケア|介護の楽ワザ⑨

介護の経験から得たこつや便利な道具、シェアしたい情報を紹介。今回は、雪印ビーンスターク(株)栄養士の中井すまこさんが口腔(こうくう)ケアについてアドバイスします。

 Aさんの経験談  口腔ケアで口臭が激減


口内の菌が誤嚥(ごえん)性肺炎の原因になると知り驚きました!
 
 
高齢になった母の口臭が気になっていました。特に介助の際は体が密着するのでより強く感じるんです。歯を磨いたのか聞くと、「磨いた」と返事をするのですが、自分ではうまく磨けていないようでした。

歯科衛生士より要介護者や高齢者の口腔ケアを怠ると、口臭だけでなく、誤嚥性肺炎の原因にもなると聞いてびっくり。口腔ケアの方法を教えてもらい、さっそくドラッグストアで専用のジェルやシートを購入し、自宅でも実践しました。

母がジェルで歯磨きをした後に、私が仕上げのケアをすることを続けると、口臭が激減! それだけでなく、小食だった食事量が増え、体力もついてきて、表情も明るくなりました。口の中をきれいにすることの大切さを改めて感じました。


 中井さんからのアドバイス  無理せず毎日の習慣に

小さい子への仕上げ歯磨きのイメージで介護者が優しくケアを!

口の中には1千億個の菌、肛門と同じくらいの数の菌がいるとされています。それらの菌は口臭だけでなく、歯周病や肺がんなど病気の原因にもなります。

高齢などで嚥下(えんげ)能力(のみ込む力)が衰えると、口内菌が食べ物や唾液とともに誤って気管に入り、「誤嚥性肺炎」を引き起こすことがあります。また、口の中の食べかすや菌が原因で、水やお茶さえも苦く、何を食べてもおいしくないと感じるようになり、それが食欲の低下、さらには体力の低下へとつながることもあります。歯があるないにかかわらず、口の中をきれいにすることは、とても重要なことです。

在宅介護中で、1度でも誤嚥性肺炎になったことがある人、飲み込む機能が低下している人、栄養状態が悪い人、自分では歯を磨けない人などは、家族が介助して口腔ケアを行いましょう。粘膜は左囲みを参考に、汚れが奥にいかないよう、奥から手前に清掃します。介助するときは、小さい子への仕上げ歯磨きをイメージするといいと思います。できるだけ本人にさせた後で、優しく話しかけながら、無理強いせずに行うことがこつです。

口腔ケアを行うと、(1)口の中の環境や口の周りの機能の維持、回復(2)誤嚥性肺炎の予防(3)虫歯や歯周病の予防(4)口臭の予防(5)味覚の改善などの効果につながります。

私が口腔ケアを指導した中でも、口臭改善は最も多く、他にも、口の開きが良くなった、舌が動くようになった、口の感覚が戻ってきたなどの声もありました。口腔ケア商品も上手に使いながら、毎日の習慣として、無理なく実践しましょう。
 
中井すまこさん
なかい・すまこ/雪印ビーンスターク(株)九州支店販売企画課沖縄事務所、栄養士


自宅でできる口腔ケアの手順
誤嚥を起こさないよう、車いすにまっすぐ座らせる、ベッドを起こすなど、安定した姿勢を保ち、口に突然ものを入れたりせず、優しく声をかけながら行いましょう。


(1)最初に口の中の汚れ、乾燥、傷がないかなどをチェックしをする。その後、うがい、または口腔ケア用のジェルやスプレーで潤わせ、汚れを浮かせて落ちやすくさせる。


(2)柔らかい歯ブラシで歯磨きをし、ほほの内側や上あご、歯茎など、口の粘膜も清掃する。汚れが奥にいかないよう、奥から手前の順に行う(右イラストを参考に)。※口腔ケア専用のジェルなどを使うと泡が立たないのでケアしやすい。硬い歯ブラシで歯や義歯を傷つけると菌が繁殖する原因になるので注意。


(3)うがいで汚れを吐き出す。うがいができない場合は、口腔ケア用のシートを使い軽く拭き取る。
※シートを使用するときは手袋をし、指にシートを巻きつけてから行う。反対側の手で顔を抑えると楽。要介護者に「かむ」行為がある場合は指を口に入れないようにしましょう。

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取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1833号 2022年9月 22日紙面から掲載」

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