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2022年8月4日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美|泡瀬第三自治会会長 仲眞紀子さん|仕掛け楽しく 地域巻き込む

コロナ禍で多くの自治会が活動の中止や縮小を余儀なくされていますが、私が自治会長を務める沖縄市の「泡瀬第三自治会」では、住民の孤立を防ごうと、さまざまな工夫やアイデアで取り組んでいます。地域の人々を巻き込む楽しい仕掛けで、楽しい地域にしていきたいです。

コロナ禍も工夫し住民つなぐ

泡瀬第三自治会会長
仲眞紀子さん


光るアイデアと行動力
楽しくやるがモットー

沖縄市の東部。中城湾に面した泡瀬5丁目と6丁目は泡瀬第三地区と呼ばれ、約1150世帯が暮らしている。自治会長の仲眞紀子さん(66)は、2003年から自治会の会計を務め、19年に自治会長に就任。長年、自治会活動に携わる中で大切にしてきたことは、「自分が楽しいことをやる。人は楽しいことに付いてくる。みんなが喜んでくれたらそれでいい」ということだ。

2年前、緊急事態宣言で公民館が閉鎖されたときは、高齢者の健康と安全を心配し、制限がある中でも何ができるかを考えた。区内放送で午前9時にラジオ体操を、午後3時に唱歌を流し、「家の中でも外でもいいから一緒にやりましょう」と呼び掛けた。20ある班を散歩して回り、独り暮らしの高齢者など、特に気になる住民と言葉を交わすようにした。「高齢者がヤーグマイ(引きこもる)して会話もなくなれば、体調が悪くなったり、詐欺被害の危険性も高まる。それを防ぎたかった」と話す。

現在は仲眞さんの呼び掛けに応じた25人の仲間が「声かけ隊」として地域の気になる人を見守り、声を掛ける活動に取り組んでいる。ユニフォームとして作った赤いポロシャツには「元気ですか?」の文字。「訪問した声かけ隊を見るなり『元気ですよ!』と答えるおばあちゃんがいた」とほほ笑ましいエピソードも。目を引くデザインは「自治会を名乗る不審者が地域に入り込まないようにするため」と、ここにも工夫が光る。

コロナ禍で迎えた昨年の夏休みは、週1回開催で予定していた「夏休み子どもランチ会」を週4日のテイクアウトに変更した。地区に住む子どものいる世帯なら、自治会未加入でも対象とし、料理は公民館スタッフ、地元飲食店の他、週2日は婦人会メンバーにも自慢料理を1品ずつ作ってもらう持ち寄りで行った。

アイデアマンで、実行力とフットワークの軽さが自慢の仲眞さんだが、この事業計画については「事前に申請していなかったので行政の助成が下りず、急きょ、子どもランチサポーターを募集した」と苦笑する。しかし「たくさんの人からの寄付と地域のお店からは食材の提供があり、子どもの応援をしたいという人がたくさんいることを知った」。子どもたちのために始めたことがきっかけで、「地域で何かできること、役立つことがうれしいと思ってくれる」とし、今後も地域に暮らす人々や、店を営む人、組織を巻き込む「楽しい仕掛けづくりをしていきたい」と話す。
 

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昨年、開催が危ぶまれた夏祭りは、事前申し込みの限定参加にし、人が集中しないよう、テーマごとにエリアを決めて分散させるなど感染対策を取って実施した。いつも用意する景品の代わりに、地区のお店でのみ使える地域振興券を発行し、好評だった。今年はチケット制にして、自治会会員は500円で1000円分のチケットを購入できる特典を付与。自治会加入を促した。「夏祭りに参加する会員も出店者も、ホクホクで楽しく過ごせる」と笑顔で語る。

「泡瀬第三地区に住みたい」。そう言われることがあると目を細める。「おもしろそうって思ってくれたら満足。声かけ隊や、もやしのひげとりをする『まーみな会』=上囲み参照=などを取り入れる他自治会も出てきたんです」と仲眞さん。

「みんなが自分の地域という気持ちを持って暮らしてほしい。そうなるように賛助会員も増やし、巻き込む仕掛けをつくって、楽しい地域にしていきたい」。瞳をキラキラと輝かせる仲眞さん。今後もどんな楽しいことを仕掛けてくるのか、期待に胸が弾む。


 ボランティア、eスポーツで交流 

「お母さんたちは年3~4回はバスを借りてピクニックに出掛けるなど活発。家にこもりがちなお父さんをどうにかしてって言いにくるんですよ(笑)」と仲眞さん。そこで、定年退職後の男性数人に道路の植え込みの手入れや清掃をする月1回の「道路ボランティア」を依頼。「今では、公民館敷地で野菜を栽培するなど、週4回も活動するようになった」と笑顔を見せる。仲眞さんはさらに男性の参加を広げようと青年隊を復活させたり、最近注目されているeスポーツでお楽しみ会も開催=写真。「コントローラーを使ったバドミントンなど運動になるプログラムがいろいろある。公民館のサークル活動に発展してほしい」と期待を寄せる。




 ユンタクしながらもやしのひげとり 「まーみな会」 

毎週木曜午後は、もやしのひげとりをする「まーみな会」を開催=写真。90代の女性が約10人参加している。もやしの売上金を積み立て、ランチに行くのが楽しみだ。毎回、数分で売り切れるほど大人気だが、「集まってユンタクすることが目的」と販売量は増やさない。「最初はひげとりに夢中になって誰もしゃべらないから心配したけど、今は手も口も動く。売り切れるとおばあちゃんたちも、役に立っていることがうれしくて元気になる。そんなおばあちゃんたちにと、ニラの差し入れを持ってくる人がいる」と温かな交流が生まれている。


 地域を歩いて声かけ 

コロナ禍、仲眞さんは手押し車にスマートフォンとスピーカーを載せ、唱歌を流しながら地域を歩いて回った。「事前に区内放送すると、窓を開けて顔を出してくれるので、元気ね~?って、言葉を交わすことができた」と話す。住民を孤立させないための「声かけ隊」活動は仲間が増え、「○○が入院中」などの情報が届くようになるなど、見守りにつながっている。


 夏休み子どもランチ会 
昨年の夏休みは、「夏休み子どもランチ会」をテイクアウトで実施=写真。週2日は婦人会のメンバーが、それぞれ自慢料理を1品ずつ作って持ち寄った。弁当箱は使い捨てでなくタッパーにして弁当受け取り時に返却させるようにした。中には「おいしかったよ、ありがとう」とメモが入っていたことも。「お弁当をもらった人も作った人も、みんな喜んでいた」と目を細める。



プロフィル/なかま・のりこ 1956年、沖縄市出身。中部商業高校卒業後、琉球銀行、ダスキンゆうなを経て、パソコンインストラクターとして小中学校で指導。2003年、知人に勧められ、泡瀬第三自治会の会計を務める。その傍ら、婦人会活動などさまざまな自治会活動に携わり、2019年、自治会長に就任。


今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 文・赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1407>
第1826号 2022年8月4日掲載

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funokinawa編集部

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