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2022年7月14日更新
[沖縄・マネー術]女性がん患者3人に1人が現役世代|女性のイマドキ!マネー術[40]
文・岡田有里(ファイナンシャルプランナー)
女性がん患者3人に1人が現役世代
「貯蓄性保険」で万一に備え
女性がん患者の31%が20~65歳であると国立がん研究センターがん対策研究所が報告書をまとめました。女性がん患者の3人に1人は現役世代という点が気になり、報告書を分析すると30歳~49歳の女性がん患者は男性の3.4倍の高さでした。働き盛りの30歳~49歳でがんと診断された女性が、働きながら治療と子育てをする苦労と不安は計り知れません。だからこそ、教育・老後資金はガンなどの想定外のハプニングが起きても慌てない「守りと攻め」の両立が必要だと再認識しました。
皆さんは「老後の備え」をどのように貯(た)めていますか? 今回のテーマは現役時代にがんになるなど、万一の際に対応した貯蓄計画の一例をご紹介します。

崩れにくい貯蓄計画とは
筆者は教育・老後資金計画を立てる際に貯蓄プランを大きく3段階に分けて考え、ステップ(2)と(3)の計画案を相談者に提案しています。ステップ(1):ライフスタイルと希望をもとに必 要金額を算出
ステップ(2):安全に貯める方法、効率の良い貯 め方を組み合わせる
ステップ(3):がんや障害など万一の際に目標額 の崩れ防止策を立てる
昭和から平成時代のマネープランでは、預金と貯蓄性保険の組み合わせ(ステップ(2))が多く、投資信託の積み立て運用は少数派でした。
しかし令和に入るとiDeCo(イデコ)やつみたてNISA(ニーサ)の普及が進み、預金と運用を組み合わせた効率重視の貯め方に興味が高まっています。FPとしてこれを良い傾向だと歓迎する一方で、効率の良さを求め過ぎて貯蓄性の保険商品を避ける流れに警鐘を鳴らしています。
というのも、筆者はマネー相談を通じて30代でがんを患った女性や、配偶者を亡くした子育て中の女性たちとの出会いが多く、保険に助けられた相談者と話すと、保険・保障のパワーを再認識します。資産計画は運用効率の良さにこだわり過ぎず、万一の備えにも目を向けてほしいと思います。
そこで提案したいのがステップ(2)とステップ(3)を組み合わせた、守りと攻めの両立計画です。
ステップ(3)ではがんや事故で障害を負っても資金目標の6割以上を満期金などで確保できるように、保険・保障を追加します。その一例として貯蓄性保険に特定疾病保険料払い込み免除特約を付ける方法を紹介しましょう。この特約は特定疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)で所定状態になると以後の保険料の払い込みが免除されますが、契約通りの受取金額が守られる仕組みです。例えば目標額が2千万円なら、満期で1200万円確保できる保険商品を計画に入れます。
保険会社によって取扱商品や所定状態が違いますので、個別に確認が必要ですが、最近は運用性が高い商品もこの特約を付加できるようになり、上手に利用すればいざという時にお金の心配を和らげる効果が期待できます。お金の不安がなければ患者自身と家族の不安も薄らぎ、休職して治療に専念するという選択肢が持てますね。
女性がん患者の3人に1人は20~65歳という事実を考えて、「がんと共に生きる」時代に合わせた貯蓄方法を考えてみてはいかがでしょうか。治療中と治療後の働き方の選択肢を広げる意味でも、リスクに対応する仕組みは自身が健康で安定時に考えておくようにしましょう。
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おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業を経て沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動
『週刊ほ〜むぷらざ』女性のイマドキ!マネー術
第1823号 2022年7月14日掲載
この記事のキュレーター
- キュレーター
- 岡田有里
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ファイナンシャルプランナー。ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業に就職し海外勤務を経験し、2000年に沖縄へ。「私の未来に安心を!」をテーマに、女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動。