彩職賢美リターンズ
2022年7月14日更新
[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美リターンズ|学校法人大智学園 クローバー モンテッソーリ インターナショナル 校長 瀬底エバンジェリンさん|世界に羽ばたく 人材育成目指す
これまでさまざまな英語の教育現場に携わってきた経験を生かし、子どもたちの英語力の向上と、自主性を育むことを目的とする「クローバーモンテッソーリインターナショナル」の校長を務める瀬底エバンジェリンさん。「沖縄から世界の舞台で活躍できる人材の育成を目指しています」と、子どもたちの語学力の向上と心の成長をサポートする。
学校法人大智学園 クローバー モンテッソーリ インターナショナル
校長 瀬底エバンジェリンさん
子の自主性育み英語力の向上を
モンテッソーリ教育を基に英語で考え、話す力を身につける「英語イマージョン教育」を乳幼児に向けて行っています。モンテッソーリ教育とは、イタリアの医師で教育家のマリア・モンテッソーリが考案した教育法で、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏など世界的に有名な実業家らが受けたことで知られるようになったもの。子どもの自立を育むための教育法で、発達段階によって環境を整えることで子どもの成長を促します。
脳や神経など、体が著しく発達する乳幼児期に育むべき大切なことは豊かな人間性だと思います。私の役目は、子どもたちが、清らかな心を持ち、秩序正しく、平和を愛する人へと成長する基礎を身につけさせることだと考えています。
英語教育への疑問が原点
独自のプログラム考案
以前は、公立の小中学校や英会話スクールなど、英語の教育現場に携わっていました。そこで感じたのは、英単語をひたすら書いたり、繰り返しアルファベットを教えるなど、単調な授業への疑問でした。その疑問を同僚らに投げかけ、自分なりの指導法も提案しましたが、受け入れてもらえず悔しい思いもしました。そんな中、前職となるオキナワインターナショナルスクールを開校する機会を得て、これまで感じていた教育現場での疑問や課題を解決する授業プログラムを考案しました。
子どもたちの持つ能力を伸ばすためには、学ぶ楽しさがあることが大切です。英単語一つ覚えるにも実際に温かい物と冷たい物を比較して肌や舌で温度を感じ、耳で言葉を聞かせるなど、五感を使って考えることで、体験として言葉を理解することにつながります。
スクールでは、一人一人の理解度に応じたプログラムを重視して、ゲームや歌を利用したプログラム、絵本の読み聞かせ、食事や遊びなど、日常生活のあらゆる事柄を英語で見聞きし、言葉を認識できるよう努め、子どもたちの語彙(ごい)を増やしていきました。
子どもたちからも「楽しい」と言ってもらえ、生徒も100人を超えるようになったころ、この彩職賢美で取り上げてもらい、私の英語教育に多くの人が興味を持ってもらういい機会になりました。
生徒たちの英語力が伸びていくのを目の当たりにし、うれしい半面、子どものある言動が気になっていました。それは、筆記用具を落としても拾わず、「また買ってもらうから」と放置したこと。親が一生懸命に働いて、買ってくれたものをなぜ粗末にするのか。心の成長が乏しいのだと感じました。
指導者としてフォローできないかと考える中、出合ったのがモンテッソーリ教育でした。その教育法を学んでいく中で、相手を思いやり、自主性を育む考え方に共感し、「自分の授業に取り入れたい」と強く思うようになりました。同様に、英語中心の授業では、子どもの遊びの時間も重視しながら心の成長をサポートするのは困難と判断。独立を決め、2008年にクローバー モンテッソーリ インターナショナルを開校しました。
子との接し方重視し
適切な言葉かけを
本校には0歳~6歳児クラスと学童クラスがあり、総勢106人の子どもたちが通っています。体験として英語を理解する前職での指導法を生かしつつ、モンテッソーリ教育と組み合わせての授業を展開しています。
モンテッソーリ教育で私が最も大切だと考えているのが、子どもとの接し方です。例えば、子どもがけんかをしたら「だめでしょ」と頭ごなしに怒るのではなく、「何でけんかをしたの?」と話を聞いてあげるのです。そして、「じゃあ、どうしたらいい?」と子ども自身に考えさせる。子ども自身が反省し、「謝る」と答えを導きだせるよう根気よく促します。子どものプライドを傷つけることなく反省を促すための言葉がけが大事です。
教え子の成長に喜び仕事の励みにも
校内では、年上の子が下の子に自ら進んで勉強を教える光景が見られるほか、「外国人に話しかけられた時、両親に代わって通訳したよ」と自慢気に話す子も。そんな姿を見ることが私の喜びで、仕事の励みにもなっています。
教え子が自分の子どもを本校で学ばせたいと入校するケースもあり、私の指導法は間違っていなかったんだと実感しています。今後は、小学生クラスを開設するのが目標です。今年は、英語と遊びを取り入れたプログラム「サマーキャンプ」も開催。多彩なプログラムで子どもたちの成長をサポートします。沖縄から世界に羽ばたく人材の育成を目指して、努力し続けていきたいと思います。
エバンジェリン さんに聞いた!
モンテッソーリ教育を家庭で取り入れる方法
家庭で簡単に取り入れられるモンテッソーリ教育の一例を、エバンジェリンさんが紹介してくれました。
選択の機会を設ける
子どものために何でも親が選ぶのではなく、子どもに選ぶチャンスを用意してあげること。洋服選びなど身近なことから取り組んでみては。小さいころは2択から開始し、大きくなるにつれて、選択肢を増やすようにするといいですよ。子どもは早くから、自分で決めたいという思いを持っているのです。
すぐに答えを出さない
子どもが何かに取り組んでいる際、すぐには「教えない」ということも大切です。例えば、パズルをしていて、一つのピースが間違っているため、うまくはまらない場合、ここで「これが間違っているよ」と教えてしまうと、子どもが試行錯誤する機会を奪うことに。そのため、子どもから「教えて」のサインが出るまでは、大人はじっと待ってあげてほしい。
■クローバー モンテッソーリ インターナショナル
電話098(892)2168
プロフィル
瀬底 エバンジェリン
クローバー モンテッソーリ インターナショナル(CMI) 校長
1961年生まれ。フィリピン出身。県出身の夫と結婚後の1990年、沖縄に移住。保育園や英会話スクールなどで英語教育に携わる。2002年、オキナワインターナショナルスクール(OIS)を設立。05年、モンテッソーリ教育の教師ライセンスを取得。07年、OISを退職。08年、CMIを設立し校長に就任。22年より学校法人大智学園の傘下に入り、業務に従事。
初登場の紙面(2006年10月12日号に掲載)
撮影/比嘉秀明 文/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美リターンズ<18>
第1823号 2022年7月14日掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 安里則哉
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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。