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2022年3月10日更新

[沖縄・マネー術]働くシニアに朗報|女性のイマドキ!マネー術[36]

文・岡田有里(ファイナンシャルプランナー)

働くシニアに朗報

4月から変わる年金制度

長寿時代においてシニア世代の価値観や生活スタイルが多様化しています。特に長く働いて活躍することは老後を元気で充実させるための重要な要素です。今回の年金改正法では時代の変化を年金制度に反映してシニア世代や主婦の就労を後押しし、老後の経済基盤を充実させることが目的となっています。

在職老齢年金の限度額が拡大

今回の改正で変更されるのは60~64歳の在職老齢年金です。在職老齢年金とは厚生年金をもらいながら働き続けて厚生年金に加入した場合、年金月額+賃金(※)が28万円を超えると年金が調整(カット)される制度です。これまでは働き過ぎると損をする場合があり、シニア世代の労働意欲が下がる一因でした(※月給+直近1年の賞与を足して12で割った金額である総報酬月額相当額が基準)。

4月の改正では28万円の限度枠が19万円増の47万円に拡大されます。言い換えれば、4月からは年金カットの心配なく19万円分多く働けるチャンスです。そして、すでに年金カットで悔しい思いをされている方は4月からカットが無くなる、または調整額が減って収入が増加する場合があるでしょう。ちなみに、65歳以降の限度枠は47万円のままで変更なしです。

ここで視点を老後のマネープランに向けてみましょう。60~64歳の間の収入を月額19万円増やせば5年分で1140万円(19万円×12カ月×5年)です。夫婦でこれを得れば2280万円分(1140万円×2人分)の収入を増やせ貯蓄に回す余裕がうまれるでしょう(税負担の変動を考慮なし)。

保険料増額分 翌年年金に反映

現行制度では65歳以上で働き続けて厚生年金に加入しても年金額が増えず、退職時か70歳到達時(資格喪失時)に増額分をまとめて反映する仕組みです。言い換えれば、働き続けた効果を退職するまで実感できない仕組みです。これが変わります。4月以降は毎年納めた保険料を早期に反映させて年金額を改定する「在職定時改定」が始まります。すなわち、1年間の増加分は翌年に反映されて年金額が増えるので、働き続けた効果が実感できることで働くシニア世代のモチベーションアップと経済基盤が充実すると思われます=図1参照。
 



iDeCoの加入年齢 65歳未満に

iDeCo加入年齢は60歳未満ですが、4月以降は65歳未満まで引き上げられます。合わせて企業型DC(確定拠出年金)の加入年齢も70歳未満に引き上げられるため、60歳以降も積み立て運用を続けて老後生活に備えられるようになります。なお、iDeCoの受取開始時期については、現行の「60歳~70歳」から「60歳~75歳」に拡大されますので、積み立てた資金をより長く運用することで運用益の恩恵を多く受け取れる可能性が広がるでしょう。

◆          ◆

今回の改正を機に4月以降の働き方を考え直し、職場と連携して働く環境を整えましょう。新たなキャリアプランを組み立てるのも良いと思います。働けるうちにより多くの収入を得て明るく元気に過ごすことがマネー対策の基本だと筆者は考えます。
 

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おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業を経て沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動
『週刊ほ〜むぷらざ』女性のイマドキ!マネー術
第1805号 2022年3月10日掲載

この記事のキュレーター

キュレーター
岡田有里

これまでに書いた記事:69

ファイナンシャルプランナー。ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業に就職し海外勤務を経験し、2000年に沖縄へ。「私の未来に安心を!」をテーマに、女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動。

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