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2021年10月7日更新

[沖縄]10月は乳がん月間|今、考えたい乳がんとお金

10月は乳がん月間。乳がんを予防する健康的な生活や、検診と同じように、罹患(りかん)した際の治療費や生活費についても考えておくことが必要。経験者の声を参考に、乳がんとお金について考えてみませんか。

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乳がんとお金を考えよう!

治療費以外の出費も

国内で9人に1人が罹患しているといわれる乳がん。経験者の島袋陽子さん、高澤嘉津子さん、ザレンスキー悦子さんは「治療費以外にもお金がかかった」と声をそろえる。専門医の宮良球一郎さんは「早期に発見し、正しい治療を行えばほとんど治る」と話す。


検査費用や病院への交通費も負担

47歳のとき、検診で右乳房にがんが見つかりました。乳房を残す温存手術を受け、放射線治療と、5年間のホルモン療法で治療を終えました。3カ月休職したため、その間、自分の収入はゼロでしたが、後ほど傷病手当金をまとめて受給できて助かりました。

さらに昨年、左乳房に新たながんを発見。抗がん剤治療は、私の場合1カ月で2~3万円かかっています。2回罹患したことや、祖母と母を乳がんで亡くしていることもあって受けた遺伝子検査は、健康保険が適用されても6万円近くかかりました。

1度乳がんに罹患しても、一定の条件を満たせば加入できる民間保険があるそうですが、1度目の治療を終えた際に「2度も乳がんにかかることはないだろう」と思って、保険に加入していませんでした。治療の他にも検査費用やクリニックへの交通費、ウィッグ代などお金がかかることを知ってほしいです。

現在は休職中ですが、同僚からの「帰って来るのを待ってるよ」という言葉を励みに、治療を頑張ります!

島袋陽子さん(55) 会社員。現在は2度目の乳がんの治療中
島袋陽子さん(55)
会社員。現在は2度目の乳がんの治療中




がん保険が治療費に役立った

左乳房の乳頭直下に乳がんが見つかったのは45歳のとき。温存手術を受け、5日間の入院を経て、抗がん剤(内服薬)とホルモン剤での治療を5年続けました。

罹患する2~3年前に加入したがん保険の、「抗がん剤の治療に月額5万円支払われる保障」に助けられました。後悔しているのは、通院するたびにお金が受け取れる通院保障を付けなかったこと。通院が多い時期があり、保障があれば金銭的負担を軽くできたと思います。また、手術後は専用の下着を購入するためにお金がかかりました。

フラダンス講師として生計を立てていましたが、コロナ禍で収入が減少。別のアルバイトで収入を得ていた今年6月に乳がんが再発し、そのことを雇用主に伝えると解雇されてしまいました。同様の経験をした人は多いようです。

現在は薬で治療中ですが、日常生活や働くことに支障はありません。離れている友人とオンラインで話すことがリフレッシュに。また、乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」のメンバーにも支えられて感謝しています。

高澤嘉津子さん(49) フラダンス講師(自営業)。現在は再発した乳がんの治療中
高澤嘉津子さん(49)
フラダンス講師(自営業)。現在は再発した乳がんの治療中




乳がんカバーする保障付けず後悔

何げなく脇の下をさわり、しこりに気づいたのは46歳のとき。双子の娘と息子はまだ幼稚園児でした。乳がんと診断された後は抗がん剤での治療がスタート。吐き気などの副作用が苦しく、食事を作れない日はスーパーのお総菜に頼ることもあり、出費が増えました。

保険には加入していましたが、乳がんをカバーしてくれる保障を付けていなかったのはすごく残念でした。健康に気を使い、保育士という職業柄体をよく動かしていたので「私は乳がんにはならないだろう」と考えていたからです。

私の場合、抗がん剤は健康保険を適用されても1カ月で6~7万円ほどかかりました。また、副作用で足裏が痛く、それを和らげるための保温靴下は消耗品のため、何枚も購入することになりました。

現在は手術やその後の治療を終えて経過観察中。乳がんになると「どうして私だけ」と思いがちですが、意外と多くの人が罹患しています。孤独や不安を感じる場合は、乳がん患者の会でその気持ちを伝えるだけでも心が軽くなると思います。

ザレンスキー悦子さん(51) 保育士。双子の母。現在は治療を終えて経過観察中
ザレンスキー悦子さん(51)
保育士。双子の母。現在は治療を終えて経過観察中


NPO乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」
☎070・5487・9721(火・水・金 13~16時)




早期に発見し正しい治療を

沖縄県のがん登録事業報告では、県内の乳がん罹患者数は1047人(2017年)となっており、全国では9人に1人の割合で乳がんに罹患する時代といわれています。

さらに、昨年からのコロナ禍は乳がん治療にも影響を及ぼしています。新型コロナウイルス感染症が最初に流行した頃は「検診控え」「受診控え」が起こったことが原因で、「数年後に乳がん死亡者数が増加する」という調査結果が報告されました。県内では、コロナウイルス感染症の患者数が増えたために病床が確保できなくなり、乳がんの手術を延期せざるを得ない状況も発生しています。

乳がんは早期に発見し、その特徴や悪性度、遺伝子情報などをもとに決定した正しい治療を行えば、ほとんど治すことができます。また、早い段階で見つかると、乳房の形を失うことなく、長生きできます。働きながら治療している人も多くいますよ。

乳がん予防には、適度な運動と肥満対策が重要です。コロナ禍でもがん検診は不要不急ではありません。命を守るため、感染症対策に十分配慮している医療機関で定期的に検診を受けましょう。

宮良球一郎さん 医療法人月桃会宮良クリニック理事長。乳腺専門医。2020年から日本乳癌学会理事を務める
宮良球一郎さん
医療法人月桃会宮良クリニック理事長。乳腺専門医。2020年から日本乳癌学会理事を務める

関連記事:[沖縄]10月は乳がん月間|保険で備える 通院治療への保障まで

編集/比嘉知可乃
『週刊ほ〜むぷらざ』今、考えたい乳がんとお金

第1783号 2021年10月7日掲載

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比嘉知可乃

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新人プランナー(企画・編集)
1990年生まれ、うるま市出身。365日ダイエット中。
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