ルーツはどこ
2019年9月26日更新
現存最古は首里のぎぼまんじゅう|沖縄ぐるめ ルーツはどこ!?
Vol.6 のまんじゅう
饅頭(まんじゅう)の表面に食紅で大きく「の」の字が躍る、おなじみ「のまんじゅう」。70年以上の歴史を持つぎぼまんじゅうで、そのルーツに迫った。あわせて文字が記された饅頭とその由来も紹介する。
案内人・伊東一洋(トラベローグ)
戦前から続く縁起物 素朴な味わいが人気
2019年10月1日に延長開業する、ゆいレール石嶺駅から徒歩約5分の場所に店を構える「ぎぼまんじゅう」。「饅頭作りは私の祖母が戦前から行っていたのですが、なにしろ私が生まれる前のことなのでよく分からないことも多いんですよ」と店主の祖慶米子さん(77)。祖慶さんの祖母は饅頭作りが得意だったのか、近所の人から行事があるたびに「饅頭を作って」とよく頼まれていたという。
祝い事には熨斗を意味する「の」の字を書き、仏事だと何も書かずそのまま提供。このスタイルは現代でも同じだが、当時は店を構えず自宅で饅頭を作っていたようだ。
「祖慶さんの祖母が『のまんじゅう』の発祥では?」と尋ねてみると「同じように饅頭を作っている人は他にもいたようです。発祥かどうかは…」と思案顔。それでも、戦前から令和にかけて「のまんじゅう」を伝承しているのは、ぎぼまんじゅうだけというのは間違いなさそうだ。
のまんじゅう
「行事が重なると1日に1000個作ることもあります」と祖慶米子さん
戦後に店を構え沖縄の名物饅頭に
店を構えたのは、祖慶さんの母、名嘉真ハルさん(故人)。戦後間もない1947年首里儀保町の寺の境内を間借りして営業を始めた。「この時代は物資が乏しくてね。鍋を蒸し器代わりに使ったり、小豆が足りずサツマイモを混ぜ合わせて餡を作ったり、工夫してなんとか営業していました」と当時の苦労話を懐かしそうに話す祖慶さん。
縁起物として参詣者から人気を集めたが、寺の再建工事のため約18年前に現在地に移転した。
「アイデアマンだった」というハルさんは、2~3月にはバレンタイン・ホワイトデーにちなんで「♡」を描くなど遊び心も旺盛。今では沖縄を代表する饅頭として人気を博し、13時頃に売り切れることもあるという。
[店舗情報]
ぎぼまんじゅう
沖縄県那覇市首里久場川町2-109-1(地図)
098‐884‐1764
9時~売り切れ次第終了
日休
Pあり
※なるべく事前予約を
首里と金武に焼き印付き饅頭
文字付きの饅頭と言えば、焼き印のある「首里まんじゅう」を思い浮かべる人も多いだろう。作っているのは70年の歴史を持つ中村製菓。2代目店主の仲村盛賢さん(62)が2003年のゆいレール開業に合わせて新しい首里名物をと作り上げた。泡盛を生地に練り込むなど「首里らしさ」にこだわった一品で、2008年に姫路で開催された第25回全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を受賞。「首里まんじゅう」の名が一躍知れ渡ることとなった。
焼き印付きの饅頭は金武町にも。1988年、鍾乳洞を泡盛の貯蔵庫として利用した古酒蔵が完成したのに合わせ「金武町を訪れる人々をもてなしたい」とカフェレストラン長楽の豊川あさみ代表(68)が作った「田芋まんじゅう」だ。田芋を使ったデンガクを餡にした饅頭で「長く楽しい人生を」という思いが込められている。
首里まんじゅう
[店舗情報]
中村製菓
沖縄県那覇市首里鳥堀町1-24-1(地図)
098‐884‐5901
9時~20時(日曜は~13時)
無休
Pなし
田芋まんじゅう
[店舗情報]
カフェレストラン長楽
沖縄県金武町金武4348-15(地図)
098‐968‐7666
11時~16時
火休
Pあり
※田芋工房きん田金武店、那覇新都心店でも販売
あやかりたい! 道の駅許田の当選パン
当選パン110円(宝パンも同額)。1日300個以上売り上げたこともあるとか
道の駅許田の宝くじ売り場は、高額当選者が多いことで知られ、遠方からやってくる人も多い売り場。その願掛け商品として10年ほど前から販売されているのが「当選パン」だ。「当」の赤い字は、生地にやんばる産のドラゴンフルーツを練り込ませたもので地域色も抜群、小倉餡入り。「宝パン」もあり、こちらは紅芋餡が入っている。年5回あるジャンボ宝くじに合わせた期間限定品で、次はハロウィーンジャンボ宝くじが販売される9月24日~10月18日に出る予定だ。
[店舗情報]
パン工房ラ・ガール
沖縄県名護市許田17-1 道の駅許田やんばる物産センター内(地図)
0980‐54‐0880
8時30分~19時
無休
Pあり
こぼれ話
実は「のまんじゅう」が正式名称。ずっと「のーまんじゅう」だと思ってました!
いとう・かずひろ/北九州市出身。雑誌編集に携わり県内各地に出没。食べ歩きがライフワーク。大の猫好きでwebサイト「おきなわにゃんこビレッジ」も運営
2019年10月1日に延長開業する、ゆいレール石嶺駅から徒歩約5分の場所に店を構える「ぎぼまんじゅう」。「饅頭作りは私の祖母が戦前から行っていたのですが、なにしろ私が生まれる前のことなのでよく分からないことも多いんですよ」と店主の祖慶米子さん(77)。祖慶さんの祖母は饅頭作りが得意だったのか、近所の人から行事があるたびに「饅頭を作って」とよく頼まれていたという。
祝い事には熨斗を意味する「の」の字を書き、仏事だと何も書かずそのまま提供。このスタイルは現代でも同じだが、当時は店を構えず自宅で饅頭を作っていたようだ。
「祖慶さんの祖母が『のまんじゅう』の発祥では?」と尋ねてみると「同じように饅頭を作っている人は他にもいたようです。発祥かどうかは…」と思案顔。それでも、戦前から令和にかけて「のまんじゅう」を伝承しているのは、ぎぼまんじゅうだけというのは間違いなさそうだ。
のまんじゅう
白い生地に朱色の文字が映える。1個150円(10月から1個160円)
流れるように「の」の字を書いていく
「行事が重なると1日に1000個作ることもあります」と祖慶米子さん
戦後に店を構え沖縄の名物饅頭に
店を構えたのは、祖慶さんの母、名嘉真ハルさん(故人)。戦後間もない1947年首里儀保町の寺の境内を間借りして営業を始めた。「この時代は物資が乏しくてね。鍋を蒸し器代わりに使ったり、小豆が足りずサツマイモを混ぜ合わせて餡を作ったり、工夫してなんとか営業していました」と当時の苦労話を懐かしそうに話す祖慶さん。
縁起物として参詣者から人気を集めたが、寺の再建工事のため約18年前に現在地に移転した。
「アイデアマンだった」というハルさんは、2~3月にはバレンタイン・ホワイトデーにちなんで「♡」を描くなど遊び心も旺盛。今では沖縄を代表する饅頭として人気を博し、13時頃に売り切れることもあるという。
[店舗情報]
ぎぼまんじゅう
沖縄県那覇市首里久場川町2-109-1(地図)
098‐884‐1764
9時~売り切れ次第終了
日休
Pあり
※なるべく事前予約を
首里と金武に焼き印付き饅頭
文字付きの饅頭と言えば、焼き印のある「首里まんじゅう」を思い浮かべる人も多いだろう。作っているのは70年の歴史を持つ中村製菓。2代目店主の仲村盛賢さん(62)が2003年のゆいレール開業に合わせて新しい首里名物をと作り上げた。泡盛を生地に練り込むなど「首里らしさ」にこだわった一品で、2008年に姫路で開催された第25回全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を受賞。「首里まんじゅう」の名が一躍知れ渡ることとなった。
焼き印付きの饅頭は金武町にも。1988年、鍾乳洞を泡盛の貯蔵庫として利用した古酒蔵が完成したのに合わせ「金武町を訪れる人々をもてなしたい」とカフェレストラン長楽の豊川あさみ代表(68)が作った「田芋まんじゅう」だ。田芋を使ったデンガクを餡にした饅頭で「長く楽しい人生を」という思いが込められている。
首里まんじゅう
餡がたっぷりつまった首里まんじゅうは小サイズ120円。写真の大サイズ180円は要予約
中村製菓
沖縄県那覇市首里鳥堀町1-24-1(地図)
098‐884‐5901
9時~20時(日曜は~13時)
無休
Pなし
田芋まんじゅう
田芋まんじゅう1個200円。田芋特有の粘りの強い餡が特徴
カフェレストラン長楽
沖縄県金武町金武4348-15(地図)
098‐968‐7666
11時~16時
火休
Pあり
※田芋工房きん田金武店、那覇新都心店でも販売
あやかりたい! 道の駅許田の当選パン
当選パン110円(宝パンも同額)。1日300個以上売り上げたこともあるとか
道の駅許田の宝くじ売り場は、高額当選者が多いことで知られ、遠方からやってくる人も多い売り場。その願掛け商品として10年ほど前から販売されているのが「当選パン」だ。「当」の赤い字は、生地にやんばる産のドラゴンフルーツを練り込ませたもので地域色も抜群、小倉餡入り。「宝パン」もあり、こちらは紅芋餡が入っている。年5回あるジャンボ宝くじに合わせた期間限定品で、次はハロウィーンジャンボ宝くじが販売される9月24日~10月18日に出る予定だ。
[店舗情報]
パン工房ラ・ガール
沖縄県名護市許田17-1 道の駅許田やんばる物産センター内(地図)
0980‐54‐0880
8時30分~19時
無休
Pあり
こぼれ話
実は「のまんじゅう」が正式名称。ずっと「のーまんじゅう」だと思ってました!
いとう・かずひろ/北九州市出身。雑誌編集に携わり県内各地に出没。食べ歩きがライフワーク。大の猫好きでwebサイト「おきなわにゃんこビレッジ」も運営
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1678号 2019年9月26日紙面から掲載」