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2019年4月25日更新

発祥は大宜味の前田食堂|沖縄ぐるめ ルーツはどこ!?

Vol.1 牛肉そば
今では、当たり前に食べられている、沖縄ぐるめの数々。そのルーツをひもといていく。1回目は、たっぷり盛られた牛肉モヤシ炒めが魅力の「牛肉そば」をフィーチャー。その発祥店と誕生秘話を紹介します。
案内人・伊東一洋(トラベローグ)

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各地を取材していると沖縄そばに地域性があることに気が付く。名護市の沖縄そばは平麺が多い、八重山そばの麺は細く断面が丸いなどがよく知られているが、牛肉そば(牛そば)もそのひとつだ。今でこそ県内各地で見かけることも多くなったが、かつては大宜味村や国頭村に提供店が集中。牛肉そばは、いわばやんばるのローカルぐるめだ。

まかない飯から看板料理に

そのルーツは、大宜味村の「前田食堂」。国道58号沿い、第一津波バス停のすぐ近く、年季の入ったセメント瓦の建物がそれだ。昼時は客が並ぶほどの人気店で、観光客の姿も目立つ。目的は牛肉そば。多い日で150杯近くもオーダーが入るという名物料理だ。

前田食堂は昭和47(1972)年、先代店主の前田定雄さんが創業した大衆食堂。現在、店を切り盛りしている2代目の前田清一さん・球子さん夫婦によると、客は体力を使う工事関係者が多かったため、創業時にはステーキも提供していたという。

「まかないは、沖縄そばと、ステーキの端切れ肉を使った牛肉モヤシ炒めだったけれど、忙しくて食事に時間をかけられず、そばの上に牛肉モヤシ炒めをのせて食べていた。それを見たお客さんが『食べたい!』というのでお出ししたところ大喜びで。創業から約1年後には牛肉そばとしてメニューに加わり、あっという間に店の看板料理になった」。不動の人気メニュー、牛肉そばは、スタッフのまかないが源流でその誕生は46年前の昭和48(1973)年だったわけだ。


牛肉厚めでスパイシー(前田食堂)

前田食堂の名物料理「牛肉そば」750円


2代目店主の前田夫妻とスタッフのいずみさん(左)


肉とモヤシは強火で一気に調理。焼けた肉の香りが食欲を誘う

[店舗情報]
沖縄県大宜味村津波985(地図
0980‐44‐2025
11時~17時(売り切れ次第終了)
水曜休
P10台


こしょうたっぷりでスパイシー

豚骨ベースに一般的な沖縄そば麺。キモとなる牛肉モヤシ炒めはモヤシの量が多く、地元の常連客からは「マーミナ(もやし)そば」といわれることもあるとか。実際に食べてみると牛肉は厚めにカットされ存在感バッチリ。ブラックペッパーをたっぷり使いスパイシーに仕上げているため食欲が刺激され、このボリュームでも平らげる人が多いよう。

余談だが当初は今ほど大盛りだったわけではなく、たくさん食べたいという客のニーズに合わせるうちにボリュームアップ。今の量になった。


似て非なる国頭の食堂ひまわり

前田食堂で生まれた牛肉そばは、そのボリュームから工事関係者に好まれ、開発が進む地域の食堂で提供されてきたと思われる。昭和55(1980)年創業の食堂ひまわりもそのひとつでホテル建設に伴い店を創業した。

店主の前田信子さんが作る牛肉そばは、スライスしたガーリックを牛肉モヤシ炒めに使い、ダシ骨や野菜など10種類以上の食材を使用したまろやかなスープが特徴。前田食堂とスタイルこそ似ているものの味わいはまったく別。食べ比べてみるのも楽しそうだ。


スープまろやかニンニクも(食堂ひまわり)

食堂ひまわりの牛肉そば(大)700円


店主の前田信子さん・悟さん親子

[店舗情報]
沖縄県国頭村鏡地267(地図
0980‐41‐2175
11時~17時30分(売り切れ次第終了)
火曜休
P5台


こぼれ話
かつては北部の国道58号沿いに名店が点在!
個人的に「牛肉そば街道」と呼んでいたほど(^^♪


いとう・かずひろ/北九州市出身。雑誌編集に携わり県内各地に出没。食べ歩きがライフワーク。大の猫好きでwebサイト「おきなわにゃんこビレッジ」も運営
 

毎週木曜日発行・週刊ほーむぷらざ
「第1656号 2019年4月25日紙面から掲載」

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