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2025年11月6日更新

13年間も実父を介護 女性看護師の経験に学ぶ、一人や家族で「頑張り過ぎない」ための選択肢[11月11日は介護の日]

11月11日は「介護の日」。家族の介護をする人が増える中で、「どう向き合えばいいのか」と悩む声も多い。そんな時、支えや参考になるのが経験者の言葉。看護師をしながら、長年、家族を介護してきたディロング直美さんの経験から、さまざまな介護サービスの選択肢とその活用体験を紹介する。




ディロング直美さん
/看護師。亡き父を13年間介護。2023年「家族介護のwa」設立。「ワクワク介護叶(かな)え隊」の翁長久仁子さんと共に介護の悩みを話し情報交換できる「介護の語り場」開催

13年間、実父を介護したディロング直美さん。その経験から、「“不幸な介護”にならないためには、一人もしくは家族だけで頑張り過ぎず、たくさんの人の手を借り、ワンチームで取り組むことが大事」と話す。父の状態に応じて一家が利用したサービスを上表で紹介。中でも特に助かったという七つのサービス・制度は、経験談を交えディロングさんのコメントで紹介する。

介護は手を借りワンチームで
 調 理師として活躍していたディロングさんの父親(当時70歳)は2007年、脳梗塞を発症し、右半身不随に。退院直前に急性胆のう炎を発症し、手術。さらには認知症で人格も変わり、暴言暴力に悩まされた時期もある。肺炎や腸閉塞(へいそく)など、何度も入退院を繰り返し、コロナ禍は退院後に入居できる施設がなく、ディロングさんが休職し24時間介護も行った。父は20年に他界。長い介護生活を振り返り、「介護はきれいごとばかりではない。怒り、苦しみ、悲しみを感じることもあります。でも、たくさんの人の手を借りて、楽しい思い出もたくさん作れたし、少なくとも不幸でない介護生活を送ることができました」とディロングさん。母の大工廻初子さんも「私自身、体調の不安が大きい中、チームで介護できたことにより、夫は大好きな家で最期まで過ごすことができました」と感謝する。

ディロングさんは、ケアマネジャーに相談したほか、自らもスマホで検索し積極的に情報を得て、介護保険制度、保険外サービスを上手に活用してきた。

父亡き後は「家族介護のwa」を設立。今月8日には「介護の語り場」(不定期)を開催し、介護の悩みを話し、情報交換できる場を提供する。「介護はワンチーム。頑張り過ぎない介護で、介護者・要介護者それぞれの人生の時間を大切にしてほしい」と呼び掛ける。


 
車いすの父親を囲むディロングさん(左下)と家族。イベント好きで、デイサービスのハロウィーンを楽しんだ際の1枚(プロフィール写真以外はディロングさん提供)
 


父親の状況(要介護3)
 脳梗塞発症・右半身まひ、見当識障害(夜間不眠、多動)
 移動:手引き歩行
 食事:ミキサー食、要介助
使った介護制度サービス、福祉用具
 ●デイサービス(週4)
 ●ショートステイ(月2〜3)
 ●訪問介護(週4~6/モーニングケア他)
 ◎配食サービス(週5/ミキサー食)
 ■訪問マッサージ(週1)
 ●福祉用具レンタル(車いす、ベッド、マット)
 ◎リハビリパンツ
 ※表内●はディロングさん一家が介護保険で利用したサービス、◎は保険外サービス、■は医療保険 
 
  食サービスでラクに
介護初期、食事は口から食べることはできたもののミキサー食を用意しなくてはならず、むせることがあったため食事介助が必要でした。父の主たる介護者は書類上、母となっていましたが、高齢で持病のある母には限界があり、仕事を持つ私も毎日の食事を用意するのは難しい状況でした。デイサービスがある日は、食事、食事介助、入浴介助もあり、家族の介護負担が軽減されました。スマホで「沖縄 配食サービス ミキサー食」で検索し、サービスを提供してくれる民間の事業所を見つけ、平日の夕食を依頼。毎回、温かくて、栄養バランスも考えられた4種ほどのメニューが届き、調理をしなくてもいいので、とてもラクで助かりました。

  祉用具レンタルで経済的
車いすや介護用ベッドなど、福祉用具は介護保険制度でレンタルするのが経済的でおすすめです。初めての介護は、どんな物をどんなふうに準備していいか分からず、戸惑うことも多いはず。また、介護が必要な人の身体の状態は変化していくことも忘れてはいけません。レンタルなら、本人の状態に合わせて変更が可能。さらには、どんどん進化している福祉用具を使えるというメリットも。父の場合も、車いすは一般的なものからフルリクライニングができるものへ、ベッドマットも後半は、じょくそう予防になるものを利用しました。
介護用ベッド、マット、車いすは介護保険サービスでレンタルした
 


父親の状況(要介護5)
 尿路感染症、腸閉塞(へいそく)、誤嚥 (ごえん)性肺炎を繰り返す
 日中は車椅子かベッドで寝たきり
 食事:経口摂取できず胃ろう造設
使った介護制度サービス、福祉用具
 ■訪問診療(月2)
 ●デイサービス(週6)
 ●訪問介護(週6/モーニングケア他)
 ■訪問マッサージ(週1〜2)
 ●ショートステイ(月5〜6日)
 ●福祉用具レンタル(車いす、ベッド、マット)
 ◎通販サイト(胃ろうの経管栄養用容器とチューブ、吸引チューブ)
 ◎紙おむつ
 ※表内●はディロングさん一家が介護保険で利用したサービス、◎は保険外サービス、■は医療保険 
 

  問診療で安心
介護中期、食事が口からできなくなり、胃ろう造設で経管栄養になると、母の不安とストレスは大きくなりました。ケアマネジャーと一緒に在宅サービスの再調整を行い、私も職場にお願いして母をサポートできる勤務時間帯にしてもらいました。これまでの通院から、月2回、医師が自宅にくる訪問診療になると、胃ろう・体調の管理、薬剤の処方をしてもらえるようになったことから、ちょっとした体調の変化の相談もしやすくなり、大きな安心感につながりました。また、通院の負担も減り、ラクになりました。ただ、母は不眠で高血圧になり、体調が悪化したため、母の負担を軽くする目的で父は介護付き高齢者住宅に11カ月間入居しました。
 
  問介護でラクに
デイサービスは父にとって社会的交流や気分転換、生活リズムの調整になり、家族にとっても介護の負担軽減になりました。しかし、デイサービスのお迎えが来るまでに身支度を整えることは、通勤や通学の時間と重なり難しかったので、訪問介護を依頼。排せつケア、歯磨き、洗面、身支度を整えるなどのモーニングケアと、車いすに移乗させるまでをお願いしました。初めての介護で不安の大きかった母も、仕事や学校のある家族も、安心して生活できました。

後期は、訪問入浴も利用しました。看護師と介護士2人の3人がかりで、浴室でなく、部屋に浴槽とお湯、移動リフトを持ち込んで行います。とっても気持ち良さそうで、父もその日を楽しみにしていました。

朝の訪問介護で身支度を整えデイサービスへ出発するところ



父親の状況(要介護5)  
 腸閉塞で緊急手術。夜は不眠、家族の疲弊感がたまる。コロナ禍で24時間在宅介護へ
使った介護制度サービス、福祉用具  
 ●老人保健施設を退所し、介護付き高齢者住宅に入居
〈在宅介護再開後〉  
 ■訪問診療(月2)  
 ■訪問歯科診療(週1)  
 ●デイサービス(週6)  
 ●ショートステイ(週1~2)  
 ●訪問入浴(月2~3)  
 ●療養型病棟  
 ●地域包括ケア病棟  
 ◎介護タクシー  
 ・介護休業  
 ・介護休業給付金  
 ●看護小規模多機能型居宅介護  
 ●福祉用具レンタル(車いす、ベッド、マット)  
 ◎通販サイト(胃ろうの経管栄養用容器とチューブ、吸引チューブ)  
 ◎紙おむつ
 ※表内●はディロングさん一家が介護保険で利用したサービス、◎は保険外サービス、■は医療保険 
 
  護タクシーで楽しく
介護後期、北部へ1泊2日の家族旅行をしました。安全に移動することを第一に考え、介護タクシーを活用しました。父はイベントが大好きで、旅行中は何度も「ありがとう」と言い、カラオケもフルコーラスで歌うなど、父も家族もモチベーションが上がりました。父が亡くなった後も笑顔で語れるすてきな思い出になっています。不安な外出も、いろんな人とサービスの力を借りれば実現できるはず。近くの公園でもいい。季節を感じ、気分転換をして家族と特別な時間を過ごすことは、達成感と幸福感をもたらし、最期まで人生を全うする力になると思います。

介護タクシーで「美ら海水族館」を訪れた際の1枚

  問歯科診療で安心
介護後期、父が施設に入居したことで母も落ち着くと、家や温泉が大好きだった父のために、また、認知症がひどくならないようにもっと家族の会話を増やしたいと、再び在宅介護を始めることになりました。

訪問歯科診療は口腔ケアや歯科診療だけでなく、嚥下(えんげ)体操、誤嚥(ごえん)性肺炎予防、発声・発語の訓練をしてくれます。また口腔ケアグッズの情報など、専門家からのアドバイスを得られたのも良かったです。後期は、家族のレスパイト(休息)も大切にし、療養型病棟、地域包括ケア病棟、看護小規模多機能型居宅介護も活用しました。

  護休業給付金で安心
介護後期、腸閉塞(へいそく)で緊急手術を受けました。しかしコロナ感染拡大で、退院後に入所、入居できる施設がなく、デイサービスも利用不可。家族だけで24時間対応の完全介護をすることになりました。介護のため休業を決意はしましたが、経済的な不安は深刻。救済的な制度について職場に相談しても前例がなく、分かりませんでした。スマホで「介護休業 支援金」と検索したら、国の制度で「介護休業給付金」※があることを知りました。ハローワークに問い合わせて教えてもらいながら、介護休業給付金の支給申請書を提出。なんとか給付金を受け取ることができ、とても助かりました。

「介護休業給付金」:厚生労働省が管轄する雇用保険の制度で、国民年金や健康保険に加入している労働者や公務員などが対象。家族の介護をするために休職する場合、賃金が最大67%支給される。介護休業は条件を満たした場合、最大93日、3回までの分割で支給される。介護休業終了後に職場復帰をする人が対象であるなど細かい条件がある。詳しくは、厚生労働省ホームページなどで確認を。

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■介護タクシーの手配は「介護タクシーかおり」電話=090−3196−7939(新城)まで



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取材/赤嶺初美(ライター) 『週刊ほ〜むぷらざ』 介護の日
第1995号 2025年11月06日掲載

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