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2025年6月19日更新
「感謝」胸に第2の人生|ぷこらさ商会代表 幸地政次さん(南城市)[人生ブラボー!⑭]
長年、内装施工や技能検定委員を務めるなど業界の発展や後進育成に尽力した幸地政次さん(76)。退職後は、「地域と故郷とこれまで関わってきた人々に感謝の気持ちで役立つことをしていきたい」と笑顔で語る。

ぷこらさ商会代表 幸地政次さん(南城市)
地域活動やボランティアにも積極的に参加する幸地さん。取材日も「朝から草刈り作業をしてきた」と笑顔。植物の世話が好きで、定年退職した会社ショールームの前に広がる庭も「思い出が多い」と笑顔で話す=浦添市、(株)ナイソ
技能で業界けん引 後進育成
竹富町黒島出身で、南城市在住の幸地政次さん。沖縄工業高校を卒業後、県外他社を経て、1973年、当時創業したばかりの沖縄内装=現(株)ナイソ=に入社。以来、沖縄の建築内装業界を半世紀にわたって支え、同社代表も2年間務めた。
沖縄ではクロス張りの施工がまだ普及していなかった時代、「創業者が『これからはクロス(壁紙)が主流になる。一緒にやろう』と熱心に誘ってくれた」と振り返る。
75年の沖縄国際海洋博覧会を機に建築業界は大きく変化。クロス張りの需要が急増した。時代の転換期に、幸地さんは国家資格である表装(壁装作業)、床仕上げ施工などの一級資格を全国でもいち早く取得。業界をけん引した。
「あまりに人手が足りなくて、素人の女性にも補佐的な作業をお願いするほど忙しかった」と当時を懐かしむ。18年間も職業能力開発の技能指導や検定委員を務め、後進の育成に尽力。その功績が高く評価され、2021年には厚生労働大臣表彰(功労賞)を受けた。
21年に退職後、内装施工業「ぷこらさ商会」を設立した。「ぷこらさ」は黒島の言葉で「感謝」を意味する。「50年間、仕事をやらせていただき、関わってくださった皆さんに『ぷこらさ』。商売というより、恩返しの意味を込めて役立つことをしていきたい」と話す。
地域や人々に恩返し
自宅のある嶺井では17年に区長を務めた。「嶺井に家を建てたときから、地域のためにやっていこうと考えた」と幸地さん。41年ぶりにわら縄の綱引きを復活させ、地域の新たな取り組みとしてエイサーも始めた。「なかったものを継承して初めて伝統になる」と地域の人に訴えた。道ジュネーのときは、「酒甕(さけがめ)を担ぐ黒島スタイルのチョンダラーを孫と一緒に演じ歩いた」と声を弾ませる。
現在も近隣施設の草刈りをボランティアで続け、植物の世話を楽しみながら、週1回の三線同好会で仲間と交流している。5人の孫の活躍を見守ることも大きな喜びだ。

植物好きの幸地さんは、季節ごとに花の鉢植えや寄せ植えを作り玄関先を飾る
故郷の黒島への愛情も深い。毎年、豊年祭と牛祭りには帰島し、昨年は高さ6メートルの旗頭を寄贈した。「島の行事を盛り上げる材料になれば」と期待を寄せる。
「よそから住み着いた身ではあるが、嶺井で根を下ろし地域の役に立ちたい」と語る。技能一筋に歩んできた50年の経験を活かし、感謝の心を胸に、地域と故郷、そして関わってきた人々への恩返しを続けている。
厚生労働大臣表彰

幸地さんは、1981年から84年にかけ、全国でも早く、国家資格である表装(壁装作業)や床仕上げ施工の一級技能検定に合格。50年にわたり表装や内装の仕上げ施工を手掛け、18年間、技能士指導や検定委員も務めるなど、業界の発展や後進育成にも力を注いできた。その功績が評され、2021年に職業能力開発関係で厚生労働大臣表彰(功労賞)を受けるなど数々の賞を受賞した。
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取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1975号 2025年06月19日紙面から掲載」